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参章・昇りし太陽編
3-15 72 智花視点 知らない繋がり
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あまりにも空虚だった。怖いくらいに。
だから、自身の蒼の太刀をもっと上手く使えるように特訓する事にした。
何かぎこちない。
まるで、夢の中で走り方を忘れたような感覚だった。
「朧月(中)…!」
上手く出せない。自分の理想から遠くかけ離れている。
もっと綺麗に霞める筈なのに。それとも、元々がこれかもしれない。
理想と現実の区別がついていない厨二病を拗らせた記憶は無いけど。
でも、関係無く私を馬鹿にしたクラスメートを許してはおけない。
強くなる理由があるのには変わらない。
「っ…!月桂(中)…!」
上手く出せない。
これじゃあ、モンスターたった一体すら倒せない。
(…なんか、まるで…)
外の世界に行くどころか、資格など取ってない筈だ。
それ程の実力などありはしないのに。
そもそもそんな力を持っていれば、私はクラスメートに馬鹿にされる事はない。
しかし…馬鹿にされる理由が自身の弱さ以外にこの体力の無さといってもいい。
昔から病弱だった。直ぐに息切れを起こし、腕に力が入らなくなる。
やっと最近、まともに運動が出来るようになった。
寝たきり、座ったままじゃなくなった。
少なくとも学園に入るまでには、この虚弱な体力を何とかしたい。
「ふぅ…ふぅ……」
だけど少し変だ。
体力がついている気がするし、異常に弱い気もする。
なんでこんなにも違和感があるのだろうか。
決して大きなものでも、確かなものではない。
気のせいと思う程のとても小さな違和感。奇妙なズレ。
その違和感はどうやら私だけなようだし、気のせいなのだろう。
…と思っても、気のせいだとは到底思えない。
「やあやあ、そこのお嬢さん?」
すると見るからに怪しいおじさんが話しかけてきた。
嫌な予感がする。
「……はい?…道に迷いましたか?」
一応聞いてみる。
「いいや。ここはよく知ってる道だよ。それよりも…」
「…」
「一緒に美味しいもの食べていかない?…おごるからさ。」
「………………遠慮しときますね。」
帰ろうとしたが、強く引き留められた。
これは面倒な事に遭遇してしまった。
「君の好きな食べ物を食べれるよ?」
「結構です。」
振り払おうとするがおじさんの力が強い。
「…離してもらいますか。」
「お嬢さん。…拒否権が君が未だにあると思っているのが、俺は甚だ疑問だなぁ…?」
(あ、この人は俗に言うクソジジイだ。)
「拒否権なんて人類皆持ってますって。」
そろそろしつこい。こんなしつこいのは稀だ。
「そこまで言うなら決闘で決めようじゃないか。そうすれば問題無いだろう?」
決闘を申し込むという事はそれ程の実力があるという事だ。
何と野蛮なクソ野郎だろうか。目の前のおじさんは下品に笑っている。
決闘で決めるか、大人しく誘いを受けるか…
…でも………決闘しても負ける。そんな実力は無い。
どうしたら…どうしたら……!
恐怖で身体が竦む。
またこんな理不尽を受けるのか。
また自分の弱さを恨むのか。
いつの間にか知っているこの恐怖。
本当に…私は忘れてないと言えるのか。
「あ、奏恵。あれ智花じゃない?」
「あ、ホントだ…!やっと見つけたよ~」
初対面な筈の二人の女の子が私を見つけた。
「あ、この人と会話中?」
2人の中の奏恵…ではない子が、そう聞くので私は顔を横に振る。
「あ?邪魔すんなよ。それとも、俺と一緒に美味しい物を食べに行くか?」
そう言い、奏恵ではない方の子の肩に手を回した。
彼女は思いっ切り腕を振り解いた。
その目は嫌悪そのものに満ちている。
「私はこの子に用がありますので、お引き取り下さい。」
「嫌だと言ったら?」
2人はオジサンを嘲笑う。
「智花を、見下して強い気分になるのってどんな気分ですか?」
奏恵と言う子は言い切った。
「見たところ、ブレイカーで個人での資格を所持できるレベルのようですね。強い自信は持っていると思います。」
「当たり前だ。持っているレベルじゃねえ。持ってるんだ俺は。」
「明らかに彼女は持ってなさそうですね。自分の都合になるように人を蹴落とすのは楽しいですか?」
「…ああ。当たり前だ。俺の勝ち試合に付き合ってくれよ。3人まとめて来てもいいんだぜ?」
「わかりました。いいよね?光。」
「まぁ…それくらいなら多分。」
「え…!?」
急過ぎる。
「えぇ…」
私は何も言ってないけど…
確かに、一人の時よりも明らかに希望はある。
まぁだからなんだ…と言う事だ。
「えっとね…智花。」
「何で…私の名前を…」
それに、さっきからこの二人の事は知らないのに、私の名前を知っている事も不思議だ。
「取り敢えず…簡潔に説明するとね…」
という事で、2人に説明してもらった。
というか、ブレイカーのオジサンとの決闘は彼女達にとってついで程度である。
「……って言う事。」
「…はぁ…」
確かに、今回は初めまして…のようだが、初めましてという訳ではなく、前回に会ったらしい。
意味不明だ。
ハジメマシテダケドハジメマシテジャナイ…?
