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後日譚
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「そういえば…」
そう話を切り出したのはわたくしの旦那様のルカリオール様。
即位してから一年が経ち、わたくしはすっかりルカリオール様の虜になりましたわ。
旦那様は本当かっこいいのよ。
外見は麗しいことはもちろん、優しいし、なによりも強い。わたくし、強い殿方にはめっぽう弱いんですの。
クーデターのあの日のルカリオール様もそれはそれはもう素敵だった。
しかも、即位してから知ったことなのだけれど、ルカリオール様は頭も良かった。
お陰でわたくしの仕事は普通の王妃に比べてかなり少ないわ。
なので、空いた時間に魔法の研究ができるから、もう、本当に言うことなしよ!
あ、どうでもいい話をしてしまったわね…聞いてくるでありがとう。
そうそう、そんな麗しいわたくしの旦那様が尋ねてきた内容はあの魔法大会での賞品について。
「これって結局なんの卵なんだ?」
そう言って手に持っていたのは魔法大会の賞品だった卵だった。
卵の大きさは直径20センチはある。
大会の主催者は巨大鳥の卵だ!なんて言っていたけど、実はこれは鳥の卵ではない。
「あぁ!ドラゴンの卵ね!クーデターとか即位で忙しかったけれど、そろそろ落ち着いた頃ですし、羽化に向けて行動をはじめましょうか!」
ゲームでも賞品は巨大鳥の卵と言っていたけれど、実際にはドラゴンの卵だったことが後々…終盤の方で分かる。
「まさかっ!これはドラゴンの卵なのか?」
「ええ。まず間違いないですわ。」
「……だから欲しかったのか。」
「えぇ。わたくし、どうしてもドラゴンの背中に乗って空を飛ぶのが夢だったものですから…」
あのポスターに書かれた【賞品:巨大鳥の卵】を見た瞬間にこの記憶が蘇ったから、絶対にこの卵を手に入れたかったのよね。
たとえそれで、王女と言う身分がばれたとしてもそれが手に入るのならよかった。
本当にあの日思い出してよかったわぁ。
前世の記憶も完全なものでは無いから不意に思い出す記憶なんかもあるのよね。まぁ、もうストーリーなんて関係ないから、どうでもいいのだけれど。
それにしても人の手が加わった後じゃなくてよかったわ。
ちなみにドラゴンの卵はドラゴンの卵に魔力を注ぐことで孵化する。
つまりドラゴンは魔力を送る人間が現れるまでは卵から孵化する事はない。
けるども魔力を流し始めた時からが大事なのだ。
魔力を流してくれる者を育ての親として認識して生涯にわたって一緒を共にする。
だから、途中で魔力が変わったり、魔力が途切れると孵化しなくなる。
非常にデリケートなのよね。
「でもそうか、ドラゴンがいればより国を強固にできるな。」
「はい。」
ドラゴンは1000年前に滅んだとされる種族。
それが蘇るとなると一気に世界が注目するだろう。
なによりもドラゴンの戦闘能力は未知数。
一説によればドラゴン1匹で国を1夜にして滅ぼしたことがあるらしい。
あら?なんだかわたくし達のことのようね。
まぁいいわ。
「それでは旦那様、今日から魔力を送りましょう!」
「それが孵化の条件?」
「そうですわ!」
わたくしは笑顔で微笑んだ。
xxx
結局あの後すぐには魔力は与えなかった。
片付けるべきことが出てきたので、そちらをとりあえず優先させた。
はぁ。全く。悪役令嬢だったエリザベートはもうちょっと頭の賢い方だと思っていたのだけれど、存外頭が悪かったのは、わたくしが期待値を上げすぎていたからのようね。
あの後、エリザベートからルカリオール様に面会の嘆願が出されたことを知ったわたくしはすぐにエリザベートを締め上げた。
本当、ルカリオール様に粉をかけるだなんて!許すまじ!だわ!
でも、エリザベートもわかってくれたみたいだしよかったわ。やっぱり平穏が1番ね。
そして時は流れて数日後、お互いに魔力を注いでみることになった。
魔力を少しずつ流すと卵が光だし、少し大きくなった。
「おぉ。」
「まぁ!」
このように大きくなるのですね!
