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最終章 決別と終幕

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車に飛び乗り走り出す。


どこの病院なのかハッキリきいていなかった。


だけど車は迷わずに進む。


結菜の実家から一番近い病院。


そこに間違いないと思った。


急いで車をとめて病院にかけ込む。


受付で結菜の部屋番号をきく。


頭の中はただただ結菜のことを考えて一心不乱に行動する。


まわりの不必要な音や声がなにも聞こえない気がした。



「失礼ですが、ご家族の方ですか?」



「え…その…」



言葉が詰まる。


なんて言えばいいんだ…。



「歩くん?

やっぱり来てくれたのね。」



うしろから結菜のお母さんが声をかけてくれた。



「部屋には私が案内するわ。

ついてきて。」



結菜のお母さんは疲れきった顔をしていた。


どこまで知っているのか、


俺のことをどう思っているのか。


怖くて俺は顔を見れなかった。



無言のまま進む二人。


やっぱり俺に原因があるのはわかっているのか。



「歩くん…

話しは結菜からきいたわ。

とても信じられないけど…

もしそれが本当なら…

歩くんが突然結菜に別れを告げたのが理解できる…

逆に言えば…

本当じゃないならあなたが結菜をふるなんて考えられないものね…

本当に結菜は幸せそうだったから…

いつもあなたの話をして…

本当に愛されていたと思うわ…」


お母さんは泣いていた。


本当は俺を責め立てたいに決まってる。


でもこんな状況にもかかわらず、


俺なんかに気を使ってくれているんだ。



「…すみません…。」



謝ることしかできなかった…。


涙がただ流れ落ちる。


俺の言葉が聞こえたのか、聞こえなかったのか…


お母さんはなにも言わなかった。


普段は優しい人だけに…


どんな言葉よりも辛く感じた。



病室が並ぶ廊下に出ると、


両脇に設けられたベンチに結菜のお父さんが座っていた。


俺に気づくとゆっくりと立ち上がった。



お父さんの目は真っ赤に充血して腫れていた。


いったいどれだけ泣いたんだろう。


お父さんが俺の前にたって口を開いた。



「歩くん…。

話しは結菜からきいたよ。

結菜の部屋には手紙があってね?

君が命の半分を使って結菜を助けてくれたことが書いてあった。

はじめは信じることなんてできなかったが…

その手紙には君を責めないでくれと書いてあった。

私の性格を知っているからだろう…

何度も何度も君を責めるなと書いてあった。

たしかに…

3年という時間は長い。

君の心が結菜を離れていったのも仕方ないのかもしれない…。」



お父さんは拳を握りしめながら必死で涙を堪えている。


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