この人達おかしくない?
しかも、普通の人なら理解出来ない内容という事も理解している。
え、怖。
それでも何故か信じてしまう自分がいる。
ああ…そうか。私も、この話を信じてしまう私もおかしい人だ。
私の知らない何かに怒り、私の知らない何かに慄き、私の知らない何かを望んていた。
この理由がこの二人は知っている。
私も…何処かで、胸の奥底で理解している筈だ。
それを理解する為に今決闘しよう。刃を研ぎ澄まし、勇気の焔を燃やす。
「…私も、戦うよ。」
体力は無いけど。あと弱いけど。…何も役に立たないじゃん。
決闘が始まった。
(大)レベルを合計で打てるのは多分三回。
(中)レベルを連続で打てるのはギリ五回。
それ以上はガス欠を起こし、圧倒的な隙を生んでしまう。
びっくりするほど自分が弱過ぎる。
すると二人の武器が人とは違う事が分かった。
どうやらこの二人はちゃんと実力があるようだ。資格を持ってる。
「お二人さんが資格所持者だとは思わなかったな。」
「団体だけどね。」
「そうかそうか。じゃあ個人の資格所持者には叶わないなぁ!破壊の突(大)…!」
明らかに武器を壊しにきている。
「縮地(小)…」
奏恵(と呼ばれている人)は冷静に後ろに下がる。
素人でも動作で戦闘に慣れていると分かる。
「雷球(中)。」
「ッチ!こんなんで俺は殺れねぇぜ!縮地(中)!」
物凄い速度で光(っていう名前らしい人)に接近した。
初めての共闘の筈なのに、何故か動けてしまう。
ウィザードは近接は向いてない。私が行くしかない…!
「朧月(中)…!」
「ぐっ…!?」
今まで一番理想に近い攻撃だった。負担も少ない理想の攻撃。
この二人となら…私は自由を掴みとれるのではないかという希望さえ生まれた。
「っ…!?」
途端に頭が痛くなる。
ブレイカーの能力?いや、違う。あり得ない…!
そんな能力はブレイカーに備わっていない。
「先ずはお前からだ!」
「…!!」
痛みで動けない。
死ぬ。
また…死ぬ…!!!!
ううううあああああああ…!
痛い…いや…!止めて!お願い!
また…私を殺さないで!死ぬのは…嫌…!!!
皆強くなったんだね。流石、皆だね。
お願い…希望を見せないで…!!
皆死ぬのに!皆…死んだのに!!!!
知ってるよ…思い出したよ!!!
私が死んだって事を!奏恵に…奏恵の成れの果てに殺されたって事を!
「破壊の剛(中)…!」
この記憶を取り戻して…その後…私はまた戦わないといけないの?
「智花!」
違うよ…二人が思ってる程私は強くない…
怖いよ。また死ぬかもしれない。
二人が殺されても、化物になっても立ち上がれても…私は立ち上がれるとは限らないんだよ…?
