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第2話「冷たいのに優しい人」
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私が新社会人になって、今日で2週間目になった。
今週の金曜日はシステム部としての新人歓迎会をしてくれることになっていた。
ちなみに私が入社した会社は、かなり大きな会社のグループ会社で、私が入社した会社は、東京本社、大阪支社、名古屋支社、福岡支社の4拠点あった。
私は東京出身で、配属も東京本社となった。
全体的に1000人程社員がいる会社で、東京本社には450人くらいの社員がいた。
ついで、大阪支社所属の社員が多く、名古屋支社と福岡支社は同じくらいの社員数だと聞いていた。
そして、新社会人になって2週間目になった今も、頻繁にではないけど、時々、橋川さんにキツイ言葉を言われることがあった。
その度に澤野さんが橋川さんに怒ってくれて、さらに私を慰めてくれるので、澤野さんは私にとって、今、とても心強い存在となっていた。
ただ、橋川さんに何処かで会った気がする感覚だけはどうしても拭いされないでいた。
だからと言って、私にキツイことばかり言ってくる橋川さんへの苦手意識が消えないわけではなかったけど。
だけど、新人歓迎会の日、苦手意識を持っていた橋川さんへの印象を覆す出来事が起きた。
それは、雰囲気のとてもいい小料理屋さんでの新人歓迎会が終わった後のことだった。
新人歓迎会をしてくれたお店は会社の最寄り駅の3つ先にあり、システム部全員で、電車に乗って来たんだけど、この場所はこういったお店がたくさん並んでいるので、夜になると人がかなり多くなる場所だった。
案の定、お店から出ると外にはかなり人がいて、皆で、帰るために駅に向かっている時に私は違う団体の人達に巻き込まれて、皆とはぐれてしまった。
この場所はこういったお店がたくさんあることだけは知っていたけれど、実際に来るのは初めてで、人に巻き込まれて、皆とはぐれてしまった私は今、何処にいるのかさえも解らなくなってしまった。
誰かに駅の方向を聞いてみようかとも思ったけど、周りの人達はかなり飲んでそうな人ばかりで、まともに会話をしてもらえるかも解らないので、私は仕方なく、この場所の最寄りの駅にスマートフォンのナビを使って行こうとスマートフォンを取り出そうとした。
その時、ふと目が合ったそばにいた私より少し年上の男性2人に声をかけられそうになったけれど、
「バカ! とろいんだよ!」
と声がして、私に声をかけようとした男性2人は何だ、男連れかと言い、何処かへ行ってしまった。
そして、私が声をした方を向くとそこには息を切らしている橋川さんがいた。
「え? 橋川さん」
私はどうして、橋川さんがここにいるんだろう。
まさか私を探しにきてくれたんだろうか。
そんなことを思っていると橋川さんは私の左手を取って、手を繋ぎ、
「ほら、駅に行くぞ。皆待ってるはずだから」
そう言い私と手を繋いで、私を駅へと連れて行ってくれた。
駅に着くとシステム部の皆が輪になっていた。
「連れてきました」
橋川さんはそう言った後、私の手をパッと離して、私から離れてしまった。
そんな橋川さんに呆然としつつも、システム部の皆から声をかけられ、私ははっとして、
迷惑かけてすいませんと皆に謝った。
すると皆からはこっちこそ気づけずごめんねと言ってくれて、その後、このシステム部で一番上の役職がついている、福原課長が、途中で、橋川くんが戸田さんがいないことに気づいて、探しに行ってくれたんだよ、そう言った。
その後、澤野さんが私のところに来て、本当にごめんね。他の人と話してて、気づけなくて。
そう謝ってくれて、私は私の方こそ、ごめんなさいと謝っていた。
この出来事で、システム部の皆は優しい人ばかりなんだなと思ったのと同時に、だけど、どうして、橋川さんは一番に私がいないことに気づいて、しかも私のことを探しにきてくれたんだろう。
いつも、私にキツイ言葉ばかりを言ってくるのに。
だけど、もしかして、本当は橋川さんは根は優しい人なのかもしれない。
