17 / 87
第3章 過ちと愚かさ
3-4
しおりを挟む
「ふざけんな!!
テメェになにがわかんだよ!!」
パシっ!!
激しい音とともに楓の頬が赤く滲んだ。
早坂さんの目からは大粒の涙が溢れていた。
楓は早坂さんから手を離した。
「男を手玉にとってる気になってるみたいだけどよ、
遊ばれてんのは結局お前なんだよ。
幸せって言葉の意味がわかんないだろ?
本当に、
惨めだな。」
「うっせぇんだよ!!
テメェらもなにみてんだよ!
どけよっ!!」
物凄い形相で涙をながしながら、
早坂さんはそのまま会社を出ていってしまった。
社内は静まり返り、
そのなかで俺は自分の情けなさに呆然と立ち尽くしていた。
「歩…
いこうぜ?」
「楓…、俺…」
「まぁまぁ、
なにも言うなってぇ!」
楓はそう笑顔で言い、俺をその場から連れ出してくれた。
会社のロビーにある自動販売機でコーヒーを買い、
ベンチに座った。
「楓…
全部お前のいうとおりだったよ…
せっかく教えてくれてたのにごめんな…。」
楓は煙草に火をつけて話し出した。
「いや、俺こそもっと強く言うべきだったんだ。
恋は盲目って言うだろ?
人ってのは恋に落ちたばっかは周りの言うことなんて頭に入らないもんなんだよなぁ。
自分の恋愛を否定されたら頭にくるのもわかる。
あの時の歩はそんな目ぇしてたよ。
俺がそうだったからさ。
これ以上言ったら嫌われると思って距離をおいてたんだよ。」
楓の優しさに助けられた。
たしかにあの時の俺なら、きっと話を聞こうとはしなかっただろう。
「本当にありがとうな。
それしか言えねぇよ…。」
楓は俺の背中をドンと叩いた。
「まぁなんにせよ歩の恋愛経験が少なすぎるのは事実だからなぁ!
感謝してんなら合コンの人数合わせに協力しろよ?
冗談抜きで一回大人の恋愛ってのも経験したほうがいいって!」
「…。
あぁ。そうかもな。。」
たしかに楓に申し訳ない気持ちもあってオッケーを出したのもある。
でも正直なところは違った。
煙草みたいなもんで、一本も吸わないって決めているときには意志は固いが、
なにかの拍子に一本だけでも吸ってしまうと決意が簡単に揺らいでしまう。
俺は早坂さんと関係をもってしまったことで、
少しだけ決意が緩んでしまっていた。
テメェになにがわかんだよ!!」
パシっ!!
激しい音とともに楓の頬が赤く滲んだ。
早坂さんの目からは大粒の涙が溢れていた。
楓は早坂さんから手を離した。
「男を手玉にとってる気になってるみたいだけどよ、
遊ばれてんのは結局お前なんだよ。
幸せって言葉の意味がわかんないだろ?
本当に、
惨めだな。」
「うっせぇんだよ!!
テメェらもなにみてんだよ!
どけよっ!!」
物凄い形相で涙をながしながら、
早坂さんはそのまま会社を出ていってしまった。
社内は静まり返り、
そのなかで俺は自分の情けなさに呆然と立ち尽くしていた。
「歩…
いこうぜ?」
「楓…、俺…」
「まぁまぁ、
なにも言うなってぇ!」
楓はそう笑顔で言い、俺をその場から連れ出してくれた。
会社のロビーにある自動販売機でコーヒーを買い、
ベンチに座った。
「楓…
全部お前のいうとおりだったよ…
せっかく教えてくれてたのにごめんな…。」
楓は煙草に火をつけて話し出した。
「いや、俺こそもっと強く言うべきだったんだ。
恋は盲目って言うだろ?
人ってのは恋に落ちたばっかは周りの言うことなんて頭に入らないもんなんだよなぁ。
自分の恋愛を否定されたら頭にくるのもわかる。
あの時の歩はそんな目ぇしてたよ。
俺がそうだったからさ。
これ以上言ったら嫌われると思って距離をおいてたんだよ。」
楓の優しさに助けられた。
たしかにあの時の俺なら、きっと話を聞こうとはしなかっただろう。
「本当にありがとうな。
それしか言えねぇよ…。」
楓は俺の背中をドンと叩いた。
「まぁなんにせよ歩の恋愛経験が少なすぎるのは事実だからなぁ!
感謝してんなら合コンの人数合わせに協力しろよ?
冗談抜きで一回大人の恋愛ってのも経験したほうがいいって!」
「…。
あぁ。そうかもな。。」
たしかに楓に申し訳ない気持ちもあってオッケーを出したのもある。
でも正直なところは違った。
煙草みたいなもんで、一本も吸わないって決めているときには意志は固いが、
なにかの拍子に一本だけでも吸ってしまうと決意が簡単に揺らいでしまう。
俺は早坂さんと関係をもってしまったことで、
少しだけ決意が緩んでしまっていた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
年下の彼氏には同い年の女性の方がお似合いなので、別れ話をしようと思います!
ほったげな
恋愛
私には年下の彼氏がいる。その彼氏が同い年くらいの女性と街を歩いていた。同じくらいの年の女性の方が彼には似合う。だから、私は彼に別れ話をしようと思う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる