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第17話「2人の距離」
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え? 一体、誰だよ。
何で男が美香の電話に出るんだ?
俺はスマホの向こうの男性の声を聴いて、若干、パニックになりそうになった。
だけど、すぐに、
「もしもし、章ちゃん?」
と美香の声が聴こえたので、俺は正気を取り戻した。
「あ、美香」
「ごめんなさい。私、今、外で。英会話の塾で友達になった人達と塾の帰りにひょんなことからカラオケに行くことになってしまって。で、私、ソフトドリンクを取りに行ってて、スマホを部屋に置いたままにして」
「で、他の奴……しかも男が美香のスマホを手に取って、勝手に電話に出たわけ?」
俺は自分でも無意識のうちに低い声でそう言っていた。
「章ちゃん」
「美香、今日、まだ水曜日だろ? 明日も大学だろ? なのにこんな時間でもまだカラオケしてんの?」
「それは塾が終わったのが9時だったから」
「でも、別に行かない選択もできたんじゃないの?」
「章ちゃん」
本当はこんなこと思いたくない。
だけど、俺の脳裏に一瞬、俺のところに届いた差出人不明の手紙の内容を思い出してしまった。
大阪の大学に美香が仲良しの男性がいること、美香が夜遊びをしていることと書かれていたことを。
あの手紙は俺と美香の仲を引き裂くため。
だから、あんなありもしないことを書いて寄こしてきた誰か。
そして、そんなものは信じないでいようと美香にも言った俺。
だけど―。
すぐには美香に会いには行けないこの距離が今の俺の心を暗い方向へ向かわせてしまう。
「美香、俺、美香がもう解らなくなってきた」
俺はついにそんな言葉を口に出して言ってしまった。
「章ちゃん」
「ごめん、今日はもう寝るから。俺から電話しといてごめん」
俺はもう今は何も聞きたくなくて、美香がもう1度、章ちゃんと呼んだのを無視して、電話を切ってしまった。
「やっぱり、そばにいないと無理なのかな」
俺はそう呟いた後、今度はもう何も考えたくなくて、目を綴じた。
だけど、目を綴じた向こうには俺が大好きな美香の笑顔が俺が完全に眠りに落ちるまで写っていた。
また、皮肉にも眠りに落ちた後も俺と美香がまるで2人の世界にいたような頃の夢も見た。
ずっと一緒に2人でいて、笑いが絶えなかった頃の夢を。
何で男が美香の電話に出るんだ?
俺はスマホの向こうの男性の声を聴いて、若干、パニックになりそうになった。
だけど、すぐに、
「もしもし、章ちゃん?」
と美香の声が聴こえたので、俺は正気を取り戻した。
「あ、美香」
「ごめんなさい。私、今、外で。英会話の塾で友達になった人達と塾の帰りにひょんなことからカラオケに行くことになってしまって。で、私、ソフトドリンクを取りに行ってて、スマホを部屋に置いたままにして」
「で、他の奴……しかも男が美香のスマホを手に取って、勝手に電話に出たわけ?」
俺は自分でも無意識のうちに低い声でそう言っていた。
「章ちゃん」
「美香、今日、まだ水曜日だろ? 明日も大学だろ? なのにこんな時間でもまだカラオケしてんの?」
「それは塾が終わったのが9時だったから」
「でも、別に行かない選択もできたんじゃないの?」
「章ちゃん」
本当はこんなこと思いたくない。
だけど、俺の脳裏に一瞬、俺のところに届いた差出人不明の手紙の内容を思い出してしまった。
大阪の大学に美香が仲良しの男性がいること、美香が夜遊びをしていることと書かれていたことを。
あの手紙は俺と美香の仲を引き裂くため。
だから、あんなありもしないことを書いて寄こしてきた誰か。
そして、そんなものは信じないでいようと美香にも言った俺。
だけど―。
すぐには美香に会いには行けないこの距離が今の俺の心を暗い方向へ向かわせてしまう。
「美香、俺、美香がもう解らなくなってきた」
俺はついにそんな言葉を口に出して言ってしまった。
「章ちゃん」
「ごめん、今日はもう寝るから。俺から電話しといてごめん」
俺はもう今は何も聞きたくなくて、美香がもう1度、章ちゃんと呼んだのを無視して、電話を切ってしまった。
「やっぱり、そばにいないと無理なのかな」
俺はそう呟いた後、今度はもう何も考えたくなくて、目を綴じた。
だけど、目を綴じた向こうには俺が大好きな美香の笑顔が俺が完全に眠りに落ちるまで写っていた。
また、皮肉にも眠りに落ちた後も俺と美香がまるで2人の世界にいたような頃の夢も見た。
ずっと一緒に2人でいて、笑いが絶えなかった頃の夢を。
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