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第四章 学園に行くケモナー

精霊様?

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 嫌に早口でまくし立ててくるので、ケルンは、かなり驚いている。六十センチほど、ケルンとは身長差があるから、正直、怖い。

 とはいえ水の精霊様に挨拶しないとな。
「水の精霊様…?こんにちは!」

 ただの普通の女の子にしか見えないんだけどな。金髪青目って、スメイン大陸じゃ、よくいるし。可愛い系ではなく、ボーイッシュな感じだし。

「挨拶よりも!質問に答えなさいよ!どっち!」

 あ、よくみると、化粧で誤魔化してるけど、ソバカスあるんだな。運動部とかにいそうか?いやいや…肩と足で判断してはいけないな…みるからに鍛えてそうだけど。

「失礼なこと考えてない?」
「僕は考えてませんー!」

 俺は考えたけどな。

「そ!じゃ、いいわ。んで?どっち?」
「え、えっと…契約です?」
「はぁ?だったら、契約の詠唱通りしなさいよ!こっちは、七年も待ってたんだから!」

 適当にしてすいませんでした。ケルンには、長い言葉は無理なんだよ…ってか、七年?

「あの、七年って」
「とにかく、あたし、忙しいから、さっさと契約するわよ?…はぁ?何で、あんたの仕事をあたしが!…もう!わかったわよ!」

 む、無視された。最近、無視されるの多い…で、天使のおねぇさんみたいに、誰かと話をしているし…んー…まさか、関係者なのかな?でも、タイプが違いすぎるんだけど。

「ケルン、あんた、あたしと契約したら、何するの?」
「杖作りです!」
「杖?…ああ、霊木の洗浄と聖別ね…って、霊木どこよ?」

 水の精霊様らしき女の子が、霊木を探すので、机の上に置いてある…まぁ、真後ろにあるんだけど…そっちを指差す。

 樹木さんが、身だしなみを整えるように、さっきより、ぬめぬめした液体を出しまくってる。

「何、あれ…?」
「樹木さんです」

 やあ!って、枝が…揺れた。葉っぱが一枚だけついているから、いい感じだね!びちゃって、液体がとんだけど。
 怖いな。机から変な煙が出てるけど、掃除が大変だ。

「何で、風がないのに!枝が揺れてるのよ!しかも、何あの穢れ!あんなの杖にするの?あんた、絶対、頭おかしいわよ!」

 抗議するかのように、樹木さんが、机の上で、二度ほど、跳ねた。
 びちゃびちゃって、嫌な音がする。

「木が!勝手に跳ねてる!」

 うん。そ、そうですね。
「えー?気のせいだって」
 いや、動いてるって!

 なんで、ケルンは認識してねぇんだ?

「元あった場所に返して、新しいのを貰ってきなさいよ。流石に、あれは手遅れよ」

 ロリータ服の陸上部っぽい水の精霊様…えっと…水の精霊様でいいか。水の精霊様はさっきまでの勝ち気という雰囲気を捨てて、かなり真剣にいってくるのだけど、ここまできて、やっぱり違うのにします!っていうのは、できない。

「あの…この樹木さんが、いいです。んーと…すてきだよ?」

 ケルンが気に入ってしまっているからな。俺は反対なんてできない。

 ケルンが樹木さんを誉めると、びくんって、樹木さんは震えているけど。

 この樹木さんが、ここまで自己主張するんだから、俺としても…まぁ、杖にしたら面白いと思うのだ。

「はぁ…わかったわ。あたしは、他の奴みたいな問答はいらないの。あたしが気に入るかどうかよ。でもー…そうね、ここまで、他人に流されない奴は嫌いじゃないわ。水は、常に流れていないと腐るけど、流されつつ、流れない人間は…嫌いになれないわ。それに」

 疲れさせてる気がする…申し訳ないな。
 水の精霊様は、何故か、途中で言葉を切って、遠くを見るように、また目を細めた。

「ん?…ああ、そうなの?へぇー…わかったわ。じゃあ、あたしもそれぐらいにしておくわ」

 何か話をしているな…天使のおねぇさんの時と同じだ。

「あたしが、『許可します』」

 ---水系統中級までの魔法がアンロックされました。
 ---水系統の魔法での魔力消費が半減されました。

 あの時と同じ声が聞こえた。使える魔法が、一度に増えたので、少し情報を整理しないと…って、この『ウォッシュアップ』使うと、毛がふわふんになるって!ランディに使いたいじゃないか!

 喜べケルン!魔法がたくさん使えるぞ!
「いっぱい使えるようになったの?やったー!ありがとう!…そういえば、お名前は?」
「名前?いえないわ」
「え?なんで?」

 名前を教えてくれないのか?

「はい!聞きたそうとしても無理。悪いんだけど、説明できないから。しないんじゃないのよ?できないの。あと、あたしを召還するんだったら、風とも契約しなさいよ!じゃないと、バランスが悪いのよ」

 ん?え?何が?ああ、説明って?できない?
 風の精霊様と契約しないと、水の精霊様を召還ができないの!え!プリントのどこにもそんなこと書いてないぞ!

「あたしと契約したんだから、次は土か、風にしなさい。火は絶対に最後よ!そしたら…天使?頭おかしいわよ…はぁ?年増はこれだから…まぁ、天使のお、ば、さ、んに会えるわ」

 天使のおねぇさんにまた会えるのか。ミルデイのこととか話したいし、いいかもな。

 頷くと、水の精霊様は、そうそうと、いいながら、徐々に天使のおねぇさんの時と同じように姿が透けてきた。

「一応、召還したら、あたしの代わりに誰か来ると思うから、普段はそいつと契約したことにしといて、じゃ!急がないと!」

 そういうなり、消えた。嵐のように現れて、消えていった…って!消えたら困るんだけど!
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