私はそう思い、今まで持っていた橋川さんの印象がだいぶ変わったことを感じていた。
今週の金曜日はシステム部としての新人歓迎会をしてくれることになっていた。
ちなみに私が入社した会社は、かなり大きな会社のグループ会社で、私が入社した会社は、東京本社、大阪支社、名古屋支社、福岡支社の4拠点あった。
私は東京出身で、配属も東京本社となった。
全体的に1000人程社員がいる会社で、東京本社には450人くらいの社員がいた。
ついで、大阪支社所属の社員が多く、名古屋支社と福岡支社は同じくらいの社員数だと聞いていた。
そして、新社会人になって2週間目になった今も、頻繁にではないけど、時々、橋川さんにキツイ言葉を言われることがあった。
その度に澤野さんが橋川さんに怒ってくれて、さらに私を慰めてくれるので、澤野さんは私にとって、今、とても心強い存在となっていた。
ただ、橋川さんに何処かで会った気がする感覚だけはどうしても拭いされないでいた。
だからと言って、私にキツイことばかり言ってくる橋川さんへの苦手意識が消えないわけではなかったけど。
だけど、新人歓迎会の日、苦手意識を持っていた橋川さんへの印象を覆す出来事が起きた。
それは、雰囲気のとてもいい小料理屋さんでの新人歓迎会が終わった後のことだった。
新人歓迎会をしてくれたお店は会社の最寄り駅の3つ先にあり、システム部全員で、電車に乗って来たんだけど、この場所はこういったお店がたくさん並んでいるので、夜になると人がかなり多くなる場所だった。
案の定、お店から出ると外にはかなり人がいて、皆で、帰るために駅に向かっている時に私は違う団体の人達に巻き込まれて、皆とはぐれてしまった。
この場所はこういったお店がたくさんあることだけは知っていたけれど、実際に来るのは初めてで、人に巻き込まれて、皆とはぐれてしまった私は今、何処にいるのかさえも解らなくなってしまった。
誰かに駅の方向を聞いてみようかとも思ったけど、周りの人達はかなり飲んでそうな人ばかりで、まともに会話をしてもらえるかも解らないので、私は仕方なく、この場所の最寄りの駅にスマートフォンのナビを使って行こうとスマートフォンを取り出そうとした。
その時、ふと目が合ったそばにいた私より少し年上の男性2人に声をかけられそうになったけれど、
「バカ! とろいんだよ!」
と声がして、私に声をかけようとした男性2人は何だ、男連れかと言い、何処かへ行ってしまった。
そして、私が声をした方を向くとそこには息を切らしている橋川さんがいた。
「え? 橋川さん」
私はどうして、橋川さんがここにいるんだろう。
まさか私を探しにきてくれたんだろうか。
そんなことを思っていると橋川さんは私の左手を取って、手を繋ぎ、
「ほら、駅に行くぞ。皆待ってるはずだから」
そう言い私と手を繋いで、私を駅へと連れて行ってくれた。
駅に着くとシステム部の皆が輪になっていた。
「連れてきました」
橋川さんはそう言った後、私の手をパッと離して、私から離れてしまった。
そんな橋川さんに呆然としつつも、システム部の皆から声をかけられ、私ははっとして、
迷惑かけてすいませんと皆に謝った。
すると皆からはこっちこそ気づけずごめんねと言ってくれて、その後、このシステム部で一番上の役職がついている、福原課長が、途中で、橋川くんが戸田さんがいないことに気づいて、探しに行ってくれたんだよ、そう言った。
その後、澤野さんが私のところに来て、本当にごめんね。他の人と話してて、気づけなくて。
そう謝ってくれて、私は私の方こそ、ごめんなさいと謝っていた。
この出来事で、システム部の皆は優しい人ばかりなんだなと思ったのと同時に、だけど、どうして、橋川さんは一番に私がいないことに気づいて、しかも私のことを探しにきてくれたんだろう。
いつも、私にキツイ言葉ばかりを言ってくるのに。
だけど、もしかして、本当は橋川さんは根は優しい人なのかもしれない。
私はそう思い、今まで持っていた橋川さんの印象がだいぶ変わったことを感じていた。
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