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大量の料理再び

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 家の中に入った俺達は、一度自分達に宛がわれた部屋に戻り、持ち歩いてた荷物を置いて居間に集まる。
 集まった皆に、俺はまず手洗いうがいをするように言った。
 ……今日のエルフ達は皆怪我で病気じゃなかったけど、傷口からの感染症とかよく聞く話だからね。
 念のための予防だ。
 皆は首を傾げながら、何故そんな事をするのかと疑問に思ってたみたいだけど、食事前に綺麗にするためと言ったら、素直に従ってくれた。
 皆、食事に対しては真剣だよね……エルサも器用に前足というか、手をこすり合わせて洗ってるし……うがいは出来なかったみたいだけどね。
 そんな事をしてるうちに結構時間が経っていたらしく、フィリーナが昨日に引き続き大量の料理を運んで来た。
 今日も数人のエルフを連れて、今のテーブルがいっぱいになる程の量だ。

「さあ、今日もいっぱい食べてね! リクのおかげでこの集落も久しぶりに活気が出て来たからね!」
「いや……あの……昨日もそうだけど、さすがにこの量は多過ぎて……」
「遠慮なんかしなくても良いのよ! さあ!」

 遠慮してるわけじゃないんだけどなぁ……。
 まぁ、フィリーナとエルフ達の厚意だ、今日もお腹いっぱい食べよう。
 ……多分、また残す事になるだろうけど。
 フィリーナの言ってる集落に活気が出たというのは、俺が怪我をしたエルフ達を治療したからだろうと思う。
 集落を回ってる時に、怪我の治ったエルフ達が元気に過ごしてるのを見た時は、この魔法を試して良かったと思ったもんだ。
 多分、魔物から襲撃を受けるようになって、この集落は今まであまり活気が無くなってしまっていたんだろうな……。
 とりあえず今日は怪我を治したから、明日から魔物退治を頑張ろう。

「今日もテーブルがいっぱいねぇ」
「食べ応えがあるな」
「キューも沢山あるのだわ!」
「いっぱい食べるの!」
「……皆、お腹がいっぱいで動けないとかにならないようにな……」
「「「「はーい」」」」

 俺の言葉に、エルサやソフィーさんも含め、皆元気に返事をする。
 目の前にあるご馳走を前に他の事はあまり気にしていられないようだね。
 フィリーナさんも含め、アルネ、俺、モニカさん、ソフィーさん、ユノ、エルサでテーブルにつき、一斉に食べ始める。
 俺やソフィーさん、ユノは数少ない肉料理から、モニカさんとアルネとフィリーナは野菜を使った料理を、エルサはいつものようにキューが積み重なった皿の前に陣取り、両手で1本のキューを掴んでかじり始めた。
 各々好きな料理を勢いよく食べてるが、量が量だけに減った気がしない。
 食事が始まり、1時間が経過した頃……テーブルの上に置かれていた料理達は残り3割くらいにまで減っていた。

「……もう、食べられない……うぷ……」
「さすがに食べ過ぎたわ……明日は何か運動をしないと……」
「私も……もうこれ以上は……」
「お腹いっぱいなのだわー」
「よく食べたのー」
「……ごめんなさい……本当に量が多かったのね……私ももう食べられないわ……」
「俺ももう無理だ……フィリーナ、明日からはもう少し考えて料理を持って来てくれ……」

 フィリーナさんが料理を運んで来るのを手伝っていたエルフ達はもういない。
 料理を運びきったところで帰って行ったからね。
 そして残された俺達は、限界まで詰め込み、皆お腹に手を当ててる。
 ……今動いたら逆流しそうだ。
 俺を含め、皆食べ過ぎて動けないのか、その場で休憩してた。
 それはいいけど、この残った料理はどうしよう……。
 昨日のは、運んで来てくれたエルフ達が引き取ってくれたけど、今日はいないしなぁ。

