上 下
2 / 15

お皿を割った罰 (後編)

しおりを挟む
「今日からお姉ちゃんの罪は、あんたにお仕置きすることにしたわ。」

父がいなくなった日。母はわたしに宣言した。
わたしはいきなりのことで頭が回らず、母が言った言葉の意味が理解出来なかった。

「ちなみに、あんたの罪は、あんたに2倍お仕置きするから。」

わたしがオドオドしているうちに、話はどんどん進められる。
隣で聞いていたお姉ちゃんも、わたしと同じ様子だった。

「もちろん、今まで以上に厳しくて、恥ずかしいお仕置きにするから、覚悟しなさい。」



あの日からわたしへのお仕置きは、毎日のように続いた。

“お姉ちゃん”がおねしょした・“お姉ちゃん”がテストで悪い点を取った・“お姉ちゃん”が学校に遅刻した・“お姉ちゃん”が…お姉ちゃん”が……etc…

思い返せば、わたしが原因で怒られたことは、数えるくらいしかなかった。
『なんでっ!?』・『どうしてっ!?』
そんな思いは何度もあったが、母にぶつけるたび、帰ってくるのは平手打ちだけだった。

いつからか、わたしは考えるのをやめ、素直に罰を受けるようになった。
“こうゆうものだ”そう思うようになってからは、追加罰の回数も減ったと思う。

ただ、お姉ちゃんはあの日以来、さらにわがままになり、根本的な罰が増えている気がするが…。



バヂンッ!

「ほら、早く起きなさいっ!」

頰に痛みを覚え、目を開けた。 
なんだか頭がボーッとして、思考がまとまらない。

「お仕置き中に居眠りなんていい度胸ね。そんなに気持ちよかった?」

『おしおき…?…そうだ、わたしはお仕置きを受けていたのだった。』

母の言葉でようやく頭が回ってきて、状況を少しずつ把握していく。

「…まい?お尻…大丈夫?」

「おしり?」

お姉ちゃんが心配そうにわたしを見つめる。
その一言で、わたしの意識はお尻にいく。
“ズキズキ”・“ジグジグ”・“じんじん”

「…い、い、いっだぁぁぁいっ!」

お尻全体から訴えられる痛みが、一気にわたしに押し寄せた。
とっさにお尻を抑えるが、その抑えた手さえも痛みを与える凶器となる。

「うるさいわね。お仕置きが足りないのかしら?」

「もう嫌だぁぁ!わだしわるぐないのにぃぃ!!」

もう何も考えることが出来ず、思ったことをそのまま口に出してしまう。
半端パニックとなったわたしは母を睨みつけていた。

「…そう。じゃあ出ていくのね?」

「…え?」

『出ていく?この家を?』

「この家のルールに従えないんなら、もういる必要はないでしょう?」

…正直、何度か考えたことはあった。
“この家を出ていって自由に暮らす”
だが、実際に家を出たところで、お金はないし、頼れる親戚もいない。
そんな思いがあり、わたしはこの考えを捨てていた。

「まあ、出ていったら学校の友達に会えなくなるわ。」

「…。」

「それに一度出ていったら“二度と”家には入れないわよ?」

「……。」

「きっとご飯も食べられず、お腹を空かせたまま死ぬのがオチよ?」

「………。」

母の言葉がわたしを追い詰める。
『死にたくない』
そんな思いが頭を埋め尽くした。

「さあどうするの?続きのお仕置きを受ける?…それとも出ていく?」

「………お、お仕置きを受けます。」

わたしは散々迷って“お仕置き”を選択した。
母の顔に笑みが浮かぶ。
気のせいか、お姉ちゃんもホッとした様子に思えた。

「じゃあ次のお仕置きをするわ。テーブルの上でオムツ替えの姿勢になりなさい。」

「……はい。」

わたしは言われた通りの姿勢になる。
この姿勢で受けるお仕置きは1つしかない。
もはや、“恥ずかしい”なんて言ってられなくなるほどの“お仕置き”である。

「今からこの性器にお仕置きよ。平手で百叩きだからね。」

予想通りのお仕置き内容に、わたしは内心ため息をついた。
母はわたしの大事なところに指を当て、離す。
どうやら、指の濡れ具合を確認してるようだ。

「今日は濡れてないのね。この前みたいに追加罰を与えようと思ったのに。」

「ひいっ…」

あまり厳しくないお仕置きの際に、わたしは“感じて”しまったことがある。
それを理由にされた追加罰は、今でもわたしのトラウマとなっている。
それ以来、わたしはお仕置きで感じることは、ほとんど無くなった。

「じゃあ始めるわよ。覚悟はいい?」

「…はい。」

ビッヂン!!

「いっだぁぁぁい!」

平手が当たった瞬間、わたしの大事なところが熱を持ち、一瞬針を刺すような痛みが全身を駆け巡った。

母の手がわたしの大事なところから離れる。
叩かれた部分は、手形の形で真っ赤に腫れ、熱を持っている。
だが、母はお気に召さなかったのか、不満そうな顔をしていた。

「あら、思ったより腫れないわね。次はもっと強く叩かないと。」

「ひぃぃ…!?」

ビッヂィン!!!

「ぎゃぁぁあ!!」

今度は、さっきよりも強い衝撃がわたしを襲う。
当たった場所が更に腫れ上がり、更に痛みが増していた。

このお仕置きの辛いところは、お尻や太ももと違い、“同じところばかり”をずっと叩かれ続けることだ。
当然、痛みは1点に蓄積され堪え難いものとなる。
たった2発でこれなのに、残り98回も耐えられるとは、とても思えなかった。

バッヂン!!

