54 / 229
第二章 事件だらけのケモナー
本来の力と新たな力
しおりを挟む
「助けたいの!」
「何を?」
何をって、決まってるじゃないか!
「僕の友達!」
傷ついているのに、それでもケルンを守ろうとしてくれた。
命だって、天使のおねぇさんが時を止めてくれなかったら、失っていたことだろう。もしもではなく、確実にだ。
時が止まっているから、血が噴き出るのも止まっているだけで、動き出せば出血死をするだろう。
人間ではないものと友達になるのは、時間がかかるし、自己満足かもしれない。
たった数分間の触れ合いで、友達になったというと、変だと思うだろう。でも、時間の長さが全てではない。
友達になりたいと思って、相手も答えてくれたなら、もう友達だろう?
そこに種族は関係ない。
「友達ね…ケルン。その蛇はミズヴェルド。人を襲う魔物よ。しかも、精霊から魔物になった、裏切り者の末裔。それでも、助けたい?」
「そんなの僕は知らないよー。でもねーだから友達になっちゃだめってことはないと思うのー!」
そうだ!そんなささいなことで友達になれないと誰が決めたんだ?
愚問!愚問だぞ!天使のおねぇさん!俺が棒神様にどういったのか、知らないのか!
魔物だろうと、仲良くなるんだ!あわよくばモフる…そう…魔物もモフる…考えたら、テンション上がってきたぞ!
ケルンいってやれ!
「だって友達だもん!そんなの関係ない!良いも悪いも!この子には関係ない!僕らが友達になるには、関係ないんだもん!」
そうだ!誰が善悪を決めた?その人にとっての善悪だろ!俺には関係ないからな!
人間にだって善人も悪人もいる。魔物だから悪とは限らない。
天使のおねぇさんは、何か納得したのか、遠くを見つめて頷く。
「そうね…では、問うわ。答えて。貴方にとっての希望の光は、なーに?」
希望の光?新しい朝が来たとかの?…違うよな。でも、希望の光ってのは、難しいな。何だろ…んー…ああ、そうだ。光だろ?だったら、これしかないかな。
「起きた時の…みんなの笑顔!」
怖い夢を見た時、どこかへ出かける時、必ず朝の太陽の光を浴びる。そして、家族のみんなが、笑顔で「おはよう!」って、いってくれる。
毎日が、希望の朝だ。
毎日が、希望の光に満ちている。
だって、俺たちは一人じゃない。
「ふふ…そうね。身近で、忘れやすい。けれども、毎朝感じれる光ね。わかったわ」
凄く綺麗に天使のおねぇさんは、笑った。
綺麗で、とても天使らしかった。
「一部だけ、許可します。『私は認めます』」
ふわりと、髪の毛が逆立って、天使のおねぇさんが、強く光った。
人差し指でケルンを指すと、光の玉が出来上がる。
そうして、指先から放たれた光の玉が、ケルンの胸に吸い込まれた。
熱い。かっと暑さが血流にのって全身をかけめぐるようだ。
これは…情報が流れ込む…機械?老若男女がまざり、ノイズと一緒に言葉が聞こえる。
ケルンからではない。俺に直接流れる。
――基礎治癒魔法がアンロックされました。
――基礎無属性魔法がアンロックされました。
――基礎属性魔法がアンロックされました。
――ボージィンの条件をクリアーと認められました。
――スキル『魔法同化』が付与されました。
不思議とその言葉が聞こえると、まるで当たり前のように魔法の使い方や、魔力の流れが俺に扱えるようになった。
あの知らない領域に一部流れていくが、あそこが魔法を司る領域なのだろうか?
そして、新しいスキル『魔法同化』というものが、使えるようになったようだが…使い方とかわからないんだけど、新しいスキルが発言しても使い方が浮かばないのは、普通なのか?みんなどうやってんだろう…練習とか?
「さて、これで、魔法が使えるはずよ」
天使のおねぇさんが、ウィンクをしつつそういった。
よし、わからないスキルは後回しだ!
ケルン!さっそくやってみようぜ!治癒魔法だ!
