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書庫での仕事

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 次の日の朝ジェイクに起こしてもらう。案の定おれは眠くて仕方がなかった。一人でこれから起きれる自信がない。
 そして朝食まで作ってもらった。それを食べて、午前中に書庫の本の整理をしていたら、またひどく疲れた。


 四方の壁一面に大量の本が天井近くまで並んでいるのは壮観だ。上の方の本を取るための梯子が本棚にかかっている。天井の小さい小窓から窓の形で光が入りこむ。ほんのりカビ臭い、薄暗い書庫で、おれは悲しみに暮れていた。

 天井近くの高いところにある本は梯子に乗っても手が届かない。持てないくらい重い本もある。おれは困ってしまった。
 始めたばかりの仕事なのに、基本的なことからうまくいかない。

 情けなくて悲しくて涙が出てくる。

 どうしたらいいのか、途方にくれて悲しくて泣いていると、ジェイクが様子を見に来た。

 ジェイクは雇い主のカーディさんに、出入り自由の許可をもらっている。
 A級冒険者のジェイクが出入りするなんて光栄だと喜ばれていた。

 ジェイクは困った顔でどうして泣いているのか聞いてきた。おれは泣きながら本棚の上の方を指さした。口を開くと嗚咽混じりになりそうで開けられない。

 何も詳しく言ってないのに、ジェイクは「この本を取ればいいのか」と軽々と梯子に昇り、天井近くの棚にある本を手に取ってくれた。

 天井にある小さな明り取りの窓からの光で埃とジェイクの金髪がキラキラと輝いている。微笑んでいるジェイクは美々しくて天使みたいだ。ジェイクはおれが取ろうと思ったけど、身長や本自体の重さで取れないと思っていた本を全部取ってくれた。

 「うん」
 ジェイクが手伝ってくれて、ますます自分が情けなくなるけど嬉しい。
 これ以上泣いたらだめだ。本が濡れてしまう。

 おれは息を堪えて、必死になって泣き止んだ。
 それからジェイクに取ってもらった本を修繕が必要なものと、そうでないものに分けていく。
 今日は修繕をしていこう。カーディさんにはできることからしてくれたらいいと言われていた。

 重くて大きな本の表紙を拭いたり、破れたところを修繕をするだけでおれはまた疲れてきた。
 なんとか一冊を数ページだけ修繕をする。それだけでその日は終わった。

 そして部屋に戻るなりベッドで眠ろうとしたが、ジェイクに「これだけは食べて」と小さく分けられた食事を与えられる。目を瞑りながら食べる。

 そしてそのままジェイクに清潔魔法をかけてもらい、背中を撫でられながら眠った。
 ジェイクも魔法を使えるんだ・・・とおれは思った。ずっと体を手で世話をしてもらっていたから、魔法は使えないのかと思っていた。
 使えないというより、魔法の存在を忘れていた。

 「よく頑張ったね。明日も起こしてあげるから安心して眠っていいよ」

 ジェイクが優しい。髪を梳かれながら、ジェイクの腕の中でおれは安心してそのまま眠った。





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