ゲームではよくわからなかったから、生態がしれてよかったですわ。
ちなみに私が今回注いだのは聖属性。
実はわたくし6大属性で全部使える…まぁいわゆるチートってやつですの。
治癒に特化したドラゴン…魅力的ですわ。
反対に旦那様であるルカリオール様は闇属性と4大属性持ちですのでわたくしとは反対の闇属性の魔力を注ぎましたわ。
けれどなかなかの魔力を持っていかれましたわ。
最初流したのは少量でしたのに…!その後どんどん吸い取られていくんですもの。
でも、
「孵化が楽しみですわ!」
xxx
そして100日後ついにその時が来た。
卵の大きさはすでに2メートルを超えていた。
その卵の殻に今朝、ヒビが入ったのよ!
知らせてくれた侍女を伴い、ドラゴンの部屋に入ると白い巨大な卵と黒い巨大な卵の前にルカリオール様がいた。
朝からお会いできるなんて幸せですわ!
なんてことを思っているとヒビがピキピキと言い出したわ!
「割れそうですわね!」
「ああ…!」
ちなみに念のため擦り込みを防ぐために部屋の中にはわたくしたちしかいない。念には念を、ですわ。
そして、ついにパカっと卵が割れた。
わたくしの前に現れたのは純白のドラゴン。
美しいわ…!
そして、隣では漆黒のドラゴンがルカリオール様の前に浮かんでいた。
どうやらわたくし達はドラゴンの孵化に成功したようだ。
xxx
その後、わたくし達がドラゴンに名前をそれぞれ与えると契約が発動し、わたくし達はドラゴンマスターとなった。
ちなみに、わたくしのドラゴンがセレーナ、ルカリオール様のドラゴンをヘリオスと名付け、わたくしは早速セレーナの背中に乗ったわ。
ドラゴンの背中は想像以上にロマンが詰まっていたわ!
本当に、この世界に転生できて良かったわと心から思うわ。
皆様もわたくしの昔話にお付き合いくださって本当にありがとう。
ではまたいずれ会う機会がありましたら。
ごきげんよう。
そう話を切り出したのはわたくしの旦那様のルカリオール様。
即位してから一年が経ち、わたくしはすっかりルカリオール様の虜になりましたわ。
旦那様は本当かっこいいのよ。
外見は麗しいことはもちろん、優しいし、なによりも強い。わたくし、強い殿方にはめっぽう弱いんですの。
クーデターのあの日のルカリオール様もそれはそれはもう素敵だった。
しかも、即位してから知ったことなのだけれど、ルカリオール様は頭も良かった。
お陰でわたくしの仕事は普通の王妃に比べてかなり少ないわ。
なので、空いた時間に魔法の研究ができるから、もう、本当に言うことなしよ!
あ、どうでもいい話をしてしまったわね…聞いてくるでありがとう。
そうそう、そんな麗しいわたくしの旦那様が尋ねてきた内容はあの魔法大会での賞品について。
「これって結局なんの卵なんだ?」
そう言って手に持っていたのは魔法大会の賞品だった卵だった。
卵の大きさは直径20センチはある。
大会の主催者は巨大鳥の卵だ!なんて言っていたけど、実はこれは鳥の卵ではない。
「あぁ!ドラゴンの卵ね!クーデターとか即位で忙しかったけれど、そろそろ落ち着いた頃ですし、羽化に向けて行動をはじめましょうか!」
ゲームでも賞品は巨大鳥の卵と言っていたけれど、実際にはドラゴンの卵だったことが後々…終盤の方で分かる。
「まさかっ!これはドラゴンの卵なのか?」
「ええ。まず間違いないですわ。」
「……だから欲しかったのか。」
「えぇ。わたくし、どうしてもドラゴンの背中に乗って空を飛ぶのが夢だったものですから…」
あのポスターに書かれた【賞品:巨大鳥の卵】を見た瞬間にこの記憶が蘇ったから、絶対にこの卵を手に入れたかったのよね。
たとえそれで、王女と言う身分がばれたとしてもそれが手に入るのならよかった。
本当にあの日思い出してよかったわぁ。
前世の記憶も完全なものでは無いから不意に思い出す記憶なんかもあるのよね。まぁ、もうストーリーなんて関係ないから、どうでもいいのだけれど。
