「伝説を超える時」

愛理

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第1部「神に導かれし者達」

第13話「魔物達」

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    次の日の早朝、ファル、ラウル、リンナはミラクル山へと旅立つことになった。
 リンナが村の出入り口でピーッと笛を吹くと大きな金色に輝く鳥がやって来た。
 その鳥を見て、ファルとラウルは呆然とする。
 今までにこんなに金色に輝いて大きな鳥は見たことがなかったからだ。
「天の国の鳥、サーシャじゃ」
 マーシャが言った。
「天の国の鳥?」
 ファルが言う。
「そうじゃ。ミラクル山はこの地上と天の国との間にある。そこへ行けるのはこの鳥しかおらぬ。このサーシャにミラクル山に連れて行って貰うのじゃ」
 マーシャが言った。
「乗りましょう」
 リンナが言った。
 そして、リンナ、ファル、ラウルの順にサーシャの背中に乗る。
「気をつけて行くのじゃぞ」
 マーシャが真剣な表情をして言った。
「ええ。お爺ちゃん。必ず目的を果たして帰ってきます」
 リンナがそう言いGOとサーシャに掛け声をかけるとサーシャは空高く飛んだ。
「うわーっ。すげーな。信じられないぜ」
 ファルは空から地上を見て言う。
「本当。鳥の背中に乗って飛ぶなんて」 
 ラウルが言った。
「……本当はスカイ国ではこの鳥のことも魔法を使えるということも何もかもが当たり前のことなんです。そして、あなた達はその当たり前のことを徐々に取り戻していくのです」
 リンナがそう言ったので、ファルとラウルは少しの間、黙ってしまった。

 そして、3人はミラクル山に着いた。
 その山は七色に輝き見かけからして不思議な山だった。
「ここがミラクル山……」
 ファルが言う。
「そうです。私も来るのは初めてです。だけど前は魔物なんか存在しなかったはずです。でも、お爺ちゃんの話だと今は魔物がいると言っていました。きっと私達が倒さなければならない化け物の差し金なのでしょう」
 リンナが言った。
「油断せずに行きましょう。サーシャはこの山の入口がある所までしか入ることが出来ません。ここから先は私達は自分の足で進んでいかなければならないのです」
 リンナの言葉にファルとラウルは頷き、3人はミラクル山へと入って行った。

 ミラクル山の入り口付近で早速魔物達が現れた。
 それは鳥のような形をしているけれど。明らからに魔物だと解るような妖気を漂わせていた。
 その魔物達は3人に鋭い爪で襲いかかってきた。
 ファルは剣を抜き攻撃する。
 ラウルも素手だが魔物を攻撃しリンナは魔法で竜巻を起こして攻撃すると魔物達は蒸発して消えてしまった。
 取り敢えず3人はほっとする。
「よし! いい感じだ。この調子で先へ進もう」
 ファルがそう言うとラウルとリンナは力強く頷いた。

 そして、とうとう3人は山の頂上へ来た。
 そこには一面に七色に輝く草が生えていた。
「うわぁーっ。すっげー」
 ファルが言う。
 一面に七色に輝く光景に感動したのだ。
「ファル、ラウル、早速、この水にこのミラクル草を混ぜ飲んで下さい」
 リンナはそう言い2つの水の入った小瓶をリンナが肩からかけていた鞄の中から出した。
 するとその時、いきなり一面が黒色で覆われた。
「!?」
 ファルもラウルもリンナも何事かと思う。
 すると大きな真黒な鳥のような化け物が3人の前に降り立ったのだった。
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