ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

文字の大きさ
上 下
51 / 104
弐章・選ばれし勇者編

2-17 49 緋色視点 洗脳に塗れた世界

しおりを挟む
(死線誘導・乱舞(中)…!)

「はぁ…はぁ…!クソ!こいつら硬すぎ!」

大型のモンスターは全くダメージが入ってくれない。

「如何します!?」

「如何するも何も!折損が効かないの…!」

「僕がトドメを刺します!その為の準備をお願いします!」

「無茶振りだね!いいよ…!やってやるよって!」

縮地を使う。自分を囮にしながら死線を張っていく。

「死線誘導・回帰(中)…!」

足に引っ掛けて転ばせる。

「武器生成(中)…!」

後ろに下がりながら、精神世界の緋色執行者の緋色と繋がる。

生成した銃を2発撃つ。

「目を撃ち抜いてやったわ!」

「ナイスですよ!先輩!」

春斗が空中に飛び上から攻撃を仕掛ける。

「火力調節しないといけないのも……無茶振りなんですよ!氷帝の剣(大)…
!」

硬い鱗の隙間を刺し内側から凍てつくす。

火力調節が無茶振りと言いながらちゃんと街に何一つ傷は無い。

「ッチ……香露音は?」

2人はまた別のモンスターと戦っていた。

「縮地(中)…!」

「黒の一閃(中)…!」

緋色達が見ると2人でとどめを刺してモンスターを倒していた。

「流石!」

2人と合流する。

「取り敢えず全部倒したよね…?ここ一帯。」

「そうだね…」

「…………………」

「どうしたの?鶴ちゃん?」

「なんで……助けがいないんですかね………?」

「あ…そうだね……?」

すると、モンスターのうめき声が聞こえる。

「行こう。助けが来ないんだったら、更に放っておけない。」

「勿論。行こう。」

中型モンスターが大量に居る。

「今度は中型なのね!」

「おかしいですよ!…なんか、一直線上にモンスターいるんですけど!」

「……この先はオンボロの時計台しか無いんじゃなかった?輪廻(小)…!」

「いや、正解かもよ。」

緋色は同時に、閃律で眉間を突き刺した。

「確かに、不自然に人が居ますねっと!」

春斗は隼で倒す。

「…………大地の涙……かも………黒の一閃(小)…!」

一気に倒していった。

時計台に向かう。

「このまま倒していけば!」

すると、世界が変色していく。

前方にはガスが襲ってきた。

「何あれ!逃げ………」

一瞬の内に呑み込まれた。




「やっと…視界がは………れ………」

緋色が辺りを見渡すと元の場所にはいなかった。

「此処って…学園の近くなんだけど………?」

でも違う。この隣に、自分の家の近くの郵便局がある筈がない。

「全部、あべこべだ…!」

もしかすると、これが大地の涙のブーストのようだ。

「必殺型だ…私達だけ中の世界とは違うんだ…!」

異次層といった様な世界になっている。

すると体が勝手に動いた。

「ッチ!クソ!洗脳されかけてるじゃん!」

根性で左手で右手を掴んで静止させる。

「おい!精神世界の緋色達、仕事しやがれ………!」

ピンクの世界と、ピンクの煙に包まれている。

(さしずめ…煙が洗脳ガスなんだ……!吸ったら洗脳される…!)

考え方が恐ろしい。何て効率の良い洗脳の仕方だ。

「耐えれないと、大地の涙を見つけられない…!保ってくれよ…!叛逆の緋色…!手伝って…!」

精神世界の緋色と繋がる。

「気配察知が上手い事効かない。…困ったな……皆を探さないと…!」

直感だけで走って行く。

絶対に大地の涙は時計台に居ない気がする。

それでも、時計台を見ながら走って行く。

きっと直線で走れているだろう。

「香露音!鶴ちゃん!春斗!」

叫ぶ。…予想ではあの3人は無理かもしれない。

それに、モンスターも全滅出来ていない。

その証拠に小型モンスターが目の前に居る。

「…知ってる?死線ってね…生死の境界線って意味なんだよ?」

死線を張る。

小型モンスターはその死線を超えた瞬間、バラバラとなっていった。

「急がないと…………!」

走っていくと人を見つける。

「春斗!!!」

叫ぶと春斗は緋色に気付いた。

「ああ…そこに居たんですね?樫妻先輩。」

緋色はニヤリと笑う。

「あの時みたいに緋色先輩って呼んでくれないの?つれないなぁ…」

「分かりましたよ、緋色先輩。これでいいでしょ。」

緋色は春斗の手を掴む。

「そうだね…皆を探しに行こ?」

「その前に………」

春斗は一瞬で剣を生成し緋色の首を狙った。

「やる事があったね。春斗!やっぱり洗脳されやがって!」

緋色は襟を掴み背負い投げをした。

(やっぱりそうだとは思ったよ。私だって危なかったんだし………!だけど如何する…!?)

