「2人の運命」

愛理

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第41話「久しぶりの恋」

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  6月の大学創立50周年イベントに向けての準備は少しずつ始まり、俺は徐々に一緒に出しものをするメンバーと打ち解けていった。
  そして、俺はその中でも渡部さんとよく話すようになった。
  渡部さんと話しているとやっぱり、美香と一緒にいた時のような雰囲気を感じて、俺は何だかとても居心地が良かった。
「本田、もしかして、お前、渡部のこと好きになった?」
  瀬戸が大学の授業が終わって、一緒に駅まで帰っている時に言った。
「え?」
  俺は瀬戸のその言葉に驚く。
「何だ。もしかして自覚ない?」
  瀬戸の方も驚いたような顔をして言った。
「いや、だって」
「だって何? お前さ渡部と話してる時、楽しいだろ?」
「え? ああ、うん。何か居心地がいい」
「だろ? それってさ渡部のこと好きってことじゃないの?」
  瀬戸の言葉に俺はまた黙ってしまった。
  だけど、そうか。そうなのかもしれないともすぐに思った。
  だって、美香と一緒にいた時のような雰囲気を感じるということは俺にとってそれは好きという対象になり得るから。
  俺は美香と別れてからもう当分は恋はしたくないと思ったし、美香のことをきっと忘れられないだろうとも思った。
  でも。確かに今、瀬戸が俺に言ったように渡部と話してると楽しいし、最近は渡部が少し離れたところにいると目で追ってしまっている自分がいるような気もしていた。
「瀬戸、そっか。うん、俺、渡部が好きなのかも」
  俺がそう言うと瀬戸は、ははっと笑って、
「好きなのかもじゃなくて、好きなんだろ。でも、良かったよ。だったら、お前、もう美香ちゃんのことふっきれるよな。まあ、渡部とこれから先どうなるかは解らないけど、でも、お前が新しい恋に踏み出せたのは凄くいいことだから」
  俺は瀬戸のその言葉に瀬戸の暖かさを感じて、
「うん、ありがとう。そうだな。美香以外の誰かを好きになれるなんて俺も思ってなかったから、俺にとっては渡部に恋したことは凄い進歩なのかも」
  そう言った。
  すると瀬戸は真剣な顔をして、
「ああ。もうお前が2度と美香ちゃんと交わることはないって思ってるなら、新しい恋に踏み出した方が絶対に幸せになれるしな。俺、渡部に関しては協力するよ。渡部、確か今、フリーだし、俺から見ても渡部は凄くいい子だからな。ただし、もし、彼氏と彼女の関係になったら今度は絶対に泣かせるなよ」
  そう言った。
  だから、俺は大きくコクンと頷いた。
  そして、俺はどうなるか解らないけど、せっかく沢山、話せるチャンスがある今、渡部に告白しようとこの時、決めた。
  どんな結果になるかは解らないけど、そうすることで美香への想いに完全にサヨナラできるだろうという想いもあったから。
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