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機械音痴
しおりを挟むなぜだか話の流れで理人と「友達」になった私
それから最初の週末に、以前から理人に誘われていたゲームに付き合うことになった
家に帰ったらひとまず連絡を入れる約束をしていた
「帰ったよ~」とメッセージを入れる
すぐに向こうから着信がきた
「慶さんおつかれ~」
理人はいつでも上機嫌だ
特に今日は自分の好きなゲームで遊ぶので嬉しそうである…
理人が「これならお喋りしながらまったり出来る」というタイトルを
私にプレゼントしてくれたので、私は人生初オンラインマルチプレイに挑戦する…
慶「これさぁ、ゲーム起動したらどうすんの?」
理「あ、それねぇ別のアカウントも作らないといけなくて…」
慶「…ん?貰ったタイトルをダウンロードしただけじゃダメなの?」
といった具合で、オンラインというシステムを理解していない私と
知らない私に一生懸命説明をしてくれる理人で
約1時間ほど奮闘するも、私が戦意喪失となる…
「…そっち行って俺がやるわ」
と、理人が介護の精神で来てくれることになった
駅前通りをまっすぐ、右手の晴れ着屋さんの角を入ればすぐに見えるマンションがうちだ
車で来るというので私も下に降りてパーキングへ誘導した
「…最初から集合にすればよかったねw」
とニヤニヤしている理人
手にポータブルゲーム機を持って車から降りてきた
階段を3階まで上がり、通路の一番奥が私の部屋だ
「どうぞ」
私は先に上がりスリッパを出した
「…へぇ~慶さんの部、屋角部屋なんだ、いいね」
玄関を上がると右のドアに進むしかない
そこがリビングになる
駅から徒歩15分の1LDK、予算内で生活空間の広さを確保しようとこの場所に決めた
今の会社に入社が決まってからずっとここにいるので5年ほど生活している
しかし女子の部屋には見えないかもしれない…
白いレースがフワフワしたり、毛足の長いロマンティックなラグが置いてあったりはしないからだ
不要な物を置かない、白基調の殺風景な部屋なのである
「あっ!……慶さんも物が少ない人ぉ?!」
リビングに入るなり理人が声を上げる
女子の部屋に抱いていた理想をぶっ壊してごめんね、としか言えない
「俺もそうなんだよ~」
と意外な反応が返ってきた
リビングのソファに座ってもらい、とりあえず珈琲をいれた
さっきのゲームの前準備についてもう一度説明を受ける
「慶さん自分でわかんなくなっちゃうから、メモしといたほうがいいよ」
…悔しいが、それはそう
私は素直にメモを取りながら準備を進める
「じゃあこれでフレンドになれたから招待送るね」
理人がそう言うと、私の画面に通知が来る
「おお!これが…!!」
「そそ、参加してくれれば合流できるよ~」
…それは鉱石を掘ったり、食料を確保したり、家を作ったりしながら森の中で生活するというもの
途中ゾンビみたいなモンスターが現れるので倒さないといけなかったが
確かにこれは作業に夢中になって時間を忘れるのが理解できる
「なんか理人のキャラだけ見た目アレじゃない?」
と私の使っている貧相なキャラと比べて不満が出る
そして「スキン」という言葉を覚えた
………課金した←
そのうちビールやワインを飲みながら黙々と素材を集める私
理人は素材を加工して家の建材を作り、2人の拠点となる家を建てるのだった
…しばらくすると身体が痛くなってきて、ふと時計を見る
時刻は深夜2:00になっていた
時間を確認したとたん、どっと眠気が襲う
「理人、時間平気なの?」
スケジュール的な確認の意味で聞いてみる
「…時間は平気だよ、お酒飲んじゃったし…」
お酒飲んじゃった…から…
帰そうとしても車の運転は出来ない………
って、こと?
このまま泊まる流れ…なのだろうか…?
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