「ホント馬鹿…!私は後輩には手を出さない主義なのに!」

「輪廻(小)…」

攻撃を避ける。しかし、根本的な部分は春斗と変わり無い。

(戦い方が春斗そのものなんだよね。戦いにくい…!)

斬鉄剣を持っていれば剣を簡単に壊す事が出来るが上手くいかない。

「一か八か…死線誘導・折損(中)…!」

春斗の剣は死線を絡め、そこから折損を使った。

ミシ…という音からヒビが入り、そのまま壊れた。

「さっさと洗脳から解かれてよ…!」

緋色は縮地を使い一瞬にして春斗の元に行く。

そして緋色は春斗の顔を両手で挟んだ。

頬の体温がとても暖かい。

(そういえばこれって眠り姫に似てるなぁ……王子様が姫にキスするやつ……)

緋色は目を瞑る。

「とっとと起きろ…阿呆…!」

そう言い思っきり頭突きをした。

「いったああああ……!石頭じゃなかったのか…私は………!」

緋色はしゃがむ。

(私は姫じゃねぇし。王子様でもねぇし。何だったら男じゃねぇしー!)

頭突きは正義かもしれない。

「いったぁ…!…………何やってくれんですか………樫妻先輩………お陰で洗脳解かれましたけど………」

どうやら、春斗は元に戻ったようだ。

「本当に……………樫妻先輩は……!」

「まぁまぁ?これで元に戻ったんだし、探しに行こう!」

春斗は緋色に近づく。

そして、両手で緋色の顔を挟んだ。

「ふにゃ!?(んな!?)」

「樫妻先輩………」

「にゃにひへふほ!?(何してるの!?)ほひゅうははほはひはひ!(というか顔が近い!)」

「プッ…何言ってるんですか。黙らせますよ。」

「ほうはっへふふほ…?(どうやってするの…?)ほひゅうはははっへんひゃへぇ!(というか笑ってんじゃねぇ!)」

すると更に顔が接近する。

(近い!近い近い近い近い近い!マジで何するの!ねぇ!春斗ぉーーー!)

すると、ほっぺを引っ張ってきた。

「い、いひゃひ………(い、痛い…)」

「先輩…小学園の時、軽い冷え症って言ってませんでしたか?」

「い、いっへは…へほ……(い、言ってた…けど……)」

「顔にこうされたとき冷たかったんですけどー?」

「ほ、ほへんっへ…(ご、ごめんって…)」

「というか、何で頭突きするんですか…!痛かったんですけど!?」

「はっへ、へんほうほふほうほうほひへはやっはほへひゃん?(だって、洗脳解く方法としてはやっぱこれじゃん?)」

「何で、そうなるんですか!えーい…」

「ははひひっはははひへ…!(更に引っ張らないで…!)」

「この位で許しますよ。面白かったし。というかさっき会話何で成立してたんだろう…?」

「し、知らん……先輩のほっぺで遊ぶとは………!…まぁ、それよりも…春斗?ふた手に別れよう。私は大地の涙を探しに行く。春斗は皆を集めて来て。」

「分かりました。それに気配察知は凄い使いにくいですが明らかに人じゃない反応もありますね。」

「そうだね…多分、まだ大型モンスターは倒し切れて無かったかも。」

それに、若干だが時間が可笑しい。

時が戻ったり、進んだり、止まっていたり。

「時空も可笑しいし、中の世界と違うだろうね。此処にいるのはモンスターと、私達と、大地の涙本人。」

「僕達が試験会場を何かしらして出るって分かってたんでしょうね。僕達は罠に嵌められたと。」

「結局は嵌められに来た様なもんだし。気にする事じゃ無いね。」

「そうですね。じゃあまた会いましょう!」

2人はそれぞれ別の方に走って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...