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番外編「幸せが溢れるように」(ラウル篇)
第13話「結婚相手」
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「父上と母上が……どうして」
ラウルは兵士から告げられた、ご両親がお見えですという言葉にもの凄く動揺した。
どうして、父上と母上が僕がここにいることを知っているんだろう。
まさかファルが話したとか……いや、ファルに限って僕に黙って話すなんてあり得ない。
でも、父上と母上がここに来たのなら、もうサリアとは逃げられないかもしれない。
ラウルはそんなことが頭の中を駆け巡ったけれど、仕方なく兵士に連れられて自分の育ての両親に会うことにした。
王の間に着くとサリアは女中に連れられて何処かへ行ってしまった。
そして、育ての両親はラズベル国の王様と女王様を挟んで椅子に座っていた。
「父上、母上……」
「ラウル、長い間、帰って来なかったから心配したのよ」
ラウルの育ての母親が目にうっすら涙を浮かべながらそう言った。
その涙を見て、ラウルの胸は痛んだ。
「申し訳ございません」
「……まあ、でも、私もお前のデリケートな部分を考えないで結婚のことを言ってしまったからな」
ラウルの育ての父親が言った。
「父上……」
「本当はいきなり私が結婚してほしい相手と会ってくれと言われて戸惑ったのだろ」
「父上……申し訳ございません、その通りです。だから、僕は心の整理をつけたくて旅に出たいと言ったのです。本当はファルの所へ行き、話を聞いてもらい、それですぐにエデック国へ戻るはずだったのですが……」
「以前、ラウルとファルと一緒に旅をしていたリンナという女性が私達の所へ来てな、お前の本音を聞いてあげてほしいと私達に言ったんだ」
「リンナが?」
「ああ、あの女性は占いができるんだな。水晶でここにいるお前の姿も見せてくれた」
「それで父上と母上はこの国へ?」
「ああ。でもな、ラウル、それだけではない」
「え?」
「もうそろそろ支度ができる頃かな」
ラウルの育ての父親がそう言った後、カツンカツンと誰かがこちらへ歩いてくる音がした。
そして、その人物を見て、ラウルは思わず息を飲んだ。
その人物はサリアで、もの凄くドレスアップをしていて、もの凄く綺麗だったから。
「サリア……」
「ラウル、私達がこの国へ来たのはお前の結婚相手がこの国にいたからだよ」
「え?」
「ラズベル国の王女、サリアがお前の結婚相手だったんだ」
育ての父親にそう言われラウルはもの凄く驚いた表情をした。
「サリアがですか?」
「ああ、そして、リンナがお前が今、この女性のことを想っているけれど、苦しんでいると教えてくれて私達は慌てて、ラズベル国へ来ることにしたんだ」
ラウルの育ての父親がそう言った後、サリアがラウルの目の前で立ち止まった。
そして、
「ラウル、どうしよう。私、こんなの信じられないわ」
幸せそうな顔で、でも、うっすらと目に涙を浮かべてそう言った。
「ラウル、サリア、どうしてお前達が結婚する相手となっていたかは私から話そう」
ラズベル国の王様が2人を見ながらそう言った。
ラウルは兵士から告げられた、ご両親がお見えですという言葉にもの凄く動揺した。
どうして、父上と母上が僕がここにいることを知っているんだろう。
まさかファルが話したとか……いや、ファルに限って僕に黙って話すなんてあり得ない。
でも、父上と母上がここに来たのなら、もうサリアとは逃げられないかもしれない。
ラウルはそんなことが頭の中を駆け巡ったけれど、仕方なく兵士に連れられて自分の育ての両親に会うことにした。
王の間に着くとサリアは女中に連れられて何処かへ行ってしまった。
そして、育ての両親はラズベル国の王様と女王様を挟んで椅子に座っていた。
「父上、母上……」
「ラウル、長い間、帰って来なかったから心配したのよ」
ラウルの育ての母親が目にうっすら涙を浮かべながらそう言った。
その涙を見て、ラウルの胸は痛んだ。
「申し訳ございません」
「……まあ、でも、私もお前のデリケートな部分を考えないで結婚のことを言ってしまったからな」
ラウルの育ての父親が言った。
「父上……」
「本当はいきなり私が結婚してほしい相手と会ってくれと言われて戸惑ったのだろ」
「父上……申し訳ございません、その通りです。だから、僕は心の整理をつけたくて旅に出たいと言ったのです。本当はファルの所へ行き、話を聞いてもらい、それですぐにエデック国へ戻るはずだったのですが……」
「以前、ラウルとファルと一緒に旅をしていたリンナという女性が私達の所へ来てな、お前の本音を聞いてあげてほしいと私達に言ったんだ」
「リンナが?」
「ああ、あの女性は占いができるんだな。水晶でここにいるお前の姿も見せてくれた」
「それで父上と母上はこの国へ?」
「ああ。でもな、ラウル、それだけではない」
「え?」
「もうそろそろ支度ができる頃かな」
ラウルの育ての父親がそう言った後、カツンカツンと誰かがこちらへ歩いてくる音がした。
そして、その人物を見て、ラウルは思わず息を飲んだ。
その人物はサリアで、もの凄くドレスアップをしていて、もの凄く綺麗だったから。
「サリア……」
「ラウル、私達がこの国へ来たのはお前の結婚相手がこの国にいたからだよ」
「え?」
「ラズベル国の王女、サリアがお前の結婚相手だったんだ」
育ての父親にそう言われラウルはもの凄く驚いた表情をした。
「サリアがですか?」
「ああ、そして、リンナがお前が今、この女性のことを想っているけれど、苦しんでいると教えてくれて私達は慌てて、ラズベル国へ来ることにしたんだ」
ラウルの育ての父親がそう言った後、サリアがラウルの目の前で立ち止まった。
そして、
「ラウル、どうしよう。私、こんなの信じられないわ」
幸せそうな顔で、でも、うっすらと目に涙を浮かべてそう言った。
「ラウル、サリア、どうしてお前達が結婚する相手となっていたかは私から話そう」
ラズベル国の王様が2人を見ながらそう言った。
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