「いぃぃぃっ!!」

3発目、先程より少し上らへんを叩かれる。
膝を抑える手が、“じんじん”する部分を庇いたくなるが、必死に我慢する。

バジッ!パァン!バシッ!バヂンッ!

「いだいっ!いっだぁぁぃ!もういやっ!」

それから50回、70回と同じところを叩かれ続け、その度に、大事なところからもの凄い音がした。
身体中から汗が吹き出し、膝を抑える手が滑りそうになる。



「さあ、最後の1発よ。歯を食いしばりなさい。」

ビッヂィィン!!!

「だぁぁぁいぃぃ!!」

最後の1発が降り注ぎ、気のせいか“お星様のマーク”が見えた気がする。

わたしの大事なところは痣だらけで酷いことになっていて、しばらくはおしっこをするのも大変そうであった。

「ハァッ…ハァ…」

「さて、最後はお立たせよ。早く立ちなさい。」

「うぅ…。」

『少しくらい休ませてほしい…』
息を切らしながら必死で母に訴える。

虚ろな目で周りを見ると、お姉ちゃんが視界に入った。
心配してくれているのか、口に手を当てていた。

「…初めからお仕置きをやり直す?」

「ご、ごめんなさいっ!?いまなりますっ!!」

声のトーンが落ちた母の呟きがはっきり聞こえた。
これは“警告”を意味するもので、下手したら本当にお仕置きをやり直されてしまう。

“ズキズキ”と痛む重い下半身を上げて、急いで立ち上がる。
手を頭に組んで“お立たせの姿勢”となった。

「じゃあ仕上げの1発よ。しっかり歯を食いしばりなさい。」

「…はい、お願いします!」

バッヂィィィンッ!!!

「ぎゃぁぁぁぁっ!いっだぁぁぁいっ!!!」

もともと触るだけでも激痛が走るお尻に“母の渾身の一撃”が与えられる。
お尻全体に電撃を当てられたような感覚が走る。

お尻には紫色をした手形がくっきりとでき、“お仕置き完了の刻印”として刻まれていた。

「それじゃ、これでお仕置きは終わりよ。」

「…おじおぎ、ありがどぉございまじだぁ…。」

「反省中にお尻さすったりしてたら、また最初からだからね。」

「…あ゛い、わがりまじだぁ…。」

『やっと終わった』
母が二階に戻るのを確認し、わたしは安心しきっていた。
まだお尻が“ビリビリ”と痛むが、なんとかさすらずに耐えられそうだった。

“カシャッ”
後ろでカメラのシャッター音が響く。
お姉ちゃんは、わたしのお仕置きが終わるといつも写真を撮る。

“恥ずかしいからやめて”
何度言っても改善されることはなく、強めに言うと泣いしまい、“わたしが”追加罰をくらったこともあるから、もう気にしないことにしていた。

「まい…、ごめんね。」

「……。」

「おしり、痛い?」

「…すっごく痛いっ」

正直、腹が立つから話したくないが、話さないと泣いてしまう。
『誰のせいだと思ってるのっ!?』
本当はそう言ってやりたい気分だった。

「少しでも良くなるように。お姉ちゃんがなでなでしてあげるね。」

「…!?さ、触らないでっ!?」

「え…?」

いまは触れられるだけでも痛いのに、撫でられたりなんかしたら…。
頭で考えるより早く、反射的に口に出ていた。

「まい…、お姉ちゃんのこと嫌いなの…?」

「ち、違っ!?」

「…だって、嫌いだから触ってほしくないんでしょ?」

…まずい、このままではお姉ちゃんが泣いてしまう。
今泣かれたら、母が一瞬で駆けつけ、お仕置きのやり直しをされるのは明白だった。

すでにお姉ちゃんの目からは涙が溢れそうになっている。
決壊するのは時間の問題だった。

「さ、触っていいからっ!だから泣かないでっ!!」

「よかった♫」

なでなで

「いっ!?」

お姉ちゃんの無邪気な手のひらが、わたしのお尻を撫でる。
お世辞にも無事とは言えないお尻が、悲鳴を上げた。

なでなで、なでなで

「お姉ちゃんっ!!もう、やめてっ!!」

「え…、やっぱり、嫌いなの?」

「…っ!?」

もう、限界だった。
身体中から汗が溢れ出し、とっくに危険信号を放っていた。
『もう…許して…』



その後、案の定わたしは耐えきれず、お尻を庇ってしまう。
その様子を母に見つかり、お仕置きはやり直しとなる。

わたしはお仕置き後、3日間まともに座ることが出来なくなり、学校を休んだ。

その間、お姉ちゃんから“手厚い看護”を受けたのは、また別の話にしようと思う。

「完」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

ピアノ教室~先輩の家のお尻たたき~

鞭尻
大衆娯楽
「お尻をたたかれたい」と想い続けてきた理沙。 ある日、憧れの先輩の家が家でお尻をたたかれていること、さらに先輩の家で開かれているピアノ教室では「お尻たたきのお仕置き」があることを知る。 早速、ピアノ教室に通い始めた理沙は、先輩の母親から念願のお尻たたきを受けたり同じくお尻をたたかれている先輩とお尻たたきの話をしたりと「お尻たたきのある日常」を満喫するようになって……

結衣のお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
比較的真面目な女の子結衣が厳しいお尻叩きのお仕置きを受けていくお話です。Pixivにも同じ内容で投稿しています。

“ペンペン”配信サイト

ロアケーキ
大衆娯楽
ある特殊なサイトで、動画を投稿する親子を描いたお話です。 ……かなり理不尽な内容ですので、閲覧の際はご注意くださいませ。

収容施設“天使の家”

ロアケーキ
大衆娯楽
ここは幸せな施設“天使の家”。 だが、その実態は名前とは異なり…。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...