緋色先輩みたいに、名の思い出せないあの人が大事な人である訳じゃない。
夏希先輩みたいに、優しくて強くもない。
香露音先輩みたいに、格好良くて美しい訳じゃない。
鶴みたいに、戦えない。
奏恵みたいに、前を向けない。
光みたいに、立ち上がれない。
私は………弱い。
私達、皆が夏希先輩ともう一度会いたいんです!
そういえば、こんな言葉を私が言ったのか…
どうしても思い出したからには助けたかった。
夏希先輩が居ないまま…という事が気持ち悪くて嫌だった。
その為に私は戦った。
…この時の私は…馬鹿だったんだ。
簡単に終わるだろうって思ってた。ぱぱっと外の世界に行って帰れるって。
間違ってた。…あの時は戦う覚悟が出来てなかったんだ。
許してよ。幼稚だったのは謝るから。
「月面斬り(大)…!」
「なっ…!」
ブレイカーの能力ごと叩き斬る。
能力をも斬れるのが蒼の太刀の真骨頂。そして真理。
私の理想。
やっぱり、私は馬鹿だよ。おかしいんだよ。私も、先輩達全員も。
それでも尚…私は今からその馬鹿の道を歩む。
馬鹿馬鹿しいよ、全く。
殺されたのに。
殺された事よりも、自分の弱さで死んだせいなのに奏恵のせいにしてた自分に怒ってるのに。
最低だよ。
私一人だけ逃げる訳にはいかないじゃん。…そんな事、私が出来るわけがないよ。
そのせいで皆が死んだら…そんな事を考えたくない。
この理不尽に…私は蒼の太刀を手に入れたんだから…!
死への恐怖なんてさっさと超えてやる。最低な結末を迎えるのだけは嫌だ!
私よ…怒れ…!
二度と忘れるな…この怒りを、理不尽を!
戦いたくない。死にたくないもん。そりゃ嫌だよ。
でも、身体が勝手に戦う方へ足を進ませちゃうんだから…やるしかない。
「縮地(中)…!」
「魔法剣…」
光が私の太刀に魔法剣を付与した。蒼い炎が立ち昇る。
「くそ…!破壊の剛(大)!」
「月影(大)。」
全ては私の、私達の力で切り拓く。
馬鹿を嘲笑う為に。馬鹿が必要とされない為に。
だから、自身の蒼の太刀をもっと上手く使えるように特訓する事にした。
何かぎこちない。
まるで、夢の中で走り方を忘れたような感覚だった。
「朧月(中)…!」
上手く出せない。自分の理想から遠くかけ離れている。
もっと綺麗に霞める筈なのに。それとも、元々がこれかもしれない。
理想と現実の区別がついていない厨二病を拗らせた記憶は無いけど。
でも、関係無く私を馬鹿にしたクラスメートを許してはおけない。
強くなる理由があるのには変わらない。
「っ…!月桂(中)…!」
上手く出せない。
これじゃあ、モンスターたった一体すら倒せない。
(…なんか、まるで…)
外の世界に行くどころか、資格など取ってない筈だ。
それ程の実力などありはしないのに。
そもそもそんな力を持っていれば、私はクラスメートに馬鹿にされる事はない。
しかし…馬鹿にされる理由が自身の弱さ以外にこの体力の無さといってもいい。
昔から病弱だった。直ぐに息切れを起こし、腕に力が入らなくなる。
やっと最近、まともに運動が出来るようになった。
寝たきり、座ったままじゃなくなった。
少なくとも学園に入るまでには、この虚弱な体力を何とかしたい。
「ふぅ…ふぅ……」
だけど少し変だ。
体力がついている気がするし、異常に弱い気もする。
なんでこんなにも違和感があるのだろうか。
決して大きなものでも、確かなものではない。
気のせいと思う程のとても小さな違和感。奇妙なズレ。
その違和感はどうやら私だけなようだし、気のせいなのだろう。
…と思っても、気のせいだとは到底思えない。
「やあやあ、そこのお嬢さん?」
すると見るからに怪しいおじさんが話しかけてきた。
嫌な予感がする。
「……はい?…道に迷いましたか?」
一応聞いてみる。
「いいや。ここはよく知ってる道だよ。それよりも…」
「…」
「一緒に美味しいもの食べていかない?…おごるからさ。」
「………………遠慮しときますね。」
帰ろうとしたが、強く引き留められた。
これは面倒な事に遭遇してしまった。
「君の好きな食べ物を食べれるよ?」
「結構です。」
振り払おうとするがおじさんの力が強い。
「…離してもらいますか。」
「お嬢さん。…拒否権が君が未だにあると思っているのが、俺は甚だ疑問だなぁ…?」
(あ、この人は俗に言うクソジジイだ。)
「拒否権なんて人類皆持ってますって。」
そろそろしつこい。こんなしつこいのは稀だ。
「そこまで言うなら決闘で決めようじゃないか。そうすれば問題無いだろう?」
決闘を申し込むという事はそれ程の実力があるという事だ。
何と野蛮なクソ野郎だろうか。目の前のおじさんは下品に笑っている。
決闘で決めるか、大人しく誘いを受けるか…
…でも………決闘しても負ける。そんな実力は無い。
どうしたら…どうしたら……!