「精霊様、お願い!『レインヒール』」
初期の治癒魔法で、前にこっそりナザドから習ったけど、使えなかった魔法だ。
癒しの雨粒が、ぽつぽつと少量落ちて、傷を癒す。応急措置にはなるだろう、治癒魔法だ。子供が怪我したら使う魔法ということで覚えておこうと思ってな。
すごく簡単で、その分あんまり治らないけど出血をとめるぐらいはできる。
と、聞いていた。
魔法の効果はすぐに出た。
豪雨。
目の前が、豪雨になっている。男達までびしょびしょというか、溺れるんじゃないか、あれ。
「ちょっと!どんだけ、魔力注いだの!…やっぱり、ロックしててよかったわ…これじゃ、どの魔法も凄いことになるわ…」
天使のおねぇさんが、指を振ると、雨はやみ、蛇がそのままの姿でケルンとおねぇさんの間に現れた。動かせたんだ。
「いい?手を抜くこと!これだけは、忘れないでね?精霊が、過剰に反応するから、ダメよ?」
何度も頷く。
これは、全力はダメだ。絶対、ろくなことにならない。
本当に少量しか降らないはずなのに…消毒と少しの治癒程度の止血作用のはずなのに…深手を負っていた蛇の傷が完治している。魔力過多だと、効果が強まるのかもしれない。
「はぁー…早まったかなぁ…無詠唱とか教えようか考えたけど、ダメね…それにしても…ミズヴェルドの子供か…ケルン、この子大きくなったら、どれぐらいか知ってる?」
無詠唱って、何だろうか?ちょっと気になるが、この蛇が大きくなったらか…んー…脱皮するとして…八、九メートル?
「んー…大人が…四人くらい?」
それぐらいかな?この国の平均身長が百八十ぐらいだから。
「残念、不正解。全長…そうね。この国ぐらい大きくなるの。この蛇は産まれて…貴方ぐらいの歳ね。百年過ぎると、いきなり大きくなるのが特徴なのよ」
大きすぎないか!ケルンぐらいの歳で、この大きさなんだろ?どうしよう…森でも飼えないじゃねぇか。
「どうしよう…家で一緒に暮らしたいのに」
ちょっと厳しいな…国単位とか。
あ、屋敷って意味じゃないぞ!ケルンの家は敷地内って意味だからな。おねぇさん。無理無理って、手を振るなよ!さっきまでの真剣だった雰囲気が台無しだよ!
「そうね~…まぁ、姿形を作り変えるなんて、ボージィン様にでも、頼まないと無理ね」
棒神様に頼めってことは…精霊様とかの魔法には、良い物がないってことなのか…んー…せっかく使えるようになったし、覚えた魔法の知識内で検索かけても、良い物が…ん?
なんで、これがひっかかるんだ?
魔法同化ってスキルが、引っ掛かるんだけど、棒神様があとから、くれるっていってたスキルだよな?使い方がいまいちわからないが…魔法と同化するって、何をだ…何か、ヒントがあれば、閃きそうなんだけど。
天使のおねぇさんが、そうそうと、教えてくれる。
おばさんみたいだから、その手の動き本当にやめた方がいいのに。
「人化の魔法があるけど…『フォーム』はね、仮初めの魔法なの。勘が良かったり、魔力が強いと見破られるし。そもそも、人の形でないと効果がないの。大きくなると、やっぱり大きくなるのよね…」
『フォーム』か…使えなくもないよな。今なら。
姿形を作るか…作る…ん?
『魔法同化』って、魔法『を』同化するんじゃなくて、魔法『に』同化させるスキルってことかもしれないな。
前者だと魔法が付与されるもんかとも思ったけど、それなら『魔法付与』とかになりそうなんだよ。言葉っていうものは、一文字異なるだけで、意味が変わるもんだし、魔法『を』なら、付与でいいしな。
でも、それが魔法『に』なら…選択肢は広がる。
何より、姿形を作るっていうなら、『造物』スキルで、作ればいいんじゃないか!
棒神様から『造物』スキルは、俺の手によってでしか、認められていない。でも、俺が作った物なら、認めてくれるという許可は、もらっていた。ならば、答えは一つ!
よっしゃ!やってやる!絵画と彫刻だけと思うなよ!粘土だって、人形の造形だってやってやらぁ!
というわけで、いっちょやってみるか?
「やってみよー!」
よっしゃ!サポートは任せろ!
