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ユア教 教祖ユア

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序章・対の戦い編

1-17 17 夏希視点 緋色の精神世界へ

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放課後……………

香露音の家に高速で到着する。

「緋色の精神世界一度覗いてから何かあるとは思ってたけど…」

「1回言ってたのは…私達が緋色に興味無いって分かってたからだよね。」

「言ってもすぐに忘れるから…か。」

そして、夏希は緋色の精神世界に行く。

「我は肉体なり。汝は心なり。今、同体と成りて、精神世界に赴かん。」

唱えるが、わざわざそんな事を言う必要など1ミリもない。

洗脳という能力を使っているだけだからだ。

しかし、大地の涙のように意識がある状態は無理だ。

夏希自身がまだまだなだけだろう。




「再三の登場ね。」

緋色がいるが、姿は傷だらけだ。ついでに扉も半壊している。

「何で…もしかして大地の涙のせい?」

「それそれ。精神世界は修復が簡単じゃないのにさ。」

もう一人の緋色が居る。追い出すのに一人だけでは無理なのだろう。

「で、なんの用?」

「緋色の出身小学園を知りたいの。」

「聞いたでしょ。2度目は無いわ。」

「まあ、これが3度目でも無理だけどさ。」

「何で?」

「興味があるからでしょ。わざわざ精神世界に行ってまで聞く必要があるってことは私の何かを探ろうとしている。」

「香露音と一緒なら尚更無理。あの子に少し私の情報言ったし。」

「あの子と結託した?」

「香露音が私に聞いてきた。」

隠したいが、嘘は言えない。

「アウトね。」

「早く帰りな。殺される前に。」

「何で…そこまで!じゃあ何…?誰なら言えるの?」

「そうだなー言えるなら鶴ちゃんと春斗だなー」

「二人とも言う必要無いでしょ。アハハハハ!」

「扉の向こうは誰が見れるの?」

「この先くらいならギリ春斗だけど、もう2つ先は無理無理。」

「まだあるんだね…じゃあこの先位に。」

「見る気?」

「まあ、でも無理だよ。」

「確かに、私の出身学園はわかると思うけど。」

「私にされた仕打ちはもう2つ先よりももっと向こう~」

「向こうに行けば行くほど、私はもっと強くなる~!」

3人目の緋色が現れた。やはり緋色の精神世界はおかしい。

「誰だって隠したいもの、一つや二つあるでしょ。」

「鶴ちゃんとかもねー」

「ちゃんと精神世界に入ってみたよ。隠してる訳じゃ無い。」

「鶴の能力は?」

「……普段は言わないけど…ハンターだって…」

全員の緋色が爆笑している。

「あーあ。そうだね。本当にそうだぁ!」

「やっぱり私は間違って無い!」

「フフフ…アハハハハハ!」

「何が可笑しいの?鶴ちゃんの何を知ってるの?」

「それは私の機密情報って事で。」

「まあ、私が優秀なだけー」

「流石に人の情報は私の情報よりも隠すべきよ。それよりも、緋色!あんたは扉から内側の人間でしょ!帰ってよ!」

「つまんないもーん。誰かを殺せないのー?あ、夏希がいるじゃーん!」

「っ…!」

夏希は身構える。

「だから…抗うだけ無駄だって。緋色である私達でも構わないから。」

それでも夏希は諦めない。

「じゃあ、貴方を倒せば見れる?」

一瞬で夏希の腕が吹き飛ぶ。

「無理だよーだって…貴方弱いし。それに、私が一番強い訳じゃない。それに、私達はまだブーストを使えない。」

「執行者の緋色がいる限り無理ね。」

「っぅううあああ…!」

「苦痛の声…ゾクゾクする!でも、やっぱりこっちの緋色は嫌いなんだよね。」

「当たり前でしょ。煩いもの。」

「じゃあ殺していい?ウフフ。」

「駄目だって。言ってあげなよ。別に斬られた訳じゃないってさ。」

夏希はそれを聞き、腕を見た。すると、腕がちゃんとある。

「ブチギレ状態の緋色と戦える?こんなに話を聞いてくれないよ?」

「それは…」

「執行者の緋色って言ってたよね?執行者という能力を一番使いこなせてるんだよ?そして冷徹だよ?あー怖い怖い。そんなバケモンと戦うつもり?」

「……」

「それに、そんな緋色でさえ、二つ向こう。三つ向こうなら、一瞬で跳ね飛ばされるね!」

楽しそうに緋色は言っている。まるで殺し合いが好きな子供だ。

「ここに…普通の緋色っていないのね…」

「いるよ!呼んだら来るよ?」

「まあね。夏希だって一応1つの扉は潜ってる。」

「信用出来ない人間ではないしね。」

「信用できる人間ではないけどね。」

「…………やっぱり…か。」

「だからねー1つの前とここの記憶は夏希は見れるんだよー!まあ、下らない記憶だけど。」

「情報にならない情報ね。そっちが欲しいものは何一つ手に入らないでしょうね。」

「で、まだ戦うつもり?この扉を抜けるにはここの緋色倒さないとね。でもね!倒して、その扉を抜けた瞬間から私が貴方を殺してあげる!」

「大地の涙のようにはさせないわ。」

「もう油断はしない。」

「大地の涙に負けたの…?」

「あ?」

両刃の刃を持っている緋色子どもの眼が変わる。

「そうだよ。馬鹿みたいに強かった。」

4人目だ。これが普通の緋色だろう。

「君が私を普通の緋色を読んでたよね?多分一番実際の緋色に近いよ。私。」

