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序章・対の戦い編
1-31 31 夏希視点 ニ日目
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「良く寝た………」
4人は起きて身支度を済ませた。と言っても、緋色と棚見君は元々起きていたが。
緋色は崖から見渡した。
「う~ん…無いなぁ…」
「無いですね…気配察知を使っても建物は見つからないです。」
「だよね~…」
緋色は手帳を取り出しじっと見た。
「目視は出来るみたいなんだけどなぁ…なんせオカルトチックな建物だから…」
みたい…という言葉が引っかかるが、本当に不可解な建物らしい。
「見つかるか分からないよね…」
「でも、今日見つからないと調査やらなんやら出来ない。」
「………あれ?」
香露音が不思議そうに顔を顰めている。
「あれじゃなくて?」
そこには明らかに自然生成されたものではない色をしている物体があった。
「…………あれだね。多分。特徴それなんだわ…」
「ほんとだ…白いですね。一度見つかると凄い目立っているように見えますね…」
「じゃあ行こう!」
他の資格所持者が置いて行ってくれたであろうボロい梯子を下りながら崖を降りていく。
「よっ………と。」
緋色は軽々と降りていく。
よく見たら、鋼糸を上手く使いながら降りていた。
こういう時に便利だなぁ…と夏希は思った。
「ねぇ…いっぱいいるよね?」
緋色は冷や汗を流しながら一気に武器を構えた。
「ちょっと…怖いですよね。これ。本気でやばいですよ。100体は下らないですねぇ…」
「まぁ…気配察知を使わなくても殺気が伝わってくるね。」
「後ろ…逃げれなく無い?」
「まぁ…その分後ろからの襲撃は無いだろうし…十分暴れられるんじゃない?」
大量のモンスターがやって来た。
眠気などこんな地獄を目の当たりにしてある訳が無い。
「死線誘導・殺戮!」
「正義の神罰(大)!」
二人が最初に攻撃し、10体以上を一気に倒した。
そして、棚見君と夏希が更に攻撃に入る。既に精神掌握を出来ている。
「悪夢殺し(大)!」
「英炎の剣(大)!」
派手に蹴散らした。
しかし、まだ居なくならないようだ。
「サルじゃないから、知性が無いんだ!殺すだけしか脳がないんだろうね!死線誘導・乱舞(中)…!」
「本当に面倒!輪廻(小)…!」
「栄光の剣(中)…!こいつら、割とタフですよ…!」
「洗脳(大)……………ああ、もう!言う事聞いてよ!悪夢殺し(中)…!」
緋色は能力を使いながら、極力、体力温存出来ているように見えた。
(私は…まだまだだ…!)
すると、横からモンスターが来た。反応出来ない。
「…!!!」
「縮地(中)…!」
一瞬でモンスターの首を刈った。
「気をつけてよ!」
また、自分の立ち位置にすぐに戻った。感謝を言う暇など今は無い。
「……はぁ…はぁ………」
「終わり…ましたね…………」
モンスターを全てやっつけたのは、1時間程だった。
「朝の運動にしては…少し激しいと思うけど………」
香露音も疲れが見えた。
「もう…あと十体でも来てたら、勝てる気がしなかったよぉ………」
やはり、夏希はまだまだ体力が無い。
2週間だけではやはり少なかった。
それでも緋色や香露音にフォローして貰った。
「…さあ、行こう。また血の匂いを嗅ぎ付けて来られたら溜まったもんじゃない。」
「素材は?」
「諦めたほうがいい。私達には気付いてないだけで、気配察知にまだ引っかかるモンスターが居る。」
4人はすぐに移動した。
歩いていても、特にモンスターは来ない。
1時間程歩いた。
「…そろそろ近い筈だよ。」
緋色がそう言った。どうやらゴールが近づいたようだ。
すると、夏希が違和感に気付いた。
「………こんなにモンスターって来ないの?さっきは死ぬ程来てたのに。」
「…気配察知をしても居ないよね。」
香露音も同じ様に言う。
「私も…」
「…………僕もですよ。……………モンスターの反応どころか…………」
鳥の反応さえも無い。
「急いでか……………」
緋色はそう言い振り向こうとした瞬間、地面が揺れた。
「春斗!気配察知使っても居ないんだけど!」
「それは僕もですよ!でも、多分ここで待ってたら嫌な事が確定で起きます!」
