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ジェイクとの旅

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 おれは「一緒についていく」ってグズグズしていたら、ジェイクがついてくるか? と言ってくれた。

 今のおれは体力もないし、すぐ疲れるけど、以前はパーティの料理や世話係をしていたこともある。少しでもジェイクのために何かをしたい。おれはうんうんと頷いた。


 カーディさんの書庫整理を一旦お休みして、ジェイクの魔物退治についていくことをジェイクと一緒に伝えに行く。

 上着のボタンがはち切れそうなカーディさんは「恋人が冒険者だと心配だね。ジェイクさんが魔物をやっつけてくれるのに、反対なんてしないよ。ただノアさんは無理しないでね。戦闘要員じゃないんでしょ? 」
 と言われた。

 「こ、こ、こ」恋人じゃないです! と言おうとしたが、ジェイクに肩を抱かれて、「はい気を付けます」となぜかジェイクが答えた。
 「まあジェイクさんがノアさんを危ない目に合わせないと思うけど。優しくて強い恋人で安心だね」
 とまた恋人って言ってくる。
 それにもまたジェイクが「はい、しっかりノアを守ります」と答えている。

 「ジェ、ジェイク」
 何を勝手に返事しているの? って怒ろうと思ったけど、カーディさんとジェイクが二人で「なに?」って振り向くので、おれは何も言えなかった。

 おれがおかしいのかな。

 「ノアは体が弱いから移動が大丈夫かそれだけが心配なんです」
 ジェイクとカーディさんはそのまま何もなかったように話を続ける。

 「確かに。もしよかったらうちの馬車を使うかい? 馬で移動より楽だと思うよ」カーディさんから見てもおれはひ弱に見えるのかな。たった一度しか会ってないのに。

 「本当ですか。助かります」ジェイクがお礼を言っている。
 確かに移動が大変だと思っていたので、おれも少しホッとした。
 おれが雑用係をしていたときは、徒歩が普通だった。急ぎの時だけ馬に乗れた。
 でも馬車なんて借りて大丈夫なのかな。カーディさんは親切だ。

 その後、ジェイクとカーディさんは世間話や、どんな魔物をどうやって退治するのかなど話をしていた。
 

※※


 魔物退治の方はジェイクの世話係として行けることになった。いやいつも世話になっているのはおれだけどね。

 カーディさんに馬車を借りて、その馬車をジェイクが更に座り心地をよくしてくれたので、移動はすごく楽だった。寝れるようにもなっている。道の状況次第でたまに揺れてしんどいとかはあったけど、馬車で行けて感謝だ。

 なんだかジェイクが魔法で馬車を揺れにくいようにしてくれたみたいだ。
 ジェイクが優秀すぎる。

 ジェイクは聞くと魔法剣士らしい。魔法も剣も使えるのか・・・。カッコいいな。

 おれがそれを言うと、ジェイクは破顔した。
 「おれはノアの言うことなら何でも聞くから、ノアはもっと最強だな」って意味不明なことを言いだした。
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