「精霊様、お願い!『フォーム』!」
まずは『フォーム』を発動させて、姿形を決める。その前に!
「スキル『魔法同化』!『造物』と『フォーム』を指定!作成!命名!『フォーミングクリエイト!』」
魔法が発動すると、蛇が光に包まれ、球体になる。
スキルの発動の仕方は、俺にはわからない。
エセニアいわく、勝手に体が動くということだ。だったら、想像力で補ってしまえばいい。
魔力の塊があるとして、本来それは一つのことにしか作用しない。そこに、スキルである『造物』を組み込む。俺は、その処理をしつつ、持てるだけの粘土の触り方、こね方から、造形。そして、人形作りの知識をケルンに渡す。そうすると、ケルンは、自分が出せる範囲の手の動きで、作り始める。
頭に胴体、手足。顔もこねて…そうか『フォーム』がベースにあるから、想像しつつやればいけるのか。魔力をこねて、肉体になじませて。肉体も思いつくまま作ろう。
ケルンの…俺の友達。今、産まれ変わるんだ。
天使のおねぇさんが、目を見開いている。それに俺はにっこりと、笑ってやる。ケルンではなく、俺が笑っている。
球体は弾けた。
――魔法『フォーミングクリエイト』が生成、認可されました。
ごっそり魔力がなくなったような気がする…頭くらくらするぞ…あとで確認だな。
「嘘でしょ…ボージィン様が許可するなんて…」
『フォーミングクリエイト』が、かかった蛇は、球体から出てから、徐々に形を人間の子供…ケルンと同じか、一つ、二つ上ぐらいになっていく。裸は不味いから、服の材料は上着を犠牲にした。黒いズボンとシャツになったけど、薄いよな…生地が足りないかも。
所々、蛇の名残の鱗があるが、うーん。女の子っぽくなったけど、男の子だよな…その…ちらって、ケルンと同じぐらいのが見えたからな。
銀色の髪に、白い肌。たぶん、瞳は翡翠色か。物語の主人公みたいだなー。
「驚いた…!これ、人化じゃなくて、本当に魔物を人にしちゃってるじゃないの!」
「うん!人間になったの!」
そりゃ、そういう魔法だからな。作り変える魔法だから『フォーミングクリエイト』って名前にしたんだけど。
「スキルの裏をかくなんて…困ったわね~…こんなこと広まると、混乱しちゃうのよ…仕方ないわ!サービスしちゃう!」
天使のおねぇさんは、そういうと、指をパチンっと鳴らす。すると、三つの黒い球体が突然、おねぇさんの前に浮かびあがった。
「忘れなくてもいいけど、変えさせてもらうわね。…『レリビュノス』」
球体は、男達の眉間を貫く。けれども、傷はついていない。何だ、あの魔法?ぞわってした。
「これで、辻褄は合うわね。さて、そろそろ時を戻すわよ?時間止めるのも疲れるのよ。あ、そこの男達は、ほっといてもいいわ。気絶させてるから…それに、たぶん、ほっといても…ね…」
おねぇさんの声がだんだん、聞き取れなくなってきた。それもそのはず。おねぇさんも透けてきている。
「ありがとうございました!天使の…綺麗なおねぇさん!またね!」
感謝はする!でも、次があったら、もっとまともな感じがいいな!
「あら!…ふふふ。若いっていいわねー。ああ…次に貴方に会えるのは、そうね…たくさんの精霊と契約して、魔法が許可されるようになったら、会えるわね」
たくさんの精霊と契約か…はっ!地の精霊様は、モフモフしてそうだな!いや、水の精霊様は魚人なイメージも…ああ!見てみたいな!どんな姿なんだろ!
遠くになっていっておねぇさんの声が、いきなり凄く近くで聞こえた
「あ、忘れてたわ。ボージィン様からの言伝てよ。いい?『お前の運命が間もなく救いを求める。守り救え、我の認めし、魂よ』伝えたわよー」
ちょっと待って!何、それ!どういうことだよー!
聞く前に、小さな光が空にあがっていた。
質問に答えてから消えてくれよ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
遅くなりました。
引っ越しをしていまして、ようやくかけました。
面白いと思ったら、ぜひブックマークや感想をお願いします!
