【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

第８章 勇気と知恵

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そして運命の土曜日｡


俺と恵は電車にのって待ち合わせの場所へと向かっていた｡


揺られる車内で二人は強く手を握りあう。


これからおこることへの怖さ､緊張｡


そのさきに待っているであろう幸せ｡


今日で終わりにする｡


強い気持ちが沸き上がってくる｡


恵は不安そうな顔を浮かべている｡


刻一刻と迫る運命の時､二人はただただ無言で寄り添っていた｡


駅についてまずは恵が待ち合わせの場所へ向かった｡


俺はその少し後ろをついて歩いていく｡


男をつれてるのをみてもしかしたらいなくなる可能性もなくはないからだ｡



先週も恵が待っていた噴水に到着して男を待つ｡



俺は噴水を挟んで反対側であたりを見ながら待っていた｡


本当はこういうのはしょうにあわない｡


でも事が事だけにだまってはいられない｡



…緊張してきた｡｡


少したつと噴水にまっすぐ向かってくる男が見えた｡


真っ黒い肌に金色のオールバック｡


間違いない｡アイツだ｡



｢よっ!恵!｣



俺は軽く手をあげて恵の前に止まった｡



190cmはあるだろうか､本当にでかいしゴツい｡



まぁたしかに顔はちょっとイケメンだ｡



恵から聞いた話しによるとこの男の名前は樋山 鉄雄(ひやま てつお)っていうらしい｡


年は俺と同い年で高校中退後にドカタやってるガテン系の兄ちゃんって感じだ｡


恵とは街でナンパされて知り合ったらしい｡



気性が荒くてカッとなるとすぐ喧嘩をするような見た目通りの男だ｡



｢あのさ…鉄雄｡

今日はちょっと話があるんだ｡｣



恵がまず切り出した｡



｢あ?またあの話しか?

まぁとりあえずここじゃなんだからホテル行くぞ?｣



そう言って鉄雄は恵の腕をつかんだ｡


｢ちょっと待てよ!

お前が鉄雄か!｣



俺はここぞとばかりに二人の前に立ちはだかった｡



｢はぁ?

誰だよお前!｣



鉄雄は俺に顔を近づけてガンを飛ばしてくる｡


でかいしさすがに怖いな｡


｢恵をもうお前とは会わせない｡

俺は恵の彼氏だ｡｣



｢あぁ～｡お前が恵の彼氏か｡

わかった｡別に構わないぜ?｣



なんと鉄雄は余裕の態度でそう返してきた｡



あれ?どういうことだ?