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第1章

9話

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っーはぁ…ちょっとまだ眠いな……。

とは思いつつも伸びをすると少しずつ意識がはっきりしてきた。

ここは……あぁ保健室か。


「せんせー今何時ですか…?」

「あ、起きた? 丁度六時間目が終わったぐらいだよ。」

「え俺そんなに寝ちゃってました?」

「うん、ぐっすりだったね笑   じゃあひとまず冷やしてる氷取って、……お、腫れもいい感じに引いてる。」


「ふぁーぁ、、んあ、ごめんなさい……」
欠伸が出てしまった。少し涙の溜まった目を擦る。
眠気のせいかまだ少し感覚がふわふわしている。

「ふふ、いいよ。もう少し寝る??」

「んー、や遠慮しときます。」

「そりゃ残念」

残念?

「唯斗くんは部活動とかに入ってる?」

あ、聞くよりも先に話が変わってしまった。

「バスケ部に入ってますね」

「あー、なら今日は部活休もうね。」

「……えっ」

「えっじゃないよ笑 一応頭打ったんだからまだ様子見なきゃ。放課後補習もないみたいだし、今日一日は安静にしてもらうよ?」

「……だめですか?」

「そんな顔してもだーめっ。それこそ悪化するようだったら病院に行かないといけなくなるからね?」

「……わかりました。」

「素直でよろしいっ。」

「あ、先生。もしかして俺が寝てる間に陽来ましたか?片岡陽」

「あぁ、来たよすっごい来た。昼休みと5時間目と6時間目の終わった後!」

「そんなにですか笑」
思っていた以上に心配をかけていたらしい。後で謝ろう。
まぁでも陽しか来てないなら良かったな。うろ覚えだけどあれも陽ってことだよな?


「あ、それと1年生の子も来てたね。体操服姿だったから体育の授業が終わって速攻で来たのかな?数分も立たないうちに帰って行ったよ。」


……えーと?……俺やらかした?
もしかして、いやもしかしなくてもあれだよな……。


「何その顔、何かやっちゃった??君寝てた筈だけど」

「いやちょっと寝ぼけてたんで俺もよく覚えてないんですけど……やっちゃった…かもしれないです。……その1年ってどこの誰か分かりますか?」

「あれっ知らない?生徒会長がご執心って噂の1年生だよ」


「……えっうそ「ゆーーいーーとおおおお」


ドアがガラッと開かれたと思えば陽が俺の元に一直線で飛び込んできた。


「うおっ、保健室なんだからもうちょっと静かに入ってこいよ」
そう言うと先生は噛み締めるようにうんうんと頷いた。
なんか大変そうだな。


「えっガチの説教じゃんごめん……。」
……あからさまに落ち込んだ陽には垂れ下がった犬の耳の幻覚が見える気がする。頭打ったからか?

「あぁ、まあでも心配してくれたんだろ?ありがとう。」

ベッドに座る俺の腰に抱きついたまま離れない陽の頭を一撫でする。

「~!!!心配したっ!もう大丈夫なの??」

「一応は回復したと思うけど今日一日は安静にしとけって。」

「もしかして唯斗のことだから部活行こうとか思ってたでしょ??バカじゃん大バカ!」

「あはは……」

「頭打つとかほんと危ないんだからね??」

「ごめんごめん。今日は寄り道せずに寮に帰るって」

「いや唯斗の事だから絶対寄り道するね!」

「しないって」

「いいやするね!もう今日はオレが寮まで送る!」

「んでも、「送りたいの!」

「っ笑  はいはい、なら任せるよ陽。 ひとまず立ちたいからそこどいて?」

「ん」
不満げな顔をしながら抱きつく力を緩める。

緩めただけで俺を離してはくれなかったが、立ったり歩いたりするのに支障はなさそうだから無視することにした。


 「じゃ先生もありがとうございました!」

「うん、暇な時またおいで笑  じゃ気をつけてね~」

軽く会釈をして未だ俺に引っ付いている陽と一緒に保健室を出た。

なんか忘れてる気がしなくもないけど…まあいっか。
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