すると、物凄い悍ましい殺気を感じた。
「………居る…!」
「夏希…!?」
気配察知ではわからない何かを夏希は感じた。
これは…まるで………魂を刈る死神のようだ。
目視できてから、攻撃されたのは一瞬の事だった。
「守護の剣(中)!!!!」
一番近い棚見君が夏希を護る。
「正義の審判(大)…!!」
正義の稲妻が死神を穿った。
香露音が死神のようなモンスターを棚見君から剥がした。
「助かります…………!」
「♯∌∪#!?&∌∪≒♯♪↑+###…」
何を言っているかわからないが、異常なまでに身体が恐怖に苛まれる。
「………こいつは……………!」
緋色も今まで見たことの無いくらい睨みつけている。
「≒&&?♪?+…↑#♪←!!」
緋色に襲い掛かった。
「死線誘導・蜘蛛の巣(大)!!」
すると、さっきの攻撃は嘘だったのかのように威力を増した。
「#!#←#←↑↑!←#∪…≒+&?&∪∌♯∌♯∌♯←#+↑+!!!!??」
緋色の防御は一瞬で破れ緋色は吹き飛んだ。
「………グフッ…!」
「緋色…!眼が…!!」
さっきの攻撃で左眼が潰れてしまったようだ。
しかし、緋色は殺意増し増しの目つきをしている。
「…問題無い。」
まだ、死神の攻撃は止まない。
「♬#∪&≒#←#↑?!♬←#♯#♯!?+!&∪…↑∌∨‥∌‥∨」
一瞬で防御を張っても一瞬で壊れ、全員が散り散りに飛んでいった。
「ガハッ……!」
「グゥ……!!!この……!」
「うう……!」
夏希は辺りどころがまだ良く、直ぐに構えた。
「精神掌握が……出来ない…!?」
反応できない速度で近付かれ横に殴り飛ばされた。
激痛のあまり地面を這うことしか出来ない。
「夏希ーーー!!!」
誰かが叫ぶ。何も見えない。意識が飛びそうだ。
いや………既に飛んでいるのかもしれない。
「だーかーらー!先読みのし過ぎは、身を滅ぼすっつてんでしょ!」
友達か叫び、ついでにデコピンを食らった。イテッ…と思わず言った。
「何言ってんのよ。確かに夏希は心配性だけど、あんたは無鉄砲よ!」
「煩いなぁ!ノープランだって楽しいよ!」
「それで痛い目あったのは昨日もでしょ!」
まぁまぁ…と夏希は二人を鎮める。
この二人は優秀だ。どちらも資格所持者。
無鉄砲のこの子はドラゴンスレイヤー。
知略的なこの子は疾風の旅人。
それも、この二人は試験で1位を取っている。
夏希との差は物凄いあるがどちらも良い友人だ。
しかし、ある日二人は関わらなくなった。どうやら喧嘩したようだ。
夏希は知らなかった。知らない場所で喧嘩したようだ。
ある日、知略的な友達が姿を現さなくなった。
夏希は無鉄砲の友達に謝る事を勧めた。
夏希と無鉄砲の友達で探す事にした。
色んな人に聞いた。家にも行った。見た人は居なかった。
いつの間にか、外の世界の扉の前の所まで聞き込みをしていた。
流石に居ないだろうと思っていたら、
「チャクラムの女の子かい?」
自分らと同じ様な歳の若い男が知っていた。
「知ってるんですか!?」
「外の世界に行ったのは俺は見たよ。まあ、俺もチャクラムだし。ちょっと高めのところに括ってる……ポニーテールの子…?」
完全に一致している。
「そう、その子です!知りませんか?」
「…見てない。ごめんな。」
無鉄砲の友達は明日行くと言って直ぐに用意をし始めた。
やはり困っている子を放っとけない子だ。
夏希は無能力者で止める事は出来なかった。
次の日、無鉄砲の子は見送った夏希に元気に手を振り外の世界へ行った。
帰ってくる事は二度と無かった。
それを見かねた、チャクラムの若い男が話しかけてきた。
「…………二人は、どっかに行ったよ。」
どうやら、態々探しに行ってくれたようだ。
「ほら…手紙があって、君に…えぇと…夏希さん?に…渡す様にって。」
そこには、こう書かれていた。
ごめん。もう会えない。私達は仲直りした。
でも、帰れない。楽しかった。ありがとう。
もう一枚には、
ちょっと、二人で遠くに行く予定が出来た。
また会える。あと、100年のするまでに。
その手紙は殴り書きの様でボロボロで、少し濡れた跡の様にシワがあった。
「……ごめん。戻って来るように、頑張ったんだけど………」
夏希は、孤独になった。また会える時まで待たなければならない。
しかし、この空っぽの心は如何すればいいのだろう?
