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さいこ

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送別会

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 そうして2人で婚姻届を提出した

 「慶さん、もう俺から逃げられないからね!」

 「いや言い方!!」

 この子たまに怖い言い方するのなんなの?


 私は自分が生まれた「柏木」の籍を出て、今日から「平川 慶」として生きていく

 「慶………さん」

 「ん?」

 微妙なが気になったが返事はした

 「あ…これからアッチコッチに変更届出さないとね」 
  
 「そうだね~」

 姓が変わったことで旧姓で契約しているもの全ての変更手続きをしなければならなかった
 正直けっこう手間だ…

 

 私は数日前に最後の出勤を終え、送別会をしてもらった
 代表が「柏木くんのご主人も紹介してよ」と言うので理人も飛び入り参加した

 見た目は今どきの男子であり、年齢だって22歳の百海が一番近いという青年の登場に、職員一同が「え?本当?」という空気になったが
 
 「7階Aの善家よしいえ税理士事務所さん、ですよね?」

 と、理人が代表の前に躍り出て

 「…ビルオーナーの平川です、こうしてご挨拶させていただけるご縁を頂戴し感謝しております」

 と、まさかのビジネス用挨拶(不動産業アピール)をしたことで一気に「玉の輿か…」という空気に変わったのだった
 
 てゆーか散々ビル前までお迎えとかに来てたんだから、自分の物件だと教えてくれても良かったんじゃないかな?まぁ知ったところでなんだ、ってハナシですけども…

 
 

 会社の送別会から数日後
 今度は百海の個人的な送別会に理人と呼ばれていた
 
 会場はと言えば、今は優が生活している元私の部屋だった
 百海はお母様と一緒に生活しているし、優のところが使いやすいのだろう

 …だけど、優と百海がその後どういう付き合いをしているのかまったく知らないんですけど


 「…久しぶりに行くね、あの部屋」

 私の体調不良を機に、優は「飯は自分でやる」と言い、お弁当を作ることが無くなっていた

 「なに…寂しくなっちゃった?」

 理人は私のおでこにキスをしてそう言った

 「じゃあ早く行こ!」
 
 と車に乗り、懐かしい通りを過ぎて元私の部屋へ向かう


 以前のように斜め向かいにあるパーキングに車を停め、階段を3階へと登った
 元自分の部屋のインターホンを鳴らすという不思議体験

 少し待つと、ガチャ…と優が玄関を開けてくれた

 「姉ちゃん体調どう?元気そうだけど」
 
 「うん元気…」

 久しぶりに会った弟は姉を気遣ってくれました


 「理人さんも、どうぞ~」

 と、元自分の部屋に通された

 あれから私の荷物も完全に引き上げ、今ではすっかり優の部屋となっていた…はずだったのだが
 どうも部屋の様子がおかしいというか、荷物がだいぶ減っているというか?

 「ももちゃんね、もうちょっとで来るから待ってて」

 と言う優…

 
 「仕事のほうはどうなの?ネイルの勉強とか」

 優が物件の相談に来たのが懐かしい
 忙しいのは理解しているが、普段なんの連絡もしてこない優

 「そうそう俺ね、ネイルサロンの店長を任されることになって…」

 ええ?急展開過ぎない?
 
 優がお世話になっているオーナーさんの「ネイルサロン」
 美容師として美容室で勤務しながらも、隣のネイルサロンに顔を出しては現場で勉強させてもらっていた、という話だったはずだ

 勉強させてもらっている身で、なにがどうして「店長」などという話になるのか説明を求む…
  
 
 そのネイルサロンはいい立地のようで箱に対して集客のほうが多く、もっと大きな場所に移動を
考えていたようだ

 そんなとき、その美容室の真下、1階の路面店という最高のテナントが空くというタイミングに巡り合い、オーナーさんがバシッと押さえてきたとのこと

 元のネイルサロンより美容室の下の方が倍ほども広く、ネイリストさんの増員も必要になり、今まで古株のパートネイリストさんになんとなく任せていた業務を社員である優が引き継ぎ、店舗をまとめる立場になったそうだ


 「…今リフォームが入っててオープンは来月になると思うけど、今営業してるサロンと新店準備でもう店長としての仕事はしてるから」 
 
 ほぇ~~~…

 23歳の勉強中だった子が急に店長???

 オーナーさんも思い切ったなぁ、こんな若造に任せるって怖いだろうになぁ…

 「…それでね、俺今クソ忙しいんだけど」

 まぁそれはそうでしょうよ、任されるプレッシャーもあるだろうし
 
 
 
 「そこを色々と、ももちゃんに支えてもらってる…」

 ほぇ~~~…

 百海にねぇ~~~

 …え??


 「続きはももちゃんが来たら話すよ」とのこと

 やっぱりあれから付き合ってんだ!
 今日web漫画の全容が明らかになる、といいな!(願望)






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