やるきが満ちてきます!
「何を?」
何をって、決まってるじゃないか!
「僕の友達!」
傷ついているのに、それでもケルンを守ろうとしてくれた。
命だって、天使のおねぇさんが時を止めてくれなかったら、失っていたことだろう。もしもではなく、確実にだ。
時が止まっているから、血が噴き出るのも止まっているだけで、動き出せば出血死をするだろう。
人間ではないものと友達になるのは、時間がかかるし、自己満足かもしれない。
たった数分間の触れ合いで、友達になったというと、変だと思うだろう。でも、時間の長さが全てではない。
友達になりたいと思って、相手も答えてくれたなら、もう友達だろう?
そこに種族は関係ない。
「友達ね…ケルン。その蛇はミズヴェルド。人を襲う魔物よ。しかも、精霊から魔物になった、裏切り者の末裔。それでも、助けたい?」
「そんなの僕は知らないよー。でもねーだから友達になっちゃだめってことはないと思うのー!」
そうだ!そんなささいなことで友達になれないと誰が決めたんだ?
愚問!愚問だぞ!天使のおねぇさん!俺が棒神様にどういったのか、知らないのか!
魔物だろうと、仲良くなるんだ!あわよくばモフる…そう…魔物もモフる…考えたら、テンション上がってきたぞ!
ケルンいってやれ!
「だって友達だもん!そんなの関係ない!良いも悪いも!この子には関係ない!僕らが友達になるには、関係ないんだもん!」
そうだ!誰が善悪を決めた?その人にとっての善悪だろ!俺には関係ないからな!
人間にだって善人も悪人もいる。魔物だから悪とは限らない。
天使のおねぇさんは、何か納得したのか、遠くを見つめて頷く。
「そうね…では、問うわ。答えて。貴方にとっての希望の光は、なーに?」
希望の光?新しい朝が来たとかの?…違うよな。でも、希望の光ってのは、難しいな。何だろ…んー…ああ、そうだ。光だろ?だったら、これしかないかな。
「起きた時の…みんなの笑顔!」
怖い夢を見た時、どこかへ出かける時、必ず朝の太陽の光を浴びる。そして、家族のみんなが、笑顔で「おはよう!」って、いってくれる。
毎日が、希望の朝だ。
毎日が、希望の光に満ちている。
だって、俺たちは一人じゃない。
「ふふ…そうね。身近で、忘れやすい。けれども、毎朝感じれる光ね。わかったわ」
凄く綺麗に天使のおねぇさんは、笑った。
綺麗で、とても天使らしかった。
「一部だけ、許可します。『私は認めます』」
ふわりと、髪の毛が逆立って、天使のおねぇさんが、強く光った。
人差し指でケルンを指すと、光の玉が出来上がる。
そうして、指先から放たれた光の玉が、ケルンの胸に吸い込まれた。
熱い。かっと暑さが血流にのって全身をかけめぐるようだ。
これは…情報が流れ込む…機械?老若男女がまざり、ノイズと一緒に言葉が聞こえる。
ケルンからではない。俺に直接流れる。
――基礎治癒魔法がアンロックされました。
――基礎無属性魔法がアンロックされました。
――基礎属性魔法がアンロックされました。
――ボージィンの条件をクリアーと認められました。
――スキル『魔法同化』が付与されました。
不思議とその言葉が聞こえると、まるで当たり前のように魔法の使い方や、魔力の流れが俺に扱えるようになった。
あの知らない領域に一部流れていくが、あそこが魔法を司る領域なのだろうか?
そして、新しいスキル『魔法同化』というものが、使えるようになったようだが…使い方とかわからないんだけど、新しいスキルが発言しても使い方が浮かばないのは、普通なのか?みんなどうやってんだろう…練習とか?
「さて、これで、魔法が使えるはずよ」
天使のおねぇさんが、ウィンクをしつつそういった。
よし、わからないスキルは後回しだ!
ケルン!さっそくやってみようぜ!治癒魔法だ!
