日本転移

くろやん

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間話・タイムトリップの真実(裏設定) ①

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「まずは現状の把握だ。『大和』との交信を最優先すべきだろう。羽島くん。」女性防衛大臣の名を呼ぶ。
「あらゆる手を使って彼らとの意思疎通を図って欲しい。」
「わかりましたわ。」

一通り、閣僚に指示した後、ため息をつきながら一服するために別室に引っ込んだ総理。
「これでいいのかね?」
総理はそこにいた少女に話しかけた。
「ご苦労様です。」
「今の所君の言ったとおりになった。いい加減に君の正体とこうなった理由を教えてくれないか?」
「良いですよ。地震直後・・・2021年10月21日正午に地球は異星文明の侵略を受けるんですよ。
その歴史を変えるために日本を太平洋戦争直前の世界に送り込んだわけです。」
「・・・・。」割と重大な話だ。そして馬鹿馬鹿しい絵空事だ。
もし日本列島が実際に過去に時間移動していなければ一笑に付すところの妄言である。
「あれ?まだ信じていませんね。」目の前の白衣の少女は心外と言った表情で言った。
「・・・いや。実際に大和とか見れば信じざるを得まい。」
「良かった。現時点での技術系の開示は認められていませんからね。どうやって説得しようかと思いました。」
安心したように笑顔を見せる少女である。
「この時間に転移させたのにも意味があります。あんまり時代の開きがありすぎて技術格差が過ぎるとうまく融合出来ないんですよね。」
「・・・君は日本国民に何を望む?」
「先ほど言ったとおり、歴史を変えて欲しいのです。もちろんタダじゃありません。技術供与も当然します。」
少女は言う。
「ただし70年であいつらとやり合えるレベルになってもらいます。」

それは突然やってきた。
そしてそいつらに地球人類はなすすべもなく占領された。
その圧倒的な科学力と軍事力で。
その数千年後、1人の地球出身の天才少女が歴史を変えることを決意する。
「それがこの私です。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
官邸のNSC会議室はある意味重苦しい雰囲気であった。
総理が少女を連れてきたかと思うと、その少女が中二みたいなことを言ったのだった。
「ふう。」予想してたかのように少女はため息をついた。
「・・・・しょうが無いですね。未来技術の一端をお見せしますか。」
少女はそう言いながら手をかざすとそこに透明なスクリーンが現れた。
すると机の上に物体が生成され始める。
その物体は著作権的にやばいものだった。
モザイクものである。
「これは3Dプリンターのようなものですね。
少なくとも21世紀初頭の段階でこんな技術はまだないはずですよ。」
「・・・・す・・・すごい。」
「これは・・なんでも作れるのかね?」
子どものように目を輝かせた総務大臣が言った。
「はい。」即答である。
「リ○ちゃん人形から恒星破壊兵器までなんでも。」
「・・・ひとつ質問がある。いいかね?」
「どうぞ。」
「この時代の日本はどこへ行ったんだ?」
「探知不可能ですね。」少女は言う。
「時空間連続体の張力で消滅したか、あるいは、過去へ転送されたかもしれません。」

少女はこの答えが正解だと気づくこともなく、可能性の一つだと認識していた。
1940年時点の大日本帝国は2億年以上も過去のとある惑星にとばされる。
そこで超文明を築き、2021年に地球へ悲願の『帰還』をすることになるのだがそれはまた別な話である。
結果的にその帰還そのものがいわゆる「2021年の大侵略」と呼称される異星人の侵略ということなのだが、高度な情報操作によって彼女は気が付くことが出来なかった。

「現時点であなた方日本人が選ぶべき道はいくつかあります。
第二次大戦レベルの世界なら世界征服っていう手もあるでしょう。」
「君、そ、それは・・・・・。」
「平和憲法があるのですよね。でもそれはあくまで敗戦した結果です。
現時点では太平洋戦争すら起こってないデスヨ。敗戦国というレッテルから逃れられるチャンスですね。
・・・・・それに。」少女はいった。
「大東亜共栄圏は事実上失敗してるではありませんか?彼らがそこまで思想レベルで考えられるようになるまであの帝国は待ってくれませんよ。」
あの帝国が地球を見つけるのは地球時間で2021年10月20日である。
占領完了したのが10月21日だから、たった1日で地球全土を占領したのだ。
この時点で80年ほど時間があるが、はたして80年ほどで地球人類の意識を統合できるかと言えば不可能と言う他無い。
地球人類同士で争ってるこの時代の人間を見れば一目瞭然であろう。
21世紀初頭でも紛争は絶えず、宗教でも殺し合ってきたのが血塗られてきた人類の歴史なのだ。
それを考えるならチート武力を行使して世界征服し、無理矢理地球人類としての意識を統合するほうが遥かに合理的ではないのか?
少女はそれを言ってるのである。
平和憲法とか言って引きこもってる場合かと。

「技術の開示はどうか?」
「・・・核を見たらわかるでしょう?自滅のためのネタを提供することになるだけですよ。
地球人同士でなら核による相互確証破壊もありでしょうがね。あの帝国には通用しません。
小銀河でさえ破壊できる兵器を持ってますから。」
皮肉気に少女は続ける。
「もう一つは鎖国体制を敷いてひたすらに技術の向上を図るという選択肢ですね。
守るべき場所が日本列島だけなのだから、あの帝国に一矢報いる可能性は格段に上がるでしょう。」
「・・・そこまで帝国はすごいのかね?」
「いくつもの超銀河団を統べる超大国ですから。」
閣僚たちはため息をつくばかりである。
「彼らの母星は地球から6億光年彼方にあります。行ったことはないですけどね。」
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