「伝説を超える時」

番外編「辿り着きたい場所を探しに」(クラウス篇)

第７話「カーゴ村でリンナと再会して」

  クラウスとラウルがカーゴ村に着いたのは、昼過ぎだった。
  ２人は村に入ると真っ直ぐにリンナが住んでいる家に向かった。
  リンナの家のチャイムを鳴らすとすぐに懐かしい声で、
「はーい」
  という返事が聞こえた。
  それからすぐにドアが開いた。
「クラウス、ラウル、よく来て下さいました」
  ２人を見たリンナは特に驚く様子もなくそう言った。
  もしかするとリンナのことだから、俺達が来ることが解っていたのかもしれないとクラウスは心の中で今のリンナの様子を見て、思った。
「ああ、久しぶりだな」
「お久しぶりです」
  クラウスとラウルはそれぞれそう口にした。
「とりあえず中に入ってください。後、お二人ともお昼ご飯はまだですよね？」
  リンナがそう聞くと、
「え？　ああ、まだだけど。そういえば腹減ったな」
  クラウスがそう言ったので、リンナは少しだけ、くすっと笑って、
「良かったら、今から私とお爺ちゃん、お昼ご飯を食べるので、一緒に食べませんか？」
  そう言った。
  だから、クラウスとラウルは有難くリンナのお誘いに乗ることにした。

「２人とも久しぶりじゃな」
  リンナに着いて、食卓に行くとこの村の村長で、リンナのお爺さんでもある、マーシャが笑顔でそう言った。
  クラウスとラウルはマーシャを見て、懐かしさを感じた。
「爺さん、本当に久しぶり」
  クラウスが言った。
「お久しぶりです」
  ラウルが言った。
「とにかく２人とも、お腹空いてるでしょ？　遠慮なく食べてね」
  リンナがそう言ったので、とりあえず皆で食事をすることにした。
  食卓に並べられていた食事はかなり豪華なものだった。
  骨付き肉にスープにご飯にジュースにデザートまであった。
「うわ。凄いご馳走だな。いつもこんなの食べてるのか？　羨ましい」
  クラウスが骨付き肉に被りつきながら言った。
「まさか。お二人が来ると思って、今日はご馳走を振る舞ったんです」
  リンナは笑いながら言った。
  リンナのその言葉にクラウスは真剣な顔になり、
「やっぱり、リンナは俺達が会いに来るって解ってたんだな」
  そう言った。
  するとリンナも真剣な顔になり、
「ええ。何かよくないことがこの地上で起きているのを感じていて、そうなるとクラウスやラウルが立ち上がるかもしれないと思っていましたし、今日はお二人の強い気を感じていましたから」
  そう言った。
「そうなんだ。実はラウルの奥さんのサリアが重い病気になっていて、それが原因不明だから、治しようもなくて、で、俺達、占い師アンナのところに行ったんだけど、どうもサリアが以前住んでいたハート村の近くにある森やその森に住んでいる動物達が原因じゃないかと言うんだ。で、その森にはリンナを連れていけと言われてさ」
  クラウスがそう言うとリンナは真剣な顔のまま、
「解りました。アンナの言うとおり、私が行くことでお役に立つことができるかもしれません。ただ、もしかするとその森に入るとかなりの体力を使うかもしれませんので、とりあえず今日のところはこの家に泊まってゆっくりしていってください。そして、明日の朝早くに３人でその森へと向かいましょう」
  そう言った。
  だから、クラウスとラウルも真剣な顔で頷いた。
  そして、マーシャもそんな３人を真剣な顔をして見つめていた。