「精霊様、お願い!『レインヒール』」
初期の治癒魔法で、前にこっそりナザドから習ったけど、使えなかった魔法だ。
癒しの雨粒が、ぽつぽつと少量落ちて、傷を癒す。応急措置にはなるだろう、治癒魔法だ。子供が怪我したら使う魔法ということで覚えておこうと思ってな。
すごく簡単で、その分あんまり治らないけど出血をとめるぐらいはできる。
と、聞いていた。
魔法の効果はすぐに出た。
豪雨。
目の前が、豪雨になっている。男達までびしょびしょというか、溺れるんじゃないか、あれ。
「ちょっと!どんだけ、魔力注いだの!…やっぱり、ロックしててよかったわ…これじゃ、どの魔法も凄いことになるわ…」
天使のおねぇさんが、指を振ると、雨はやみ、蛇がそのままの姿でケルンとおねぇさんの間に現れた。動かせたんだ。
「いい?手を抜くこと!これだけは、忘れないでね?精霊が、過剰に反応するから、ダメよ?」
何度も頷く。
これは、全力はダメだ。絶対、ろくなことにならない。
本当に少量しか降らないはずなのに…消毒と少しの治癒程度の止血作用のはずなのに…深手を負っていた蛇の傷が完治している。魔力過多だと、効果が強まるのかもしれない。
「はぁー…早まったかなぁ…無詠唱とか教えようか考えたけど、ダメね…それにしても…ミズヴェルドの子供か…ケルン、この子大きくなったら、どれぐらいか知ってる?」
無詠唱って、何だろうか?ちょっと気になるが、この蛇が大きくなったらか…んー…脱皮するとして…八、九メートル?
「んー…大人が…四人くらい?」
それぐらいかな?この国の平均身長が百八十ぐらいだから。
「残念、不正解。全長…そうね。この国ぐらい大きくなるの。この蛇は産まれて…貴方ぐらいの歳ね。百年過ぎると、いきなり大きくなるのが特徴なのよ」
大きすぎないか!ケルンぐらいの歳で、この大きさなんだろ?どうしよう…森でも飼えないじゃねぇか。
「どうしよう…家で一緒に暮らしたいのに」
ちょっと厳しいな…国単位とか。
あ、屋敷って意味じゃないぞ!ケルンの家は敷地内って意味だからな。おねぇさん。無理無理って、手を振るなよ!さっきまでの真剣だった雰囲気が台無しだよ!
「そうね~…まぁ、姿形を作り変えるなんて、ボージィン様にでも、頼まないと無理ね」
棒神様に頼めってことは…精霊様とかの魔法には、良い物がないってことなのか…んー…せっかく使えるようになったし、覚えた魔法の知識内で検索かけても、良い物が…ん?
なんで、これがひっかかるんだ?
魔法同化ってスキルが、引っ掛かるんだけど、棒神様があとから、くれるっていってたスキルだよな?使い方がいまいちわからないが…魔法と同化するって、何をだ…何か、ヒントがあれば、閃きそうなんだけど。
天使のおねぇさんが、そうそうと、教えてくれる。
おばさんみたいだから、その手の動き本当にやめた方がいいのに。
「人化の魔法があるけど…『フォーム』はね、仮初めの魔法なの。勘が良かったり、魔力が強いと見破られるし。そもそも、人の形でないと効果がないの。大きくなると、やっぱり大きくなるのよね…」
『フォーム』か…使えなくもないよな。今なら。
姿形を作るか…作る…ん?
『魔法同化』って、魔法『を』同化するんじゃなくて、魔法『に』同化させるスキルってことかもしれないな。
前者だと魔法が付与されるもんかとも思ったけど、それなら『魔法付与』とかになりそうなんだよ。言葉っていうものは、一文字異なるだけで、意味が変わるもんだし、魔法『を』なら、付与でいいしな。
でも、それが魔法『に』なら…選択肢は広がる。
何より、姿形を作るっていうなら、『造物』スキルで、作ればいいんじゃないか!
棒神様から『造物』スキルは、俺の手によってでしか、認められていない。でも、俺が作った物なら、認めてくれるという許可は、もらっていた。ならば、答えは一つ!
よっしゃ!やってやる!絵画と彫刻だけと思うなよ!粘土だって、人形の造形だってやってやらぁ!
というわけで、いっちょやってみるか?
「やってみよー!」
よっしゃ!サポートは任せろ!
「精霊様、お願い!『フォーム』!」
まずは『フォーム』を発動させて、姿形を決める。その前に!
