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第8話「信じられない告白」
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橋川さんに私が今、まさに思っていたことを言われて、私は思わず、目を見開いて、橋川さんのことを見てしまった。
そんな私を見て、橋川さんは、ふっと笑って、
「ごめん。ちょっと意地が悪い聞き方だったよな」
そう言い橋川さんがこのお店で真っ先に注文した、グラスに入った生ビールを3口飲んだ後、
「そもそも、俺の父親が経営していた会社はもうないんだ」
そう言った。
「えっ?」
私は橋川さんのその言葉に思わずまた、橋川さんのことをじっと見てしまった。
「経営破綻したんだよ。俺が高校卒業したすぐ後にな。調子に乗って、色々手を広げすぎたみたい」
「そうだったの」
「ああ、だから、両親は離婚したんだ。元々、もう冷めきった関係だったし、母親も本当はずっと父親と別れたかったみたいだったしな」
「…………」
橋川さんから、今の話を聞き、私はやっぱり、もの凄くバカなことをしたのだと思った。
だって、私が橋川さんを裏切った後、そんなことになったのなら、橋川さんはあの頃、本当に凄く、傷ついたはずで。
それに私が橋川さん(あの頃は山岸くんだったけど)を裏切ったのは、ゆくゆくはお父さんの会社を継ぐということに大きな原因があったからなのに。
「ごめんなさい」
だから、私は自然とそんな言葉を口にしていた。
すると今度は橋川さんが目を見開いて、私のことを見た。
でも、その後、優しい顔で、
「何? それは昔、俺との約束を破ったことを謝ってるわけ?」
そう聞いた。
私がコクンと頷くと、
「そりゃ、あの時は本当に傷ついたけど、もう昔のことだし、もう怒ってないよ」
そう言った。
だから、私は思わず、また、ばっと橋川さんを見た。
すると橋川さんは、
「それより、戸田がいいなら、俺達、もう1度、恋人同士に戻らないか?」
そう言った。
「えっ?」
私は橋川さんから絶対にそんな言葉が出るとは思っていなかったので、かなり激しく驚いた。
「俺、最初は昔のことがあるから、会社で再会した戸田にどんな風に接していいか解らなくて、変な感じになったけど、また、こうして、普通に話すようになって、やっぱり、俺、戸田のこと好きかもって思ったんだ。だから、もう1度、俺とつきあってほしい」
橋川さんは真剣な顔をして、そう言った。
私はそんな橋川さんの言葉を聞いて、これは、私にとって都合のいい夢なんだろうか。
だって、昔のことがある限り、絶対に私のことはもう好きにはなってくれないと思っていた橋川さんにまた恋人同士になってほしいと言われるなんて。
「今すぐに返事がほしいな。駄目かな」
橋川さんにそう言われ、私は、もう本当に夢なのかもしれないと思いつつ、
「橋川さんがそう言ってくれるなら、私もまた橋川さんとつきあいたい」
そう言った。
そんな私を見て、橋川さんは、ふっと笑って、
「ごめん。ちょっと意地が悪い聞き方だったよな」
そう言い橋川さんがこのお店で真っ先に注文した、グラスに入った生ビールを3口飲んだ後、
「そもそも、俺の父親が経営していた会社はもうないんだ」
そう言った。
「えっ?」
私は橋川さんのその言葉に思わずまた、橋川さんのことをじっと見てしまった。
「経営破綻したんだよ。俺が高校卒業したすぐ後にな。調子に乗って、色々手を広げすぎたみたい」
「そうだったの」
「ああ、だから、両親は離婚したんだ。元々、もう冷めきった関係だったし、母親も本当はずっと父親と別れたかったみたいだったしな」
「…………」
橋川さんから、今の話を聞き、私はやっぱり、もの凄くバカなことをしたのだと思った。
だって、私が橋川さんを裏切った後、そんなことになったのなら、橋川さんはあの頃、本当に凄く、傷ついたはずで。
それに私が橋川さん(あの頃は山岸くんだったけど)を裏切ったのは、ゆくゆくはお父さんの会社を継ぐということに大きな原因があったからなのに。
「ごめんなさい」
だから、私は自然とそんな言葉を口にしていた。
すると今度は橋川さんが目を見開いて、私のことを見た。
でも、その後、優しい顔で、
「何? それは昔、俺との約束を破ったことを謝ってるわけ?」
そう聞いた。
私がコクンと頷くと、
「そりゃ、あの時は本当に傷ついたけど、もう昔のことだし、もう怒ってないよ」
そう言った。
だから、私は思わず、また、ばっと橋川さんを見た。
すると橋川さんは、
「それより、戸田がいいなら、俺達、もう1度、恋人同士に戻らないか?」
そう言った。
「えっ?」
私は橋川さんから絶対にそんな言葉が出るとは思っていなかったので、かなり激しく驚いた。
「俺、最初は昔のことがあるから、会社で再会した戸田にどんな風に接していいか解らなくて、変な感じになったけど、また、こうして、普通に話すようになって、やっぱり、俺、戸田のこと好きかもって思ったんだ。だから、もう1度、俺とつきあってほしい」
橋川さんは真剣な顔をして、そう言った。
私はそんな橋川さんの言葉を聞いて、これは、私にとって都合のいい夢なんだろうか。
だって、昔のことがある限り、絶対に私のことはもう好きにはなってくれないと思っていた橋川さんにまた恋人同士になってほしいと言われるなんて。
「今すぐに返事がほしいな。駄目かな」
橋川さんにそう言われ、私は、もう本当に夢なのかもしれないと思いつつ、
「橋川さんがそう言ってくれるなら、私もまた橋川さんとつきあいたい」
そう言った。
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