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フランクさん達とのお話終了
しおりを挟む「そうですね。とりあえず、一度ブハギムノングへ行ってみます」
「そうね。ソフィー一人残されて、状況がわからないかもしれないから、説明しておいた方がいいわね」
「それに、その男の事もな。本当にリク様が話した通り、その男が全て仕組んだのか、方法や理由なんかも聞き出さないといけないからな」
「簡単に口を割るとは思えませんが……それでも、情報を得るには必要でしょう。……リク様なら問題ないでしょうが、書簡を用意致します。順当にいけば、その男はブハギムノングの衛兵に引き渡しているでしょうから、直接リク様が話をできるように、取り計らいます」
「え……えっと、俺が取り調べるんですか?」
取り調べとか、した事ないんだけど……。
というか、この世界に来るまで学生だった人間が、取り調べをした事なんてあるわけないか。
「まぁ、向こうでそういった事が得意な者を、リク様に付けるように指示しておきます。本当なら、私が行きたいところですが……リク様の方が早いでしょうしな。それに、まだこの街でやる事も残っています。いまだ、不安がっている住民がいますので」
「リク様がいてくれるおかげや、圧倒的な力で魔物を倒してくれたから、そこまで多くないが……また魔物が来るのではないか、と考えているのもいるみたいだからな」
「……わかりました。情報が引き出せるかはわりませんが、やってみます」
「大丈夫よ、きっと魔物を全てリクさん一人で倒したって言ったら、怖れて全部話してくれるわ」
「ははは……そうだといいんだけど……」
フランクさんが指示して、向こうで聞き出すのが得意な人を付けてくれるらしい。
俺は不慣れだから、喜んで頼ろうと思う。
ただ話すだけならともかく、口封じをするような人から情報を引き出すなんて、自信がないしね。
モニカさんが気楽に言っているけど……多分そんなに簡単じゃないだろうし、軽く脅すくらいじゃ話してくれそうにないなぁ……まぁ、俺を励ますために言ってくれているんだと思うけど。
それに、魔物を倒したのは俺だけじゃなくエルサやユノもだし、最後は街の人に協力してもらったから、一人と言うのは言い過ぎだと思う。
まぁ、黒装束の男に、戦闘の経緯を詳しく説明する必要はないだろうし、軽く脅すくらいで情報が得られるなら、それもありかもしれないけどね。
……ベルンタさんやフォルガットさん、ソフィーにも言ったら協力してもらえるかなぁ?
「ではまた後程、宿へ書簡を届けさせます」
「はい、よろしくお願いします」
「俺達冒険者ギルドは、調査に全力を注ぐぞ。強力な魔物もいなくなったし、リク様が寝ている二日間で周囲の魔物自体が減っているようだからな」
「そちらも、よろしくお願いします」
「それじゃ、リクさん」
「うん」
さらにしばらく話して、これからの予定を決めてから、冒険者ギルドから出る。
フランクさんは、街の人たちを安心させる事と共に、周辺におかしな事がないかの調査。
ノイッシュさんは、冒険者さん達を使って今回の事に関する調査……これは、魔物達の集まっていた場所を調べたりするようだ、モニカさん達も調査依頼継続として、こちらだね。
ついでに、俺が倒した魔物の回収も急がせるようだ。
報酬に関しては急いでいないから、そちらは後回してもいいんだけど、魔物の死骸が山になっているような状況をそのままにはできないからね。
「リクーだわー!」
「リク帰って来たのー!」
「ははは、ただいま」
「ふふふ、リクさん懐かれているわね」
「帰ってきたようじゃの。これでワシの役目も終わりじゃ。……おなごを求めて街に繰り出すのじゃー!」
冒険者ギルドから真っ直ぐ宿へ戻り、フランクさんからの書簡を待つために部屋へと入ると、真っ先にエルサが飛びついてきて、ついでにユノもお腹へ抱き着いてきた。
うん、やっぱりこのモフモフがないと落ち着かないね……はぁ、癒される。
モニカさんは、そんな俺達を微笑ましく見ていた……俺やエルサが寝ている間は、ずっと心配してくれていたみたいだから、ようやく安心してくれたのかもしれない。
エアラハールさんは、ユノが戻って来ていたのに残って面倒を見てくれていたみたいだけど、俺が帰って来たら、すぐに街へと繰り出して行ってしまった。
街の人に迷惑をかけてしまわないように、すぐに俺から離れたユノが追いかけて行っていたから、おかしなことは起こらないだろう。
扉の外から、エアラハールさんの溜め息が聞こえた気がしたけど、それは聞こえない事にした。
「はぁ……やっぱりリクの頭が一番落ち着くのだわぁ。吸収するのだわぁ……」
「変なものまで吸収しないでくれよ?」
俺がモフモフに癒されているのと同じように、エルサの方も癒されているようだ。
前からそうだけど、俺から魔力が流れているかだと思うけど、吸収と言われると、変なものまで吸収さそうでちょっと微妙だね。
「エルサちゃんも、大丈夫そうね。良かったわ」
「そうだね」
「たっぷり寝たから全快なのだわ! リクからの魔力もいつも通り……よりちょっと多いけどだわ、問題ないのだわー」
「ちょっと多い?」
モニカさんが起きたエルサを見て、安心したように息を漏らす。
確かに、俺が起きた時も寝ていたから、改めて起きて元気な様子を見て安心したんだろう。
それはともかく、魔力の量が多いって言うのはどういう事だ?
どれだけの量が、いつもエルサに流れているのか知らないけど……。
「リクが限界……とまでは言わないのだけどだわ。大量の魔力を消費したからなのだわ」
「魔力を消費したから、俺から流れる魔力が多いのか? それだと逆に減ってしまいそうだけど……」
「そうじゃないのだわ。リクは倒れるまで魔力を使って戦い続けたのだわ。だから、それが回復したら魔力の量が前よりも多くなったのだわ!」
「前よりも……?」
俺の魔力、増えたんだ。
倒れるくらい魔力を使って、回復したら増えるなんてどこぞの戦闘民族じゃないんだから……。
と思うけど、エルサの言う事だから嘘はなさそうだ。
これまでも多いと言われていた魔力がさらに増えたのかぁ。
とは言え、今までがどれだけの魔力量だったのか、自分でもよくわかっていないからあまり増えたとかの実感はない。
「というかエルサちゃん、リクさんが倒れた原因は魔力を使い切ったからなの? あのリクさんの剣をルギネさんが持った時のように?」
「んー、近いけど違うのだわ。あっちは、魔力が枯渇しかけて倒れたのだわ。リクの方は、魔力が残っていても倒れたのだわ」
「残っていても?」
「完全に魔力が枯渇すると、生き物は生きられないのだわ。まぁ、リクの剣を興味本位で持った人間は、枯渇しかかったのだけどだわ。それで倒れるのは当然なのだわ。対してリクは、まだ魔力が枯渇するとは言えなかったのに、倒れたのだわ」
「……まぁ、まだ剣も持っていられたからね」
倒れる直前、モニカさんに襲い掛かったマンティコラースを倒した。
その時、特に魔力がギリギリだとか、なくなるような感覚はなかったから、まだ魔力は残っていたんだろう。
とは言っても、怪我をするくらいには魔力波減っていたわけだし、ドラゴンより体が丈夫という状態ではなかったのは確かだね――。
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