恐怖で身体が竦む。
またこんな理不尽を受けるのか。
また自分の弱さを恨むのか。
いつの間にか知っているこの恐怖。
本当に…私は忘れてないと言えるのか。
「あ、奏恵。あれ智花じゃない?」
「あ、ホントだ…!やっと見つけたよ~」
初対面な筈の二人の女の子が私を見つけた。
「あ、この人と会話中?」
2人の中の奏恵…ではない子が、そう聞くので私は顔を横に振る。
「あ?邪魔すんなよ。それとも、俺と一緒に美味しい物を食べに行くか?」
そう言い、奏恵ではない方の子の肩に手を回した。
彼女は思いっ切り腕を振り解いた。
その目は嫌悪そのものに満ちている。
「私はこの子に用がありますので、お引き取り下さい。」
「嫌だと言ったら?」
2人はオジサンを嘲笑う。
「智花を、見下して強い気分になるのってどんな気分ですか?」
奏恵と言う子は言い切った。
「見たところ、ブレイカーで個人での資格を所持できるレベルのようですね。強い自信は持っていると思います。」
「当たり前だ。持っているレベルじゃねえ。持ってるんだ俺は。」
「明らかに彼女は持ってなさそうですね。自分の都合になるように人を蹴落とすのは楽しいですか?」
「…ああ。当たり前だ。俺の勝ち試合に付き合ってくれよ。3人まとめて来てもいいんだぜ?」
「わかりました。いいよね?光。」
「まぁ…それくらいなら多分。」
「え…!?」
急過ぎる。
「えぇ…」
私は何も言ってないけど…
確かに、一人の時よりも明らかに希望はある。
まぁだからなんだ…と言う事だ。
「えっとね…智花。」
「何で…私の名前を…」
それに、さっきからこの二人の事は知らないのに、私の名前を知っている事も不思議だ。
「取り敢えず…簡潔に説明するとね…」
という事で、2人に説明してもらった。
というか、ブレイカーのオジサンとの決闘は彼女達にとってついで程度である。
「……って言う事。」
「…はぁ…」
確かに、今回は初めまして…のようだが、初めましてという訳ではなく、前回に会ったらしい。
意味不明だ。
ハジメマシテダケドハジメマシテジャナイ…?
この人達おかしくない?
しかも、普通の人なら理解出来ない内容という事も理解している。
え、怖。
それでも何故か信じてしまう自分がいる。
ああ…そうか。私も、この話を信じてしまう私もおかしい人だ。
私の知らない何かに怒り、私の知らない何かに慄き、私の知らない何かを望んていた。
この理由がこの二人は知っている。
私も…何処かで、胸の奥底で理解している筈だ。
それを理解する為に今決闘しよう。刃を研ぎ澄まし、勇気の焔を燃やす。
「…私も、戦うよ。」
体力は無いけど。あと弱いけど。…何も役に立たないじゃん。
決闘が始まった。
(大)レベルを合計で打てるのは多分三回。
(中)レベルを連続で打てるのはギリ五回。
それ以上はガス欠を起こし、圧倒的な隙を生んでしまう。
びっくりするほど自分が弱過ぎる。
すると二人の武器が人とは違う事が分かった。
どうやらこの二人はちゃんと実力があるようだ。資格を持ってる。
「お二人さんが資格所持者だとは思わなかったな。」
「団体だけどね。」
「そうかそうか。じゃあ個人の資格所持者には叶わないなぁ!破壊の突(大)…!」
明らかに武器を壊しにきている。
「縮地(小)…」
奏恵(と呼ばれている人)は冷静に後ろに下がる。
素人でも動作で戦闘に慣れていると分かる。
「雷球(中)。」
「ッチ!こんなんで俺は殺れねぇぜ!縮地(中)!」
物凄い速度で光(っていう名前らしい人)に接近した。
初めての共闘の筈なのに、何故か動けてしまう。
ウィザードは近接は向いてない。私が行くしかない…!