「スキル『魔法同化』!『造物』と『フォーム』を指定!作成!命名!『フォーミングクリエイト!』」
魔法が発動すると、蛇が光に包まれ、球体になる。
スキルの発動の仕方は、俺にはわからない。
エセニアいわく、勝手に体が動くということだ。だったら、想像力で補ってしまえばいい。
魔力の塊があるとして、本来それは一つのことにしか作用しない。そこに、スキルである『造物』を組み込む。俺は、その処理をしつつ、持てるだけの粘土の触り方、こね方から、造形。そして、人形作りの知識をケルンに渡す。そうすると、ケルンは、自分が出せる範囲の手の動きで、作り始める。
頭に胴体、手足。顔もこねて…そうか『フォーム』がベースにあるから、想像しつつやればいけるのか。魔力をこねて、肉体になじませて。肉体も思いつくまま作ろう。
ケルンの…俺の友達。今、産まれ変わるんだ。
天使のおねぇさんが、目を見開いている。それに俺はにっこりと、笑ってやる。ケルンではなく、俺が笑っている。
球体は弾けた。
――魔法『フォーミングクリエイト』が生成、認可されました。
ごっそり魔力がなくなったような気がする…頭くらくらするぞ…あとで確認だな。
「嘘でしょ…ボージィン様が許可するなんて…」
『フォーミングクリエイト』が、かかった蛇は、球体から出てから、徐々に形を人間の子供…ケルンと同じか、一つ、二つ上ぐらいになっていく。裸は不味いから、服の材料は上着を犠牲にした。黒いズボンとシャツになったけど、薄いよな…生地が足りないかも。
所々、蛇の名残の鱗があるが、うーん。女の子っぽくなったけど、男の子だよな…その…ちらって、ケルンと同じぐらいのが見えたからな。
銀色の髪に、白い肌。たぶん、瞳は翡翠色か。物語の主人公みたいだなー。
「驚いた…!これ、人化じゃなくて、本当に魔物を人にしちゃってるじゃないの!」
「うん!人間になったの!」
そりゃ、そういう魔法だからな。作り変える魔法だから『フォーミングクリエイト』って名前にしたんだけど。
「スキルの裏をかくなんて…困ったわね~…こんなこと広まると、混乱しちゃうのよ…仕方ないわ!サービスしちゃう!」
天使のおねぇさんは、そういうと、指をパチンっと鳴らす。すると、三つの黒い球体が突然、おねぇさんの前に浮かびあがった。
「忘れなくてもいいけど、変えさせてもらうわね。…『レリビュノス』」
球体は、男達の眉間を貫く。けれども、傷はついていない。何だ、あの魔法?ぞわってした。
「これで、辻褄は合うわね。さて、そろそろ時を戻すわよ?時間止めるのも疲れるのよ。あ、そこの男達は、ほっといてもいいわ。気絶させてるから…それに、たぶん、ほっといても…ね…」
おねぇさんの声がだんだん、聞き取れなくなってきた。それもそのはず。おねぇさんも透けてきている。
「ありがとうございました!天使の…綺麗なおねぇさん!またね!」
感謝はする!でも、次があったら、もっとまともな感じがいいな!
「あら!…ふふふ。若いっていいわねー。ああ…次に貴方に会えるのは、そうね…たくさんの精霊と契約して、魔法が許可されるようになったら、会えるわね」
たくさんの精霊と契約か…はっ!地の精霊様は、モフモフしてそうだな!いや、水の精霊様は魚人なイメージも…ああ!見てみたいな!どんな姿なんだろ!
遠くになっていっておねぇさんの声が、いきなり凄く近くで聞こえた
「あ、忘れてたわ。ボージィン様からの言伝てよ。いい?『お前の運命が間もなく救いを求める。守り救え、我の認めし、魂よ』伝えたわよー」
ちょっと待って!何、それ!どういうことだよー!
聞く前に、小さな光が空にあがっていた。
質問に答えてから消えてくれよ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
遅くなりました。
引っ越しをしていまして、ようやくかけました。
面白いと思ったら、ぜひブックマークや感想をお願いします!
やるきが満ちてきます!
0
お気に入りに追加
317
あなたにおすすめの小説
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる