43 / 104
弐章・選ばれし勇者編
2-9 41 春斗視点 忘却の僕
しおりを挟む
僕が姉にお使いを頼まれた時だった。
今日は何故か遠回りに行きたくなってしまった。
課題も終わった事だし特に慌てる必要は無い。
今日くらいはゆっくり行こう。
「え!?春斗じゃん!」
樫妻先輩は少しわざとらしく言う。
「あ!樫妻先輩じゃないですか!」
「久しぶりだねー…元気?」
「はい!元気ですよ。そっちはどうですか?」
何か…デジャヴを感じるが、何故だろう?
それに樫妻先輩も明らかに目が一瞬だが死んでいた。
何があったのだろう?
「……実はね…私、開眼したんだよね。」
「え!?おめでとう御座います!」
しかし、これでは無い。言う慣れた口調と、重々しい口調が読み取れる。
それでも樫妻先輩は強引に会話を続ける。
「それでね。……個人の資格を取ったんだよね。」
取る……では無く、取った。
僕と会わない間にもうそこまでいったのか。
「そうなんですね。いつ開眼したんですか?」
「………割と前…かな…?」
その質問はするなとばかりに困惑している。
僕は明らかにおかしいと思ったので、はっきり言った。
「………で?何が目的なんです?」
樫妻先輩はやっと安心した顔に戻った。
「今まで、何があったか…聞きたい?あ、ついでに近くに美味しいソフトクリーム屋があるんだけど、行かない?奢るよ?」
ケチな樫妻先輩が言うとは思えない言葉だ。
自分から?今まで何があったのだろうと思える程にあり得ない。
まあ、とは言っても僕もソフトクリームが好きだし、甘えておこう。
「行きまーす!」
そして、ソフトクリーム屋に着いた。
…何か…樫妻先輩が小金持ちになっていないか?
ほんのちょっぴり懐が暖かそうな中身だった気がする。
「ケチな私が、こうして奢れるとはね…」
「先輩は自他ともに認めるケチですもんね。本題入ります?」
「…そうだね。」
そうして、樫妻先輩は言い始めた。
前回の世界での出来事を。
勿論信じられない。
「冗談…………ですよね…?」
「私が冗談言える口だと思う?」
「思わないですね。だから、吃驚してるんですよ。」
冗談では無いのは分かるけど、内容が内容過ぎて…
樫妻先輩は開眼し、そこで個人戦を取った。
前回の世界を信じれるのであれば、こればっかりは信じれる話だ。
僕も団体戦の時に開眼した。
…これは信じていいのだろうか?というか、なんの能力かは教えてくれなかった。…ケチ。
ブレインダイブを持っているある子が、消えた。
…誰?それ誰?
名前を聞いても、どうやら僕が覚えてないので認識できないようだった。
というか、存在していないのに、本当にいるのだろうか。
誰にも忘れ去られているのに、それは無いと同義では無いだろうか。
忘却のブレインダイブを再び思い出させる事などどうやったら出来るのか。
というか、僕がその人を思い出せば良くね?
…まぁ無理か。どうやら樫妻先輩曰く、あの子と接点が無い…らしい。
「先輩は如何したいんですか?」
「勿論、復活させる。」
「どうやって?」
「知らん。…でも、私一人じゃどうにもならない。」
珍しく合理的な事を言う。流石に失礼か。
いやでも、先輩は一人でやろうとするからなぁ…
「だから、協力して欲しい。もう既に、一人は協力してくれる。」
本当に、この人は事後報告する位行動が早い時がある。
…いつもトロいのに。
「その人は、僕みたいに思い出せないんですか?」
「いいや、思い出せたよ。私が協力を仰ぐのにあの子は適切だったの。ブレインダイブである…あの子と仲がいいからね。繋がりってやつよ。」
「直ぐに思い出せる人に協力を仰ぐのであれば僕は不適切では?」
「思い出せなくても、手伝ってくれるでしょ?」
…全くこの人は……
「それに、ちゃんと君は強い。大丈夫、大丈夫。」
「何も大丈夫じゃないんですがそれは。」
「で、どうする?手伝ってくれる?」
それでもこの人は強制はしない。樫妻先輩は不安な顔をしている。
そんなに不安なら強制すれば良いのに。どうせ、僕は味方になるんだから。
でも、一つだけ確認しよう。
「…一つ聞きますが、何でそこまで助けたいんですか?」
「………2つあって、まぁ、一つは…消えたのは…私の責任だから。」
「私の……責任…ですか?」
「簡単に言えば…あの子を助ける為に戦ったのに…代償としてあの子の存在だった訳。」
何となーく理解が出来てしまう。
最高の皮肉だと思う。あーあ、最後まで皮肉たっぷり。
本当にこの世界はカスだ。
「そうなんですね。」
「まぁね。だから、自分でやらかした事は自分で片さないとね。」
ちょっと無理した笑顔で言う。
「もう一つは?」
「秘密。」
「…どうせ、関係無く助けたいんでしょう?」
そう言うと、図星を突かれた顔をしてから照れくさそうに笑い、
「違う。」
と、ぶっきらぼうに言った。
本当に分かりやすいなこの人。
まぁそれを言って、隠すのが上手くなると困るから言わないけど。
「…取り敢えず分かりました。…良いですよ。僕は先輩の味方なんで。」
そう言うと樫妻先輩はちょっと恥ずかしそうにしていた。
「どうも。」
樫妻先輩は言われ慣れてないだろうから、そんな事を言うと直ぐに恥ずかしがる。
ちょっとだけ面白い。でも、ちゃんと本心だし。
「…で、僕は何をしたらいいんですか?」
おふざけはこのくらいにして。…ここからが問題だ。
「話を聞いてると僕は思い出したら能力者になるんじゃないですか。」
「そうだよ。」
「マジですか…!?」
思い出せれば、前回の開眼した能力が元通りになるらしいが、結局のところ、僕はまだ無能力者のままだ。
先輩がぼくのことを強いとは言えども…だと思う。
というか、能力者になってる樫妻先輩の方がよっぽど強いんじゃ?
「ん~?ま、最初は簡単だよ。個人の資格を取ればいい。」
「全然簡単じゃないんですがそれは。」
「でも、香露音から聞いた話だけど…」
「はし…ば…し………さん?ですか…?」
何かうろ覚えだけど、ふと思いついた言葉を言った。
「うん、そうだよ。やっぱり覚えてるんだね。忘れているだけなんだね。」
「……何で……僕が…忘れている事が…あるんですね…」
やはり、半信半疑ではあるが、知らない人の名前を知っている事が僕の唯一の証拠だろう。
しかし、思い出せない。
やはり、ブレインダイブの人を思い出さなければ意味が無い。
「ま、話を続けるね。まぁ、私はあの時…外の世界に行ってたからあんまり見てないんだけど、10組で戦ってる時まで無能力者だったし、大丈夫でしょー」
ああ…雑うございますね…
「僕は一体誰と団体戦をしたんでしょう?…樫妻先輩と組んだ記憶無いので…」
「鶴ちゃんと…そっちの先輩?えー…と…雷神…の人。」
「多分、笛伴先輩ですね。…五十嵐さんと……組んだんですか…?」
あり得ない。あの人は戦いたがる人じゃない。
暗殺者の能力を使わないだろうし…と思っていると、
「色々あってね~暗殺者の能力を使う様になったんだよ。部活の皆も暗殺者だって知ってる。公言したからね。」
「……そう………ですか。」
前回で何があったらそうなるのか。
……思ったよりも、エグい事が起こってるのではないか。
樫妻先輩の口調の軽さに騙されているだけではないだろうか。
取り敢えず、ソフトクリームはとっくに食べ終わったので、解散する。
「個人は見に行くよ。頑張って。」
そう言って僕達は別れた。
(お使いの事を完全に忘れたとは……言えないなぁ…)
「……1回戦くらいは簡単に倒さないと…樫妻先輩に怒られちゃいますね。」
1回戦の決闘が終わり、待機室に戻る。
相変わらず、気配が多くて鬱陶しい。
でもここでは何が起きるか分からないから、気配察知を止める事はしたくない。
羽柴士さんは2回戦も簡単に勝ち上がっている。
明らかに……実力が人とは違う。
これも2週目だからだろうか。
………分からない。思い出せない。
ブレインダイブというだけで…不愉快な気持ちになるからだろうか。
この能力を持っているだけでその人に嫌悪感が持ってしまう。
樫妻先輩が見られたくないように。
僕も見られたくないんだ。この…僕の弱い心を。
今日は何故か遠回りに行きたくなってしまった。
課題も終わった事だし特に慌てる必要は無い。
今日くらいはゆっくり行こう。
「え!?春斗じゃん!」
樫妻先輩は少しわざとらしく言う。
「あ!樫妻先輩じゃないですか!」
「久しぶりだねー…元気?」
「はい!元気ですよ。そっちはどうですか?」
何か…デジャヴを感じるが、何故だろう?
それに樫妻先輩も明らかに目が一瞬だが死んでいた。
何があったのだろう?
「……実はね…私、開眼したんだよね。」
「え!?おめでとう御座います!」
しかし、これでは無い。言う慣れた口調と、重々しい口調が読み取れる。
それでも樫妻先輩は強引に会話を続ける。
「それでね。……個人の資格を取ったんだよね。」
取る……では無く、取った。
僕と会わない間にもうそこまでいったのか。
「そうなんですね。いつ開眼したんですか?」
「………割と前…かな…?」
その質問はするなとばかりに困惑している。
僕は明らかにおかしいと思ったので、はっきり言った。
「………で?何が目的なんです?」
樫妻先輩はやっと安心した顔に戻った。
「今まで、何があったか…聞きたい?あ、ついでに近くに美味しいソフトクリーム屋があるんだけど、行かない?奢るよ?」
ケチな樫妻先輩が言うとは思えない言葉だ。
自分から?今まで何があったのだろうと思える程にあり得ない。
まあ、とは言っても僕もソフトクリームが好きだし、甘えておこう。
「行きまーす!」
そして、ソフトクリーム屋に着いた。
…何か…樫妻先輩が小金持ちになっていないか?
ほんのちょっぴり懐が暖かそうな中身だった気がする。
「ケチな私が、こうして奢れるとはね…」
「先輩は自他ともに認めるケチですもんね。本題入ります?」
「…そうだね。」
そうして、樫妻先輩は言い始めた。
前回の世界での出来事を。
勿論信じられない。
「冗談…………ですよね…?」
「私が冗談言える口だと思う?」
「思わないですね。だから、吃驚してるんですよ。」
冗談では無いのは分かるけど、内容が内容過ぎて…
樫妻先輩は開眼し、そこで個人戦を取った。
前回の世界を信じれるのであれば、こればっかりは信じれる話だ。
僕も団体戦の時に開眼した。
…これは信じていいのだろうか?というか、なんの能力かは教えてくれなかった。…ケチ。
ブレインダイブを持っているある子が、消えた。
…誰?それ誰?
名前を聞いても、どうやら僕が覚えてないので認識できないようだった。
というか、存在していないのに、本当にいるのだろうか。
誰にも忘れ去られているのに、それは無いと同義では無いだろうか。
忘却のブレインダイブを再び思い出させる事などどうやったら出来るのか。
というか、僕がその人を思い出せば良くね?
…まぁ無理か。どうやら樫妻先輩曰く、あの子と接点が無い…らしい。
「先輩は如何したいんですか?」
「勿論、復活させる。」
「どうやって?」
「知らん。…でも、私一人じゃどうにもならない。」
珍しく合理的な事を言う。流石に失礼か。
いやでも、先輩は一人でやろうとするからなぁ…
「だから、協力して欲しい。もう既に、一人は協力してくれる。」
本当に、この人は事後報告する位行動が早い時がある。
…いつもトロいのに。
「その人は、僕みたいに思い出せないんですか?」
「いいや、思い出せたよ。私が協力を仰ぐのにあの子は適切だったの。ブレインダイブである…あの子と仲がいいからね。繋がりってやつよ。」
「直ぐに思い出せる人に協力を仰ぐのであれば僕は不適切では?」
「思い出せなくても、手伝ってくれるでしょ?」
…全くこの人は……
「それに、ちゃんと君は強い。大丈夫、大丈夫。」
「何も大丈夫じゃないんですがそれは。」
「で、どうする?手伝ってくれる?」
それでもこの人は強制はしない。樫妻先輩は不安な顔をしている。
そんなに不安なら強制すれば良いのに。どうせ、僕は味方になるんだから。
でも、一つだけ確認しよう。
「…一つ聞きますが、何でそこまで助けたいんですか?」
「………2つあって、まぁ、一つは…消えたのは…私の責任だから。」
「私の……責任…ですか?」
「簡単に言えば…あの子を助ける為に戦ったのに…代償としてあの子の存在だった訳。」
何となーく理解が出来てしまう。
