すべては神様のてのひらのうえ

ゆうひゆかり

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団らんと、驚きと、

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今日も無事に終わって。

お母さんはいつもよりギリギリに仕事へ。

ちょっと調子悪いみたい。

だから今日の夕飯は八雲君と一緒にカレーを作った。

今日の八雲君、やっぱりふわふわしてて、一瞬でも気を抜くとすぐ絡んできた。

作るときは手が触れて「まるで恋人同士みたいだね」と。

食べてるときは小首を傾げて「みくるちゃんと作ったから特別美味しいのかな?」と。

そう、何もかもあざとい。

私が頬杖をついてテーブルを挟んだ斜向かいで満喫オーラ全開の八雲君を眺めてると、私の足に何かが触れた。

茶一だ。

茶一は曇りのない瞳で私を見上げている。

「茶一ぅ、茶一にはカレーあげられないんだ。
 タマネギアレルギーになっちゃうからね。
 だからごめん」

そう言って茶一の背中を撫でる私。

視線を八雲君に戻すと八雲君とバチリと視線がぶつかった。

そして。

「大丈夫。茶一はカレーはいらないって。
 ただみくるちゃんが元気ないみたいだから心配だってさ」

微笑の八雲君に言われ茶一に視線を戻すと、茶一の瞳はますます輝き、尻尾はぶんぶんとばかりに振られてる。

おお…まるで扇風機だ。

「そっか。
 何でもないよ。大丈夫」

私はそう呟きながら茶一の頭をそっと撫でた。

そんなこんなで夜は更け。

一度は寝たものの夜中の十二時に目が覚めてしまった。

トイレに向かう途中気づいてしまったリビングの灯り。

そっと陰から覗くとテーブル付近で戯れる八雲君と茶一の姿があった。

『ねぇねぇ、みくるちゃんを弄ぶのやめなよ』

「弄ぶなんてそんなー。
 ただのスキンシップだよ」

………は?

え?もしかして、茶一喋った?

ちょ、頭がクラクラするんだけど。

私の頭が混乱するなか、八雲君は茶一と戯れるのをやめ、いつもの席に座った。

そこからみえる、水が入ってるらしいコップと何処から出したのか八雲君の手にある赤い糸。

声をかけようか悩んでいると、八雲君は徐にその赤い糸の両端を結んでコップに沈めた。

八雲君、何やってるの?
 
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