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後妻達最低過ぎません?

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「1年前、私の妻……マリアンネに遺言で後妻に彼女の妹を娶って欲しいと頼まれたのは知っているな」
もちろん知っている。俺は頷いた。
「その妹なんだがな、近くに居たら香水の匂いで噎せそうになるし、体を押し付けてくるし、挙句の果てにはマリアンネやクラスティナの侮辱を……くっ……」
「ノヴァル公爵が苦手な典型的なタイプですね……」

ノヴァ兄は悔しそうに唇を噛み、拳を握った。後妻で入ったというのに、図々しい奴だな……。クラスティナ様はまだお会いしていないからなんとも言えないが、あの優しい聖母のようなマリアンネ様の悪口、しかも身内なのにそれを言っているということは……
「もしかして、姉妹の仲は悪かった上に、後妻は2人が恋愛結婚だと存じていないのですか?」
ノヴァ兄は静かに頷いた。

そう、マリアンネ様の家柄は侯爵家だっため政略結婚に見えるが、ノヴァ兄とマリアンネ様は恋愛結婚だ。
確かに2人は親の紹介の下、婚約を交わしたのだが、2人の出会いは学園であり、お互いに一目惚れした。そしたら偶然(おそらくノヴァ兄が頼んだんだろうけど)2人の婚約話が出て、お互い喜んで承諾したのだ。確かその頃マリアンネ様は家族との折り合いが悪かったと聞いた。だから、マリアンネ様の妹が知らないのもおかしくはないだろう。

「だいたい分かりました。後妻はマリアンネ様とクラスティナ様が気に入らないのですね。」
「ああ、しかもその娘も同じようなものだ。クラスティナの従者が立て続けに辞めている原因はこちらだと言っても過言ではない」
「やはり本人に原因はないのですね。」
「もちろんだとも、あの子は意味の無い我儘は言わないし、普段は大人しい子だ。それを後妻の娘は自分のやりたいことをあの子の従者に押し付けた挙句、クラスティナの言ったことだと言うんだ!」
ノヴァ兄が珍しく激昴している、それだけで後妻らのいじめがどれだけ悲惨なのかを物語っていた。
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