【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

最終章 決別と終幕

12-9

｢そ…そんな!!

結菜ぁ!!｣



俺は結菜の眠るベッドに駆け寄った｡



｢嘘だろ!?

結菜!!

頼む!!目を開けてくれ!!｣



俺は必死になって結菜の体を揺さぶる｡



｢やめないか!!｣



結菜のお父さんが止めにはいる｡



｢結菜!!

頼むよ!!

本当にごめんっ…

もう結菜と生きていくって決めたんだ!!

もう辛い思いはさせないから!!

だから頼むよぉ!!!｣




何度叫んでも｡


何度体を揺すっても｡


結菜はピクリとも動かなかった｡


心電図の音だけが静けさのなかに虚しく響いていた｡



｢もういいんだよ｡

歩くん｡

君は君の人生を生きなさい｡

それが結菜の願いでもあるんだ…｡｣




俺は結菜のベッドに寄り添いながら泣いた｡


いったいどのくらい時間がたったんだろうか｡


俺は涙が渇れてしまうくらいに泣いていた｡



｢すみません…

お父さん…

ちょっと二人にしてもらえませんか…?｣



｢大丈夫かい?｣



｢はい…

もう落ち着きましたから…｣



その言葉を聞くと､


結菜のお父さんは病室を出ていった｡


部屋は更に静かになり｡


俺はじっと結菜の顔を見つめていた｡



もう結菜は目覚めることはない｡



俺のせいで結菜は…｡



この時､



俺はもしかしたら結菜を助けられるかもしれない｡



そう思っていた｡



頼む…｡


俺はどうなったっていい!


結菜を助けてやってくれ!


俺は結菜の手を握りしめながら強く願った｡


もしかしたら､


あの悪魔がもう一度契約を持ちかけてくれないかと思ったんだ｡


何度も何度もつよく願う｡


だが悪魔が現れる気配はいっこうにしなかった｡



｢…なんでだよ…

頼むよ…

助けてくれよ!!!｣



俺が叫んだ瞬間｡


妙な感覚に襲われた｡


まるで時間が止まったような…｡


心電図の音が聞こえない｡


あたりは静まり返っていた｡



｢ふふふ…

どうした?｣



聞き覚えのある声が病室に響いた｡


辺りを見回すと､


窓際にはあの悪魔がたっていた｡



｢よかった!

本当に来てくれた!!｣



悪魔は不気味に笑みを見せる｡



｢おや?

これはどういうことだ?

せっかく蘇らせた女がまた死んでいるな｡｣



｢死んでる…?

結菜はもう死んでしまっているのか!?｣



｢あぁ｡

その女の身体にはもう魂はない｡

無理矢理動かしてはいるがな?｣



｢…そうか…｡

なぁ頼む!!

もう俺はどうなったていい!!

残りの寿命全部をやったっていい!!

だから!!

結菜をもう一度生き返らせてくれ!!｣



悪魔はまたニヤリと笑った｡