また、誰かと親しくなれば、孤独になるのか?今回の様に。
誰かと喧嘩すれば、自分が遠くに行く羽目になるのかもしれない。
「悲しいよ…………」
小さい、声でそんな事を呟く。
辺りを見渡すと、現実の世界では無かった。
「精神……世界。」
ここは何処だろうか。
更に辺りを見渡すと、ここが何処かすぐにわかった。
「死神の…精神世界。」
悲鳴が絶えず聞こえた。こいつは何度も殺してきたのだろう。
「やめろ!やめてくれ!」
「いやぁあああああああああああ!」
「来るな、来るなぁ!うわあああああああああああ!」
痛い。心が、痛い。
「ごめん………」
「いや………助けて………」
夏希はこの声が聞こえすぐに反応する。
「有希ちゃん…?由夢ちゃん?」
精神世界からの記憶。情報を手繰り寄せもう一度見る。
「…!」
間違い無い。時が止まったままの二人だ。
彼が言っていた言葉を思い出す。
……ごめん。戻って来るように、頑張ったんだけど………
やはり…信じたくなかったが……そういう事かと再認識される。
しかし、彼の姿は見えない。こいつが離れてから来たのだろう。
「なんで…!なんでよ……!こんな…事って…………」
精神世界から追い出され、次の景色は死神が夏希を殺そうとした瞬間。
「酷いよ………………」
4人は起きて身支度を済ませた。と言っても、緋色と棚見君は元々起きていたが。
緋色は崖から見渡した。
「う~ん…無いなぁ…」
「無いですね…気配察知を使っても建物は見つからないです。」
「だよね~…」
緋色は手帳を取り出しじっと見た。
「目視は出来るみたいなんだけどなぁ…なんせオカルトチックな建物だから…」
みたい…という言葉が引っかかるが、本当に不可解な建物らしい。
「見つかるか分からないよね…」
「でも、今日見つからないと調査やらなんやら出来ない。」
「………あれ?」
香露音が不思議そうに顔を顰めている。
「あれじゃなくて?」
そこには明らかに自然生成されたものではない色をしている物体があった。
「…………あれだね。多分。特徴それなんだわ…」
「ほんとだ…白いですね。一度見つかると凄い目立っているように見えますね…」
「じゃあ行こう!」
他の資格所持者が置いて行ってくれたであろうボロい梯子を下りながら崖を降りていく。
「よっ………と。」
緋色は軽々と降りていく。
よく見たら、鋼糸を上手く使いながら降りていた。
こういう時に便利だなぁ…と夏希は思った。
「ねぇ…いっぱいいるよね?」
緋色は冷や汗を流しながら一気に武器を構えた。
「ちょっと…怖いですよね。これ。本気でやばいですよ。100体は下らないですねぇ…」
「まぁ…気配察知を使わなくても殺気が伝わってくるね。」
「後ろ…逃げれなく無い?」
「まぁ…その分後ろからの襲撃は無いだろうし…十分暴れられるんじゃない?」
大量のモンスターがやって来た。
眠気などこんな地獄を目の当たりにしてある訳が無い。
「死線誘導・殺戮!」
「正義の神罰(大)!」
二人が最初に攻撃し、10体以上を一気に倒した。
そして、棚見君と夏希が更に攻撃に入る。既に精神掌握を出来ている。
「悪夢殺し(大)!」
「英炎の剣(大)!」
派手に蹴散らした。
しかし、まだ居なくならないようだ。
「サルじゃないから、知性が無いんだ!殺すだけしか脳がないんだろうね!死線誘導・乱舞(中)…!」
「本当に面倒!輪廻(小)…!」
「栄光の剣(中)…!こいつら、割とタフですよ…!」
「洗脳(大)……………ああ、もう!言う事聞いてよ!悪夢殺し(中)…!」
緋色は能力を使いながら、極力、体力温存出来ているように見えた。
(私は…まだまだだ…!)
すると、横からモンスターが来た。反応出来ない。
「…!!!」
「縮地(中)…!」
一瞬でモンスターの首を刈った。
「気をつけてよ!」
また、自分の立ち位置にすぐに戻った。感謝を言う暇など今は無い。
「……はぁ…はぁ………」
「終わり…ましたね…………」
モンスターを全てやっつけたのは、1時間程だった。
「朝の運動にしては…少し激しいと思うけど………」
香露音も疲れが見えた。
「もう…あと十体でも来てたら、勝てる気がしなかったよぉ………」
やはり、夏希はまだまだ体力が無い。
2週間だけではやはり少なかった。
それでも緋色や香露音にフォローして貰った。
「…さあ、行こう。また血の匂いを嗅ぎ付けて来られたら溜まったもんじゃない。」
「素材は?」
「諦めたほうがいい。私達には気付いてないだけで、気配察知にまだ引っかかるモンスターが居る。」
4人はすぐに移動した。
歩いていても、特にモンスターは来ない。
1時間程歩いた。
「…そろそろ近い筈だよ。」
緋色がそう言った。どうやらゴールが近づいたようだ。
すると、夏希が違和感に気付いた。
「………こんなにモンスターって来ないの?さっきは死ぬ程来てたのに。」
「…気配察知をしても居ないよね。」
香露音も同じ様に言う。
「私も…」
「…………僕もですよ。……………モンスターの反応どころか…………」
鳥の反応さえも無い。
「急いでか……………」
緋色はそう言い振り向こうとした瞬間、地面が揺れた。
「春斗!気配察知使っても居ないんだけど!」
「それは僕もですよ!でも、多分ここで待ってたら嫌な事が確定で起きます!」
すると、物凄い悍ましい殺気を感じた。
「………居る…!」
「夏希…!?」
気配察知ではわからない何かを夏希は感じた。
これは…まるで………魂を刈る死神のようだ。
目視できてから、攻撃されたのは一瞬の事だった。
「守護の剣(中)!!!!」
一番近い棚見君が夏希を護る。
「正義の審判(大)…!!」
正義の稲妻が死神を穿った。
香露音が死神のようなモンスターを棚見君から剥がした。
「助かります…………!」
「♯∌∪#!?&∌∪≒♯♪↑+###…」
何を言っているかわからないが、異常なまでに身体が恐怖に苛まれる。
「………こいつは……………!」
緋色も今まで見たことの無いくらい睨みつけている。
「≒&&?♪?+…↑#♪←!!」
緋色に襲い掛かった。
「死線誘導・蜘蛛の巣(大)!!」
すると、さっきの攻撃は嘘だったのかのように威力を増した。
「#!#←#←↑↑!←#∪…≒+&?&∪∌♯∌♯∌♯←#+↑+!!!!??」
緋色の防御は一瞬で破れ緋色は吹き飛んだ。
「………グフッ…!」
「緋色…!眼が…!!」
さっきの攻撃で左眼が潰れてしまったようだ。
しかし、緋色は殺意増し増しの目つきをしている。
「…問題無い。」
まだ、死神の攻撃は止まない。
「♬#∪&≒#←#↑?!♬←#♯#♯!?+!&∪…↑∌∨‥∌‥∨」
一瞬で防御を張っても一瞬で壊れ、全員が散り散りに飛んでいった。
「ガハッ……!」
「グゥ……!!!この……!」
「うう……!」
夏希は辺りどころがまだ良く、直ぐに構えた。
「精神掌握が……出来ない…!?」
反応できない速度で近付かれ横に殴り飛ばされた。
激痛のあまり地面を這うことしか出来ない。
「夏希ーーー!!!」
誰かが叫ぶ。何も見えない。意識が飛びそうだ。
いや………既に飛んでいるのかもしれない。
「だーかーらー!先読みのし過ぎは、身を滅ぼすっつてんでしょ!」
友達か叫び、ついでにデコピンを食らった。イテッ…と思わず言った。
「何言ってんのよ。確かに夏希は心配性だけど、あんたは無鉄砲よ!」