「朧月(中)…!」
「ぐっ…!?」
今まで一番理想に近い攻撃だった。負担も少ない理想の攻撃。
この二人となら…私は自由を掴みとれるのではないかという希望さえ生まれた。
「っ…!?」
途端に頭が痛くなる。
ブレイカーの能力?いや、違う。あり得ない…!
そんな能力はブレイカーに備わっていない。
「先ずはお前からだ!」
「…!!」
痛みで動けない。
死ぬ。
また…死ぬ…!!!!
ううううあああああああ…!
痛い…いや…!止めて!お願い!
また…私を殺さないで!死ぬのは…嫌…!!!
皆強くなったんだね。流石、皆だね。
お願い…希望を見せないで…!!
皆死ぬのに!皆…死んだのに!!!!
知ってるよ…思い出したよ!!!
私が死んだって事を!奏恵に…奏恵の成れの果てに殺されたって事を!
「破壊の剛(中)…!」
この記憶を取り戻して…その後…私はまた戦わないといけないの?
「智花!」
違うよ…二人が思ってる程私は強くない…
怖いよ。また死ぬかもしれない。
二人が殺されても、化物になっても立ち上がれても…私は立ち上がれるとは限らないんだよ…?
緋色先輩みたいに、名の思い出せないあの人が大事な人である訳じゃない。
夏希先輩みたいに、優しくて強くもない。
香露音先輩みたいに、格好良くて美しい訳じゃない。
鶴みたいに、戦えない。
奏恵みたいに、前を向けない。
光みたいに、立ち上がれない。
私は………弱い。
私達、皆が夏希先輩ともう一度会いたいんです!
そういえば、こんな言葉を私が言ったのか…
どうしても思い出したからには助けたかった。
夏希先輩が居ないまま…という事が気持ち悪くて嫌だった。
その為に私は戦った。
…この時の私は…馬鹿だったんだ。
簡単に終わるだろうって思ってた。ぱぱっと外の世界に行って帰れるって。
間違ってた。…あの時は戦う覚悟が出来てなかったんだ。
許してよ。幼稚だったのは謝るから。
「月面斬り(大)…!」
「なっ…!」
ブレイカーの能力ごと叩き斬る。
能力をも斬れるのが蒼の太刀の真骨頂。そして真理。
私の理想。
やっぱり、私は馬鹿だよ。おかしいんだよ。私も、先輩達全員も。
それでも尚…私は今からその馬鹿の道を歩む。
馬鹿馬鹿しいよ、全く。
殺されたのに。
殺された事よりも、自分の弱さで死んだせいなのに奏恵のせいにしてた自分に怒ってるのに。
最低だよ。
私一人だけ逃げる訳にはいかないじゃん。…そんな事、私が出来るわけがないよ。
そのせいで皆が死んだら…そんな事を考えたくない。
この理不尽に…私は蒼の太刀を手に入れたんだから…!
死への恐怖なんてさっさと超えてやる。最低な結末を迎えるのだけは嫌だ!
私よ…怒れ…!
二度と忘れるな…この怒りを、理不尽を!
戦いたくない。死にたくないもん。そりゃ嫌だよ。
でも、身体が勝手に戦う方へ足を進ませちゃうんだから…やるしかない。
「縮地(中)…!」
「魔法剣…」
光が私の太刀に魔法剣を付与した。蒼い炎が立ち昇る。
「くそ…!破壊の剛(大)!」
「月影(大)。」
全ては私の、私達の力で切り拓く。
馬鹿を嘲笑う為に。馬鹿が必要とされない為に。
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