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お嬢様はわがまま(三)

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もう陽はすっかり暮れ落ちてて。

多種多様の食べ物の良い香りが漂い、いくつかの灯りがぽつぽつとみえ、ともに下駄の音が響いて。

突然聞こえてきた何人かのケラケラ、ゲラゲラ、コロコロという笑い声には思わず尻尾が膨らんだ。

その笑い声のひとつの幼女と少女のあいだくらいの声が

「お父様、仔猫が雪を被っております」

と令和では小柄な男の着物の袖を引いて呟いた。

その声には哀れみが含まれていた。
 
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