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第3章「闇の街」

第6話「いざ、洞窟へ」

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  ドロドロとした真っ黒なお化けのようなものは5人の前に現れてすぐに5人に襲いかかってきた。
  優は勇気に守られているので、無事だったけれど、他の4人は真っ黒な得体のしれない液をかけられて、目が眩み、暫く動けなくなった。
  だから、真っ黒なお化けのようなものは4人を攻撃し続ける。
  勇気の後ろに隠れて、勇気に守られている優はそんな光景を見て、何かできないかと思い、いちかばちかで、神聖な石を上にかざし、真っ黒なお化けのようなものに向けてみた。
  するとさっきまで輝きを失っていたはずの神聖な石は優が見てきた中で、一番輝きを放った。
「ぐぐっ……」
  神聖な石の輝きを受けて真っ黒なお化けのようなものは攻撃をやめた。
  また、4人の目も見えるようになった。
「助かった。サンキュ、優」
  勇気はそう言い、真っ黒なお化けのようなものを剣で攻撃した。
  だけど、真っ黒なお化けのようなものはドロドロっとしていて、全体が液体だったので、剣では攻撃できなかった。
「勇気、物理的な攻撃では駄目なようです。そして、神聖な石の輝きを受けて、委縮したので、できればこの前の闘いの時に放った魔法で攻撃してください」
  心が言った。
「勇気、優は今度は俺が守る。優、俺の後ろに隠れろ」
  功が言った。
「はい」
  優は返事をして、功に言われたとおりにした。
「解った。できるか解らないけどやってみるよ」
  勇気はそう言い両手を真っ黒なお化けのようなものに向け、気持ちを集中し始めた。
  すると勇気の両手が徐々に光り始めた。
  そして、
「消え去れ」
  勇気はその掛け声とともに両手から凄く大きな光を放った。
「ぐえーっ」
  勇気が放った光は真っ黒なお化けのようなものを直撃し、真っ黒なお化けのようなものは、苦しそうな声とともに粉々に散り去った。 
  そして、優が持っていた神聖な石も粉々に散った。
「どうして?」
  優が粉々になった神聖な石の欠片を見て悲しそうに言った。
「きっと、あの石は最後の力を振り絞って、僕達を助けてくれたのだと思います。本当に最後まで神聖な石でした。だから、僕達はあの石のことをずっと忘れずに感謝しつづけましょう」
  守が言った。
  すると優は泣き笑いながら、
「解りました。僕はあの石のことを本当にずっと忘れません。だって、僕を黒い雨から守ってくれて、あなた達に出会わせてくれて、そして、今、また助けてもらったんですから」
  そう言った。
  優のその言葉に他の4人は優の方を見て、優しく笑った。
  だけど、その後、
「さあ、でも、まだまだ気を緩めるなよ。今から洞窟に入るんだからな。今倒した化け物が出てきたってことは、もしかすると洞窟にはもっとやばい化け物がいるかもしれないからな」
  功がそう言ったので、他の4人は真剣な顔で頷いた。
  そして、5人は優が神聖な石を見つけた場所の洞窟の中へと入っていった。
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