【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

第４章 友情と愛情

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そして小さな声で俺に言った｡



｢あ､あの…

私待ってますから!!｣



そう言うと俺の手の中に小さな紙キレを忍ばせた｡



｢え?…これは?｣



俺が聞き返そうかとした時にはもう恵ちゃんは楓のところへと戻っていった｡



俺は突然の出来事に動揺しながらも紙の中を確かめた｡




そこには電話番号が書かれていた｡


一度も話していないのに正直驚いた｡



そして嬉しかった｡



あれは俺の勘違いなんかじゃなくて､


やっぱりお互いがお互いをきにかけていたんだ｡




…でも俺は考えた｡



このまま俺が電話をして仲良くなったら楓はいい顔をしないだろう｡


楓には借りがある｡



友情と愛情の天秤が揺れ始める｡



って、悩んでどうするんだ。


…俺には結菜がいる｡


やっぱり電話はかけないでおこう｡


こうして合コンは終了し､


楓は恵ちゃんと二人で帰っていった｡



複雑な気持ちだが仕方がない｡



きっと恵ちゃんは楓と上手くいくだろう｡



だって気がなけりゃ無理矢理にしろ､一緒に帰ったりはしないだろう｡



普通は俺に気があるなら一緒に帰ったりはしない｡


むしろ俺と帰るだろ｡



なんだか気持ちがイライラしてきた｡





俺…､もしかして嫉妬しちゃってる…?


そして俺は結局電話はしなかった｡


でも正直恵ちゃんのことが気になって夜も眠れなかった｡


なんだっていうんだ｡


付き合ってもいないのに嫉妬をするなんて馬鹿げてる｡


早坂さんの時にも言われた言葉が胸に突き刺さる｡


｢彼氏づらしないで｣



俺は結局また女に踊らされてるのか｡



そして次の日になっていつものように会社へと出勤した｡


会社ではいつもと変わらなく仕事をこなしている楓がいた｡


昨日はあのあと恵ちゃんとどうなったんだろうか｡



楓からは何も言ってはこなかった｡



昼食を終えた休憩時間､



俺はしびれを切らせて楓にきいてみることにした｡




｢おっす､楓｡

いやぁ～今日もあと半日だなぁ!｣



｢本当だなぁ!

あぁ～もう帰って寝たいよなぁ～!｣




｢ところでよぉ～?

昨日はどうだったんだ?｣




｢ん?なにがだ?｣