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灯台
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カラオケを出て、一度家に帰った。
また公園で会うことになっている。
私も伊之助さんの歌を聴かせてと、お願いした事があったし、断る訳にもいかなかった。
それに、あの表情はズルい。
ギターを持って公園に向かう。
なぜか隣のあの、いとこという人に会わないかドキドキした。
伊之助さんの事が好きなはずだから。
二人でこっそり会うなんて、秘密の共有みたいで何だかソワソワもした。
私一人で盛り上がっているだけだけど。
伊之助さんはまだ来ていなかった。
軽くギターを弾き、声を出す。
何を歌うかは決めていた。
伊之助さんに出会い、出来たあの曲。
今までとは違う世界観の曲。
伊之助さんに歌って欲しいと願った曲。
五分経っても伊之助さんは来なかった。
時間が経つにつれて緊張感が出てきた。
早く来てくれないと手が震えるほどになりそうだ。
誰かの為に歌うなんて初めてだったから。
それでも来ないのでギターを下ろし、屈伸したりした。
身体をほぐす。
来ないかもしれないという考えが出てきたのは十分が過ぎた頃。
いとこが帰ってきて、止められた?
面倒臭くなった?
色々と考えてしまう。
ベンチに座り、ギターを弾き始めた。
練習しよう。
歌い終わっても来なかったら、静かに帰ろう。
大きな悲しみに襲われていた。
なんでこんなに悲しいんだろう。
イントロを弾き終わり、歌う事にした。
今まで作った曲には絶対になかった言葉が沢山。
自分の声より彼の声をイメージしたから、歌うのが少し難しい。
明るさの中に寂しさが漂う旋律。
時々跳ねる語尾。
裏声で歌う間奏部の即興。
一筋涙が流れた。
悲しさは少しは残っている。
でも私は幸せを感じていた。
今、私は嬉しい気持ちでいっぱいだ。
この曲を作れて良かった。
幸せだ。
最後の和音を弾き終える。
余韻が公園に広がる。
結局彼は来なかった。
涙を拭い、立ち上がった。
ギターをケースにしまおうと振り返る。
「びっくりした!」
離れた所からこっちを見ている伊之助さんがいた。
何も言わずに見ているので凄く驚いた。
「伊之助さん?もうすっごいびっくりしたんですけど。心臓が...凄い速くなっちゃって...」
「にな絵さん...」
あれ?
今来たばかりではないのだろうか...
「もしかして...」
「最高のプレゼントですよ。僕しか聞いてない。素晴らしい!感動しました!」
「本当ですか?最初から聞いてました?」
「公園の入り口に着いた時イントロが始まって。ずっと行くのを楽しみにしていたコンサートに遅刻しそうで、とにかく焦って。だけど間に合った、そんな気分です」
「あ、ありがとう」
「いや、その喜びの倍です。にな絵さんはやっぱり、天才の天に灯台の台の、天台さんです。天才だし、灯台のように人に明るさを与える事ができます。ここにいる事を、そして目指す場所を知らせてくれるようです」
「この曲は...」
あまりに真っ直ぐと伝えてくれるので、胸が熱くなった。
涙が溢れてくる。
伊之助さんにバレないようにしたい。
この距離感なら大丈夫なはずだ。
「にな絵さん?」
「この曲は、伊之助さんと出会って出来た曲で。伊之助さんの歌、歌声、人柄、笑顔...伊之助さんのお陰で出来た曲です。伊之助さんの声を想像しながら作りました」
「何と言ったらいいか...」
伊之助さんが近づいてくる。
涙が溢れる限界まできていた。
また公園で会うことになっている。
私も伊之助さんの歌を聴かせてと、お願いした事があったし、断る訳にもいかなかった。
それに、あの表情はズルい。
ギターを持って公園に向かう。
なぜか隣のあの、いとこという人に会わないかドキドキした。
伊之助さんの事が好きなはずだから。
二人でこっそり会うなんて、秘密の共有みたいで何だかソワソワもした。
私一人で盛り上がっているだけだけど。
伊之助さんはまだ来ていなかった。
軽くギターを弾き、声を出す。
何を歌うかは決めていた。
伊之助さんに出会い、出来たあの曲。
今までとは違う世界観の曲。
伊之助さんに歌って欲しいと願った曲。
五分経っても伊之助さんは来なかった。
時間が経つにつれて緊張感が出てきた。
早く来てくれないと手が震えるほどになりそうだ。
誰かの為に歌うなんて初めてだったから。
それでも来ないのでギターを下ろし、屈伸したりした。
身体をほぐす。
来ないかもしれないという考えが出てきたのは十分が過ぎた頃。
いとこが帰ってきて、止められた?
面倒臭くなった?
色々と考えてしまう。
ベンチに座り、ギターを弾き始めた。
練習しよう。
歌い終わっても来なかったら、静かに帰ろう。
大きな悲しみに襲われていた。
なんでこんなに悲しいんだろう。
イントロを弾き終わり、歌う事にした。
今まで作った曲には絶対になかった言葉が沢山。
自分の声より彼の声をイメージしたから、歌うのが少し難しい。
明るさの中に寂しさが漂う旋律。
時々跳ねる語尾。
裏声で歌う間奏部の即興。
一筋涙が流れた。
悲しさは少しは残っている。
でも私は幸せを感じていた。
今、私は嬉しい気持ちでいっぱいだ。
この曲を作れて良かった。
幸せだ。
最後の和音を弾き終える。
余韻が公園に広がる。
結局彼は来なかった。
涙を拭い、立ち上がった。
ギターをケースにしまおうと振り返る。
「びっくりした!」
離れた所からこっちを見ている伊之助さんがいた。
何も言わずに見ているので凄く驚いた。
「伊之助さん?もうすっごいびっくりしたんですけど。心臓が...凄い速くなっちゃって...」
「にな絵さん...」
あれ?
今来たばかりではないのだろうか...
「もしかして...」
「最高のプレゼントですよ。僕しか聞いてない。素晴らしい!感動しました!」
「本当ですか?最初から聞いてました?」
「公園の入り口に着いた時イントロが始まって。ずっと行くのを楽しみにしていたコンサートに遅刻しそうで、とにかく焦って。だけど間に合った、そんな気分です」
「あ、ありがとう」
「いや、その喜びの倍です。にな絵さんはやっぱり、天才の天に灯台の台の、天台さんです。天才だし、灯台のように人に明るさを与える事ができます。ここにいる事を、そして目指す場所を知らせてくれるようです」
「この曲は...」
あまりに真っ直ぐと伝えてくれるので、胸が熱くなった。
涙が溢れてくる。
伊之助さんにバレないようにしたい。
この距離感なら大丈夫なはずだ。
「にな絵さん?」
「この曲は、伊之助さんと出会って出来た曲で。伊之助さんの歌、歌声、人柄、笑顔...伊之助さんのお陰で出来た曲です。伊之助さんの声を想像しながら作りました」
「何と言ったらいいか...」
伊之助さんが近づいてくる。
涙が溢れる限界まできていた。
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