「2人の運命」

愛理

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第59話「プロポーズ」

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  母さんと美香の反対を押し切って大阪に行ったから、新大阪駅で俺を出迎えてくれた美香は少し怒っていた。
「もう、まだ怪我が完全に治ってないんだから無理しないで」
  そして、怒っているけど涙目でそんなことを言うから俺は堪らなくなって、キャリーケースからまた手を離してその場でおもいっきり美香を抱きしめた。
「心配かけてごめん。でも、どうしても美香に早く会いたかったんだ」
  俺がそう言うと美香も俺の背中に手を回して、
「もう、そういうこと言われたら何も言えなくなっちゃうよ」
  そう言ってくれた。
  それから俺達は今日、初めて、美香が今、1人暮らしをしているというマンションに一緒に行った。
  美香が自分の家に泊まってもいいよと俺が大阪に行くと言って効かないと解るとそう言ってくれたから。

  美香が住んでいるマンションは1LDKで、美香らしく可愛い部屋だけど、綺麗にもしていた。
「何か美香らしい可愛い部屋だな」
  俺は素直に思ったことを美香に言った。
「そうかな?」
「ああ」
「でも、それって褒めてくれてるの?」
「あたり前だろ。美香らしい部屋っていうのは美香のこと可愛いって俺が思ってるから出るフレーズなんだから」
  俺がそう言うと美香はきょとんとした顔で俺を見た。
「ん? 俺、何か変なこと言った?」
「ううん。むしろその逆だよ。何か章ちゃんがそんな風なことをさらりと言うようになったんだなあって改めて思っちゃって」
「何で? 俺、美香とつきあってからは、美香に対しては素直だろ?」
  俺はそう言い隣同士に座っている美香のことを抱きしめた。
「やっぱりこうして抱きしめるのは美香がいい」
  俺はそう言いながらますます美香のことを強く抱きしめた。
  美香もまた俺の背中に両手を回してくれた。
「章ちゃん」
「美香、本当はもっと俺が色々とセッティングした場所で言うつもりだったんだけど、やっぱりもう我慢できないから言うよ」
「章ちゃん?」
  俺は一旦、美香から身体を離した。
  それから俺は貴重品などを入れている小さな鞄から青色の箱を取り出した。
  その箱は誰が見ても宝石の類が入っていると解るものだった。
  だからか、一瞬、美香も息を飲んだ。
  多分、俺が今から何を言おうとしているのか解ったからだと思う。
  そして、俺はその箱の蓋を開けて、美香に差し出して、
「美香、やっぱり俺、美香しか運命の人にしたくない。だから、どうか俺と結婚してください」
  そう言った。
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