確かに服装が制服だ。周りの緋色は全然違う。特にこの子供の緋色。

「それにしても、黙って黙って。怒らせないでよ。この子。理性なんて貧弱なんだから。」

「別に?」

「拗ねないでよ。でさー流石に私の所に来て戦ったけどー初撃で瀕死レベルでさー」

大地の涙は物凄く強いようだ。

「ちょっと危ない人だからここを素通りさせたんだけど…」

「そんな事したくないわ!」

「止めないと!って思ったんだし!」

「でも負けたじゃん。理由あったのにー!」

「煩い!」

「それに!結局止めてくれたのは執行者でしょ!」

「思いっ切り緋色の肉体にダメージ入れたけどね!」

「私をガン無視で喧嘩してる…じゃあ、何でダメージ入ったの?」

好奇心で質問する。貰える情報は貰っておこう。無理なものは無理だ。

「んー?知ってる?」

「私は…知らない。ここの二人は知らん。」

「子緋色は?」

「子供って言うな!」

「じゃあ長剣緋色は?」

「し、知らない。多分。いや…知らないというか理解できないって感じ?」

「理解できない?」

「多分、限りなく黒に近い灰色の事をして、ブースト打ったらしいよ。打てないくせに。」

「そりゃ、吐血するわ。我ながら馬鹿なことを…」

「え…あんた知ってるの?」

「本当に?普通の緋色が?双子緋色は知らないよ?」

いつの間にか、緋色毎に名前が決まっている。

「んー。もう、本人に聞いたら?私はなんてほぼ現実の緋色だし。言ったら濁すだろうけど言ってくれるよ?」

「そんな事より早く帰って欲しいわ~」

「そんな事言われても…」

「でも、拒否権は無いよ~どうする?私達と戦う?ここに勝ったら一応居るの許可するよ?」

「近くに私いないからさ。質問しても答えが帰ってくるってこと。」

「便利ー!凄い凄い!死んでも、一応お土産あるし、やるだけやってみたら?だって、損は無いでしょ?」

「流石にここで殺されたら精神的にきっついけどね。」

普通の緋色はちゃんと現実世界の緋色だ。まともな事しか言わない。

しかし、殺されたくは無いがこの緋色(一人だったが)に一度勝っている。

「やるよ。二度目も勝てる。二人になっても。」

「じゃあ、私が審判するね。れでぃ~~~~…ファイ!」





「はっ………!」

「起きた…!夏希、大丈夫?」

見慣れない部屋と香露音が見える。現実世界に戻ってきたようだ。

前よりはだいぶ強くなって、自分の能力をちゃんと把握出来ている状態で3分も保たなかった。

夏希には精神世界に居るときだけ使える能力が二つある。

一つは、能力上昇アビリティ・アップグレード

全ての基礎能力(小)が、(中)になるというなかなかの高性能。

二つは、微睡みの剣。

自由自在に斬撃が放たれる。これも恐ろしいくらいに強い能力だ。

この二つをちゃんと使いこなした筈だが、双子緋色の連携が異常に強かった。

(それよりも、理由…か。理由がトリガーとなって強くなった…そっちの方が多分緋色を強くした…)

「で?どうだったの?」

「う~ん…無理だった。拒否されたよ。でもね…ヒントは言ってた。」

「どんな?」

「そうだなー言えるなら鶴ちゃんと春斗だなーって、精神世界の緋色が言ってた。」

「鶴ちゃんに出身小学園を聞けばいいって事!」

「そう!現実世界に帰ってくるまで気付かなかったけど!」

ということで、鶴ちゃんに聞いてみる。

割と回数を重ねて転学していたらしいので、棚見君と緋色が居る所だと付け加えた。

「蒼小学園だって。」

「分かった!調べよう…!ちょっと待ってて。」

隣の部屋で香露音が調べに行った。一応夏希は何をしているか見ていないので、よく分からないが機密情報並の何かがあるらしい。

香露音の家はとてもハイテクだ。

数分後に、香露音が戻ってきた。

「分かった事は、蒼小学園はとっても優秀だった。」

「エリート学園?って事?」

「ちょっと違うかも。緋色と棚見君と、一個上の年だけ優秀って感じかな。たまたまだと思う。」

「どこか優秀だったの?」

「緋色の学年は卒業までに開眼した生徒が6割。元々開眼していたのが、3割弱。」

「ほぼ九割が能力者。……鳥肌立ってきた…」

夏希は今年に開眼したので、恐ろしさがよく分かる。

夏希の出身小学園は、大体半分が無能力者だった。

だからあまり問題は起きていない。

「私の小学園でさえ、7割。こんなところに無能力者がいたら…」

「大変だよ…いや、それどころじゃ…」

「それだけじゃない。元々の合計人数が少ない。いつも100人前後らしい。」

「いても10人。クラスで分けたら3人………鳥肌が止まらない…」

夏希は自分の腕を擦る。

「しかも、この学園は決闘の規制が緩いらしくて、学年長に1言言うだけでオッケーらしい。」

「イジメの原因になるものを…」

「つまりは…イジメが起きるのに最適な環境に緋色は居たってこと。」

「うわぁ…」

小学園は何をしているのだろう。

「勿論、無能力者であろう約10人全員卒業してる訳じゃない。7人が辞めてるか、どっかに行ってて…」

「そこまで行ったら…登校拒否するよね。皆…」

「そうだね。でも、今まで緋色はちゃんと行ってる言動していたし…」

「多分だけど緋色一人に全部かかってるね…」

「病まないほうが可笑しいね…」

緋色がいた場所は、地獄で、理不尽で、狂っていた。

それがよく分かった。緋色はずっと…苦しんでいた。
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