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執着(九)

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僕は獲物を狙う蛇のように目を細めると、ここぞとばかりに口角をあげて低い声で言った。

「クロに妻を用意せよ」

逆光のなか聞こえた昌綱の呻き声。

僕の言葉に対して昌綱がどんな顔色なのかはよくみえなかったけど、たぶん決して良いものじゃなかっただろうね。

「女子はまだ五歳の娘しかおりません。
 しかもクロもまだ八歳の子ども。
 どうか!」

相変わらず逆光に照らされながらどもった声で僕に抗議する昌綱。

僕は袖で口元を隠して声を出すことなく笑った。

そんなに娘が惜しいか、と。

だからこそ僕は続けた。
 
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