「煩いなぁ!ノープランだって楽しいよ!」
「それで痛い目あったのは昨日もでしょ!」
まぁまぁ…と夏希は二人を鎮める。
この二人は優秀だ。どちらも資格所持者。
無鉄砲のこの子はドラゴンスレイヤー。
知略的なこの子は疾風の旅人。
それも、この二人は試験で1位を取っている。
夏希との差は物凄いあるがどちらも良い友人だ。
しかし、ある日二人は関わらなくなった。どうやら喧嘩したようだ。
夏希は知らなかった。知らない場所で喧嘩したようだ。
ある日、知略的な友達が姿を現さなくなった。
夏希は無鉄砲の友達に謝る事を勧めた。
夏希と無鉄砲の友達で探す事にした。
色んな人に聞いた。家にも行った。見た人は居なかった。
いつの間にか、外の世界の扉の前の所まで聞き込みをしていた。
流石に居ないだろうと思っていたら、
「チャクラムの女の子かい?」
自分らと同じ様な歳の若い男が知っていた。
「知ってるんですか!?」
「外の世界に行ったのは俺は見たよ。まあ、俺もチャクラムだし。ちょっと高めのところに括ってる……ポニーテールの子…?」
完全に一致している。
「そう、その子です!知りませんか?」
「…見てない。ごめんな。」
無鉄砲の友達は明日行くと言って直ぐに用意をし始めた。
やはり困っている子を放っとけない子だ。
夏希は無能力者で止める事は出来なかった。
次の日、無鉄砲の子は見送った夏希に元気に手を振り外の世界へ行った。
帰ってくる事は二度と無かった。
それを見かねた、チャクラムの若い男が話しかけてきた。
「…………二人は、どっかに行ったよ。」
どうやら、態々探しに行ってくれたようだ。
「ほら…手紙があって、君に…えぇと…夏希さん?に…渡す様にって。」
そこには、こう書かれていた。
ごめん。もう会えない。私達は仲直りした。
でも、帰れない。楽しかった。ありがとう。
もう一枚には、
ちょっと、二人で遠くに行く予定が出来た。
また会える。あと、100年のするまでに。
その手紙は殴り書きの様でボロボロで、少し濡れた跡の様にシワがあった。
「……ごめん。戻って来るように、頑張ったんだけど………」
夏希は、孤独になった。また会える時まで待たなければならない。
しかし、この空っぽの心は如何すればいいのだろう?
また、誰かと親しくなれば、孤独になるのか?今回の様に。
誰かと喧嘩すれば、自分が遠くに行く羽目になるのかもしれない。
「悲しいよ…………」
小さい、声でそんな事を呟く。
辺りを見渡すと、現実の世界では無かった。
「精神……世界。」
ここは何処だろうか。
更に辺りを見渡すと、ここが何処かすぐにわかった。
「死神の…精神世界。」
悲鳴が絶えず聞こえた。こいつは何度も殺してきたのだろう。
「やめろ!やめてくれ!」
「いやぁあああああああああああ!」
「来るな、来るなぁ!うわあああああああああああ!」
痛い。心が、痛い。
「ごめん………」
「いや………助けて………」
夏希はこの声が聞こえすぐに反応する。
「有希ちゃん…?由夢ちゃん?」
精神世界からの記憶。情報を手繰り寄せもう一度見る。
「…!」
間違い無い。時が止まったままの二人だ。
彼が言っていた言葉を思い出す。
……ごめん。戻って来るように、頑張ったんだけど………
やはり…信じたくなかったが……そういう事かと再認識される。
しかし、彼の姿は見えない。こいつが離れてから来たのだろう。
「なんで…!なんでよ……!こんな…事って…………」
精神世界から追い出され、次の景色は死神が夏希を殺そうとした瞬間。
「酷いよ………………」
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