それにしても人の手が加わった後じゃなくてよかったわ。
ちなみにドラゴンの卵はドラゴンの卵に魔力を注ぐことで孵化する。
つまりドラゴンは魔力を送る人間が現れるまでは卵から孵化する事はない。
けるども魔力を流し始めた時からが大事なのだ。
魔力を流してくれる者を育ての親として認識して生涯にわたって一緒を共にする。
だから、途中で魔力が変わったり、魔力が途切れると孵化しなくなる。
非常にデリケートなのよね。
「でもそうか、ドラゴンがいればより国を強固にできるな。」
「はい。」
ドラゴンは1000年前に滅んだとされる種族。
それが蘇るとなると一気に世界が注目するだろう。
なによりもドラゴンの戦闘能力は未知数。
一説によればドラゴン1匹で国を1夜にして滅ぼしたことがあるらしい。
あら?なんだかわたくし達のことのようね。
まぁいいわ。
「それでは旦那様、今日から魔力を送りましょう!」
「それが孵化の条件?」
「そうですわ!」
わたくしは笑顔で微笑んだ。
xxx
結局あの後すぐには魔力は与えなかった。
片付けるべきことが出てきたので、そちらをとりあえず優先させた。
はぁ。全く。悪役令嬢だったエリザベートはもうちょっと頭の賢い方だと思っていたのだけれど、存外頭が悪かったのは、わたくしが期待値を上げすぎていたからのようね。
あの後、エリザベートからルカリオール様に面会の嘆願が出されたことを知ったわたくしはすぐにエリザベートを締め上げた。
本当、ルカリオール様に粉をかけるだなんて!許すまじ!だわ!
でも、エリザベートもわかってくれたみたいだしよかったわ。やっぱり平穏が1番ね。
そして時は流れて数日後、お互いに魔力を注いでみることになった。
魔力を少しずつ流すと卵が光だし、少し大きくなった。
「おぉ。」
「まぁ!」
このように大きくなるのですね!
ゲームではよくわからなかったから、生態がしれてよかったですわ。
ちなみに私が今回注いだのは聖属性。
実はわたくし6大属性で全部使える…まぁいわゆるチートってやつですの。
治癒に特化したドラゴン…魅力的ですわ。
反対に旦那様であるルカリオール様は闇属性と4大属性持ちですのでわたくしとは反対の闇属性の魔力を注ぎましたわ。
けれどなかなかの魔力を持っていかれましたわ。
最初流したのは少量でしたのに…!その後どんどん吸い取られていくんですもの。
でも、
「孵化が楽しみですわ!」
xxx
そして100日後ついにその時が来た。
卵の大きさはすでに2メートルを超えていた。
その卵の殻に今朝、ヒビが入ったのよ!
知らせてくれた侍女を伴い、ドラゴンの部屋に入ると白い巨大な卵と黒い巨大な卵の前にルカリオール様がいた。
朝からお会いできるなんて幸せですわ!
なんてことを思っているとヒビがピキピキと言い出したわ!
「割れそうですわね!」
「ああ…!」
ちなみに念のため擦り込みを防ぐために部屋の中にはわたくしたちしかいない。念には念を、ですわ。
そして、ついにパカっと卵が割れた。
わたくしの前に現れたのは純白のドラゴン。
美しいわ…!
そして、隣では漆黒のドラゴンがルカリオール様の前に浮かんでいた。
どうやらわたくし達はドラゴンの孵化に成功したようだ。
xxx
その後、わたくし達がドラゴンに名前をそれぞれ与えると契約が発動し、わたくし達はドラゴンマスターとなった。
ちなみに、わたくしのドラゴンがセレーナ、ルカリオール様のドラゴンをヘリオスと名付け、わたくしは早速セレーナの背中に乗ったわ。
ドラゴンの背中は想像以上にロマンが詰まっていたわ!
本当に、この世界に転生できて良かったわと心から思うわ。
皆様もわたくしの昔話にお付き合いくださって本当にありがとう。
ではまたいずれ会う機会がありましたら。
ごきげんよう。
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