67 / 76
送別会
しおりを挟むそうして2人で婚姻届を提出した
「慶さん、もう俺から逃げられないからね!」
「いや言い方!!」
この子たまに怖い言い方するのなんなの?
私は自分が生まれた「柏木」の籍を出て、今日から「平川 慶」として生きていく
「慶………さん」
「ん?」
微妙な間が気になったが返事はした
「あ…これからアッチコッチに変更届出さないとね」
「そうだね~」
姓が変わったことで旧姓で契約しているもの全ての変更手続きをしなければならなかった
正直けっこう手間だ…
私は数日前に最後の出勤を終え、送別会をしてもらった
代表が「柏木くんのご主人も紹介してよ」と言うので理人も飛び入り参加した
見た目は今どきの男子であり、年齢だって22歳の百海が一番近いという青年の登場に、職員一同が「え?本当?」という空気になったが
「7階Aの善家税理士事務所さん、ですよね?」
と、理人が代表の前に躍り出て
「…ビルオーナーの平川です、こうしてご挨拶させていただけるご縁を頂戴し感謝しております」
と、まさかのビジネス用挨拶(不動産業アピール)をしたことで一気に「玉の輿か…」という空気に変わったのだった
てゆーか散々ビル前までお迎えとかに来てたんだから、自分の物件だと教えてくれても良かったんじゃないかな?まぁ知ったところでなんだ、ってハナシですけども…
会社の送別会から数日後
今度は百海の個人的な送別会に理人と呼ばれていた
会場はと言えば、今は優が生活している元私の部屋だった
百海はお母様と一緒に生活しているし、優のところが使いやすいのだろう
…だけど、優と百海がその後どういう付き合いをしているのかまったく知らないんですけど
「…久しぶりに行くね、あの部屋」
私の体調不良を機に、優は「飯は自分でやる」と言い、お弁当を作ることが無くなっていた
「なに…寂しくなっちゃった?」
理人は私のおでこにキスをしてそう言った
「じゃあ早く行こ!」
と車に乗り、懐かしい通りを過ぎて元私の部屋へ向かう
以前のように斜め向かいにあるパーキングに車を停め、階段を3階へと登った
元自分の部屋のインターホンを鳴らすという不思議体験
少し待つと、ガチャ…と優が玄関を開けてくれた
「姉ちゃん体調どう?元気そうだけど」
「うん元気…」
久しぶりに会った弟は姉を気遣ってくれました
「理人さんも、どうぞ~」
と、元自分の部屋に通された
あれから私の荷物も完全に引き上げ、今ではすっかり優の部屋となっていた…はずだったのだが
どうも部屋の様子がおかしいというか、荷物がだいぶ減っているというか?
「ももちゃんね、もうちょっとで来るから待ってて」
と言う優…
「仕事のほうはどうなの?ネイルの勉強とか」
優が物件の相談に来たのが懐かしい
忙しいのは理解しているが、普段なんの連絡もしてこない優
「そうそう俺ね、ネイルサロンの店長を任されることになって…」
ええ?急展開過ぎない?
優がお世話になっているオーナーさんの「ネイルサロン」
美容師として美容室で勤務しながらも、隣のネイルサロンに顔を出しては現場で勉強させてもらっていた、という話だったはずだ
勉強させてもらっている身で、なにがどうして「店長」などという話になるのか説明を求む…
そのネイルサロンはいい立地のようで箱に対して集客のほうが多く、もっと大きな場所に移動を
考えていたようだ
そんなとき、その美容室の真下、1階の路面店という最高のテナントが空くというタイミングに巡り合い、オーナーさんがバシッと押さえてきたとのこと
元のネイルサロンより美容室の下の方が倍ほども広く、ネイリストさんの増員も必要になり、今まで古株のパートネイリストさんになんとなく任せていた業務を社員である優が引き継ぎ、店舗をまとめる立場になったそうだ
「…今リフォームが入っててオープンは来月になると思うけど、今営業してるサロンと新店準備でもう店長としての仕事はしてるから」
ほぇ~~~…
23歳の勉強中だった子が急に店長???
オーナーさんも思い切ったなぁ、こんな若造に任せるって怖いだろうになぁ…
「…それでね、俺今クソ忙しいんだけど」
まぁそれはそうでしょうよ、任されるプレッシャーもあるだろうし
「そこを色々と、ももちゃんに支えてもらってる…」
ほぇ~~~…
百海にねぇ~~~
…え??
「続きはももちゃんが来たら話すよ」とのこと
やっぱりあれから付き合ってんだ!
今日web漫画の全容が明らかになる、といいな!(願望)
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
婚姻届の罠に落ちたら
神原オホカミ【書籍発売中】
恋愛
年下の彼は有無を言わさず強引に追い詰めてきて――
中途採用で就社した『杏子(きょうこ)』の前に突如現れた海外帰りの営業職。
そのうちの一人は、高校まで杏子をいじめていた年下の幼馴染だった。
幼馴染の『晴(はる)』は過去に書いた婚姻届をちらつかせ
彼氏ができたら破棄するが、そうじゃなきゃ俺のものになれと迫ってきて……。
恋愛下手な地味女子×ぐいぐいせまってくる幼馴染
オフィスで繰り広げられる
溺愛系じれじれこじらせラブコメ。
内容が無理な人はそっと閉じてネガティヴコメントは控えてください、お願いしますm(_ _)m
◆レーティングマークは念のためです。
◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。
◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。
◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。
◆アルファポリスさん/エブリスタさん/カクヨムさん/なろうさんで掲載してます。
〇構想執筆:2020年、改稿投稿:2024年
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる