「伝説を超える時」

愛理

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番外編「辿り着きたい場所を探しに」(クラウス篇)

第4話「今度はラウルに会いに」

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  次の日の朝食の時にクラウスは、
「ご飯をいただいたり、泊めていただいたり、本当にありがとうございました。俺、この朝食を食べて、顔とか洗ったら、次の目的地に行くためにこの村を出ていきます」
  そう言った。
  クラウスの言葉にファルもリリカもリリカの父親も驚いた。
「昨日来たばかりなのにもう行くのか? もっとこの家でゆっくりしていっても全然いいんだぞ」
  ファルが言った。
「そうよ、せっかくファルと久しぶりに会ったんだから、1日じゃ話し足りないでしょう?」
  リリカが言った。
  クラウスはにこっと笑って、
「ありがとう。でも、俺もそんなにゆっくりはしてられないから」
  そう言った。
「そっか。それなら仕方ないな。次は何処に行くんだ?」
  ファルが言った。
「うん、ラウルのところに行くよ」
  クラウスがそう言うとファルが驚いた顔をした。
「じゃあ、エデック国へ行くのか」
  ファルが言った。
「ああ、ラウルに会ったら、ちゃんとファルは元気にしてたって伝えておくよ」
  クラウスがそう言うとファルは少しだけ寂しそうな顔をした。
  そんなファルを見て、リリカが、
「ねえ、ファル、もしも、クラウスとエデック国へ一緒に行きたかったら、行ってきてもいいのよ。ファルがいない間は何とか私が病院のお手伝いをするから」
  そう言った。
  するとファルは優しい笑顔と口調で、
「ううん、いいんだ。今、病院、結構、忙しいし。それにほら、リリカに無理をさせるわけにはいかないし。今はリリカ1人の身体じゃないんだし」
  そう言った。
  ファルのその言葉を聞いて、クラウスは驚いた後、すぐに椅子から立ち上がって、
「え? リリカ、おめでたなのか? じゃあ、ファルはもうすぐパパになるのか?」
  と嬉しそうに言った。
  するとファルとリリカは少しだけ照れ臭そうに、だけど、嬉しそうに笑った。
  そして、その後、ファルが、
「うん、ごめん、言わなくて。何かクラウスは深刻そうだったから、今は言うべきじゃないかなと思って」
  そう言った。
「ばーか。そういうことは早く言えよ。でも、本当におめでとう。後、それなら、尚更、ファルはこの家から離れたら駄目だろ」
  クラウスは明るくそう言った。
  そして、クラウスはファルとリリカのおめでたを知って、やっぱり、いいな。
  俺もこんなに暖かい生活に憧れるなと思っていた。
  そして、朝食を食べて、顔を洗い、身支度をしてから、ファルはリンドン村の出入り口でファルとリリカとリリカの父親に見送られて、エデック国へと向かうことになった。
「元気でな、クラウス。後、俺も子どもが無事に産まれたら、1度、スカイ国へ帰るよ。実の父さんと母さんにも孫の顔を見せてやりたいしな」
  ファルが言った。
「ああ、そうしてあげろよ。叔父さんと叔母さん、きっと喜ぶから。その時は俺もスカイ国へ戻ってるかもしれないから、その時はまた色々と男同士の話をしようぜ」
  クラウスが言った。
  ファルはその言葉に嬉しそうに笑った。
  そして、クラウスは、リンドン村から出て行き、ラウルに会いにエデック国へと向かった。
  また、エデック国へはスカイ国から、また、リルラを呼び寄せて、リルラに乗せてもらって、向かった。
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