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ルシューランにて
古い歴史書
しおりを挟む「あった」
図書館の三階。町の歴史書が並ぶ本棚の間で分厚い本を抱えたサリュは思わず歓声を上げ、はっと口を覆った。
「誰もいないよ」
笑いながら本棚の影から顔を出したカルが開かれた資料をのぞき込んだ。ほっとしたように肩を下ろしたサリュは苦い顔で笑い返してページの一角を指差す。
「ここ」
これを書き残すのは再び起こりうる悲劇だからである。
そもそもの発端は町の時計塔━━━━━が鳴らなくなったこと━━━。塔の主動力源である━━━が寿命を迎え、その効力が━━━━━。それにより、本来━━晩、計━━鳴るはずのハーノパルは動きを止めた。
私たちを待っていたのは町の破滅だった。町の━━が皆、目を━━さなくなった。いや、幾人かは無事だった者もいた。その夜━━━かった者たちだ。しかし残った彼らもいつしか睡魔に負け、崩れ落ちて動かなくなった。町には部外者である我々と、商売に来ていた人々が取り残された。
今回の不思議な現象は、ハーノパルの不調によって起こったもののようである。
塔を動かすために我々は魔鉱石を探した。幸い近くに鉱山があり、そこで━━━━の魔鉱石を手に入れることができた。
私たちの持ち帰った━━━は残った者の手によってあの白い時計塔へと運ばれた。
程無くして流れた━━━━━━━━━━━━━━━━━。
今回のことはそもそもが町が塔の音色によって操作されていることに原因があると考えられる。信じられないが町全体を包むほどの強力な力が働いている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━その理由さえもけして答えようとはしなかった。
しかしこの力が━━━━であるならば、一人━━━━がある。あくまで推測だが、これほどの魔力を持つ者というと━━━━━━━━━━━━━。巷で噂がたっている━━━━━━━━━━━しか━━と。
「━━破れてる」
その先は乱暴に破り取られ、下のページがのぞいている。
「時計塔の不調、てことでいいんだよな」
古いせいか文字が掠れ、読めないところも多々あるが。
「うん。たぶん」
ここに書かれていることが事実であれば、魔鉱石が必要なのだ。それも強力な魔力を含むものが。
「でも、、」
信じていいのだろうか。内容にあまりにも現実味がない。町ひとつが時計塔の音色によって繋がれていたなど。
サリュにはどうも理解できなかった。確かにこの事態が特殊であるのだから、常識を語ったとして意味はないのかもしれない。だがこれはあまりにも。そんな強力な魔力を持つ人間なんて━━━━
ふと肩に重さを感じて振り向くとカルがゆっくりと首を振った。
「しよう、できることを」
事実かどうか、試す以外に知る方法はない。もし、ただの物語ならもう一度他の方法を探そう。今は何よりもルビアナを安心させなければならない。
「、、うん。わかった」
本を閉じる手にはどこか不安が残った。
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