「……残った料理はどうするんだ?」
「……もったいないけど……捨てるしか……」
「何を言ってるの? 保存できる物は明日の朝食よ?」

 モニカさんは捨てる事に反対のようだ。
 まぁ、もったいないからね、朝食に出来るならそれで良いと思う。

「じゃあ、とりあえず保存できる物と保存出来無い物に分けて……と」
「これは、こっちね。えっと……これは保存出来るのかしら?」
「ああ、それは明日までなら大丈夫よ」

 フィリーナさんとモニカさんが二人で手分けしながら、テーブルに残った料理を分け始めた。
 ……もう動けるんだ……俺はもうしばらく動けそうにないんだけど。
 よく食べるエルサやユノですら食べ過ぎたようで動けずにいるのに。

「じゃあ、保存できるのはこうやって……布をかぶせて……と」
「これで終了ね」
「意外と保存出来る料理が多かったわね」
「エルフは森に暮らす種族だからね。保存の効く食料を使って料理をするのが普通よ」
「へぇー、森で暮らすのも大変そうね」
「慣れればそうでもないわよ? まぁ、不作だった時や、狩りが上手く行かなかったら保存されてる味気ない食事が続くけど」
「味気ない食事は嫌ね……」

 モニカさんは特にそうだろう。
 マックスさんの料理を食べて育って来たんだ、おいしい料理を食べる事に慣れてるはずだからね。
 モニカさんとフィリーナは仲良さそうに二人で残った料理を片付けてくれた。
 見てた限りだと、ほとんどが保存出来る物だったみたいで、捨てる料理は少なかった。
 ……手伝えなくてごめんなさい……。

「それじゃ、お腹もいっぱいになった事だし、お風呂に入りましょ」
「そうね。ユノちゃん、動ける?」
「お風呂入るのー!」
「私も行こう」

 モニカさんとフィリーナはユノに声を掛け、そこにソフィーさんも加わって4人でお風呂に入りに行った。
 残されたのは、俺とアルネとエルサだ。

「女性陣は元気だな」
「本当に。あれだけ食べたのにすぐお風呂に入りに行けるなんて。ユノもソフィーさんも食べ過ぎてうごけなかったんじゃないのか?」
「お風呂は心の洗濯なのだわ。女の子なら大事な事なのだわ。動けなくても入るために動くのだわ」
「……そうか」

 アルネと俺はお腹いっぱいで動けなかったはずの女性陣を、半ば呆れ気味で見送ったが、エルサは違ったようだ。
 というかエルサ、心の洗濯って……また俺の記憶から変な言葉を使ってるな……しかも、動けなくても動くとか矛盾してないか?
 俺とアルネはそのまま座って休憩し、女性陣がお風呂から上がるまで雑談なんかをして過ごした。
 長風呂だった女性陣を待って、俺とエルサがお風呂に入る。
 アルネは男同士とは言え一緒にお風呂に入るのは遠慮するとの事だ。
 まぁ、男同士で入るのはちょっと躊躇するよな。
 銭湯とかの大浴場なら気にならないんだけどね。
 ……何で女性陣は皆で一緒に入る時あんなに楽しそうなんだろう……?
 男にはわからない問題を考えつつ、エルサのモフモフを綺麗に洗ってお風呂から上がる。
 今日は時間も遅いという事で、女性陣にはドライヤーもどきの魔法は遠慮させてもらった。
 結構時間がかかるしね。
 でも、部屋に戻ってエルサにだけはドライヤーを掛けてやる。
 このモフモフを丁寧に手入れをしてやらないなんて事は俺には出来ない!
 同じ部屋にいるユノがそれを羨ましそうに見ていたり、エルサの隣に行って風を受けて遊んだりしてた。
 その後、10分程でエルサが気持ち良さによってコテンと横に倒れるように眠った後、しっかり乾かしてやってエルサを抱えてベッドに入る。
 ユノもエルサのモフモフを気に入ってるのか、二人でエルサを挟んでモフモフをモフモフしながらモフモフな眠気に誘われてそのまま就寝。
 今日はモフモフの夢が見られるかなぁ……



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