最高の皮肉だと思う。あーあ、最後まで皮肉たっぷり。
本当にこの世界はカスだ。
「そうなんですね。」
「まぁね。だから、自分でやらかした事は自分で片さないとね。」
ちょっと無理した笑顔で言う。
「もう一つは?」
「秘密。」
「…どうせ、関係無く助けたいんでしょう?」
そう言うと、図星を突かれた顔をしてから照れくさそうに笑い、
「違う。」
と、ぶっきらぼうに言った。
本当に分かりやすいなこの人。
まぁそれを言って、隠すのが上手くなると困るから言わないけど。
「…取り敢えず分かりました。…良いですよ。僕は先輩の味方なんで。」
そう言うと樫妻先輩はちょっと恥ずかしそうにしていた。
「どうも。」
樫妻先輩は言われ慣れてないだろうから、そんな事を言うと直ぐに恥ずかしがる。
ちょっとだけ面白い。でも、ちゃんと本心だし。
「…で、僕は何をしたらいいんですか?」
おふざけはこのくらいにして。…ここからが問題だ。
「話を聞いてると僕は思い出したら能力者になるんじゃないですか。」
「そうだよ。」
「マジですか…!?」
思い出せれば、前回の開眼した能力が元通りになるらしいが、結局のところ、僕はまだ無能力者のままだ。
先輩がぼくのことを強いとは言えども…だと思う。
というか、能力者になってる樫妻先輩の方がよっぽど強いんじゃ?
「ん~?ま、最初は簡単だよ。個人の資格を取ればいい。」
「全然簡単じゃないんですがそれは。」
「でも、香露音から聞いた話だけど…」
「はし…ば…し………さん?ですか…?」
何かうろ覚えだけど、ふと思いついた言葉を言った。
「うん、そうだよ。やっぱり覚えてるんだね。忘れているだけなんだね。」
「……何で……僕が…忘れている事が…あるんですね…」
やはり、半信半疑ではあるが、知らない人の名前を知っている事が僕の唯一の証拠だろう。
しかし、思い出せない。
やはり、ブレインダイブの人を思い出さなければ意味が無い。
「ま、話を続けるね。まぁ、私はあの時…外の世界に行ってたからあんまり見てないんだけど、10組で戦ってる時まで無能力者だったし、大丈夫でしょー」
ああ…雑うございますね…
「僕は一体誰と団体戦をしたんでしょう?…樫妻先輩と組んだ記憶無いので…」
「鶴ちゃんと…そっちの先輩?えー…と…雷神…の人。」
「多分、笛伴先輩ですね。…五十嵐さんと……組んだんですか…?」
あり得ない。あの人は戦いたがる人じゃない。
暗殺者の能力を使わないだろうし…と思っていると、
「色々あってね~暗殺者の能力を使う様になったんだよ。部活の皆も暗殺者だって知ってる。公言したからね。」
「……そう………ですか。」
前回で何があったらそうなるのか。
……思ったよりも、エグい事が起こってるのではないか。
樫妻先輩の口調の軽さに騙されているだけではないだろうか。
取り敢えず、ソフトクリームはとっくに食べ終わったので、解散する。
「個人は見に行くよ。頑張って。」
そう言って僕達は別れた。
(お使いの事を完全に忘れたとは……言えないなぁ…)
「……1回戦くらいは簡単に倒さないと…樫妻先輩に怒られちゃいますね。」
1回戦の決闘が終わり、待機室に戻る。
相変わらず、気配が多くて鬱陶しい。
でもここでは何が起きるか分からないから、気配察知を止める事はしたくない。
羽柴士さんは2回戦も簡単に勝ち上がっている。
明らかに……実力が人とは違う。
これも2週目だからだろうか。
………分からない。思い出せない。
ブレインダイブというだけで…不愉快な気持ちになるからだろうか。
この能力を持っているだけでその人に嫌悪感が持ってしまう。
樫妻先輩が見られたくないように。
僕も見られたくないんだ。この…僕の弱い心を。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる