43 / 43
最終話「この恋の行方」
しおりを挟む
私と克己は仕事が終わった後、二人で個室がある和食屋さんに行った。
そして、食事をしながら私と克己は離れていた時のことをお互いに色々と話した。
「本当はもう真弥に会うつもりはなかったんだ……。でも、俺、こっちにいる友達の結婚式に出ることになって、こっちに出てきた時に偶然、真弥を見かけて……で、本当に偶然なんだけど真弥がこの建物に入っていく所を見て……で、このビルにどんな所が入っているのか看板で見て……」
「克己……」
「そしたら、心理カウンセラーがいる会社がこのビルにあって、それで俺、真弥はもしかしたら、この会社に勤めているのかもしれないって思って」
「…………」
「そしたらさ、何だか勝手に俺、動いてたんだ。この会社に就職できないかって」
「克己……」
「あんなにもう会わないって思ってたのに一度、真弥のことを見ただけで、もう駄目だった……」
「克己……」
「でも、よく考えたら真弥の気持ちが今、どうなってるのかも解らないのにな……」
私は克己のその言葉に首を左右に振った。
「……克己、私は本当にずっとずっと克己に会いたかったんだよ」
「うん、ごめんな。いつも俺の勝手で真弥のこと傷つけて……」
「うん……でも、もう大丈夫だよね? もう私達、ずっと一緒にいれるよね?」
「ああ、真弥が望んでくれるなら、ずっとずっともう一緒だよ」
私は克己のその言葉に涙を零した。
食事が済んだ後、私達は和食屋さんから少し離れたところにある公園に向かうことにした。
その公園は小さいけどライトアップがしてあって綺麗だから二人で見に行こうということになって。
そして、私達は今、二人でその公園に向かっていた。
今日は平日だからかそんなに他の人は歩いてはいなかった。
暫くしたら私と克己が二人になってしまう程に人通りは少なかった。
「でも、何だかまだ信じられないな」
私がそう言うと克己は少し不思議そうな顔で私を見た。
「だって、本当はもう克己には会えないかもしれないって思ってたから」
「真弥……」
「でも、もう大丈夫だよね? もう私達ずっと一緒にいれるよね?」
私がそう言うと克己は立ち止まった。
「克己?」
私がそう言った後、克己は私を強く抱きしめた。
「真弥、本当に俺の勝手でたくさん傷つけてごめん。でも、もう本当に離れないから。真弥が望んでくれるならずっと一緒にいるから」
「克己……」
「それにもう父さんにも妹にも俺と真弥が一緒にいることにはとやかく言わせないから」
「克己……」
「俺、ここに来る前に父さんと妹にも会いにいったんだ。そして、真弥ともし一緒になることになったら、認めてほしいって言ったんだ」
「克己……」
「そしたら、父さんはもう勝手にすればいい。私も悪かったって。真弥には何の罪もないのにって。妹はもうお兄ちゃんはあの人しか無理なの解ってるから、私は何にも思ってないけどって言ってくれて……」
「克己……」
「だから、真弥、こんな場所で再会したばかりの日に言うのはどうかとは思うけど、でも、やっぱり言っておきたいから言うよ。真弥、俺が仕事を覚えて一人前になったら、結婚してほしい」
「克己……」
「してくれるかな?」
私は克己から少し離れて、克己を見上げて、克己の顔を真っ直ぐに見て、何度も何度もコクンコクンと頷いた。
涙を零しながら。
すると克己は凄く嬉しそうに笑って、私をまた強く抱きしめて、
「やった。真弥、ありがとう。絶対に幸せにするから」
そう言って私にキスをした。
ねぇ、克己。
本当は。
私と克己の恋の行く先は、もう行き止まりなんじゃないかと思ったりもしていた。
でも―。
私と克己の恋の行く先は。
これからもずっとずっと続いて、そして、きっと最後に辿り着く場所は、二人でいつも幸せに笑いあっていられる所なんだよね。
END
そして、食事をしながら私と克己は離れていた時のことをお互いに色々と話した。
「本当はもう真弥に会うつもりはなかったんだ……。でも、俺、こっちにいる友達の結婚式に出ることになって、こっちに出てきた時に偶然、真弥を見かけて……で、本当に偶然なんだけど真弥がこの建物に入っていく所を見て……で、このビルにどんな所が入っているのか看板で見て……」
「克己……」
「そしたら、心理カウンセラーがいる会社がこのビルにあって、それで俺、真弥はもしかしたら、この会社に勤めているのかもしれないって思って」
「…………」
「そしたらさ、何だか勝手に俺、動いてたんだ。この会社に就職できないかって」
「克己……」
「あんなにもう会わないって思ってたのに一度、真弥のことを見ただけで、もう駄目だった……」
「克己……」
「でも、よく考えたら真弥の気持ちが今、どうなってるのかも解らないのにな……」
私は克己のその言葉に首を左右に振った。
「……克己、私は本当にずっとずっと克己に会いたかったんだよ」
「うん、ごめんな。いつも俺の勝手で真弥のこと傷つけて……」
「うん……でも、もう大丈夫だよね? もう私達、ずっと一緒にいれるよね?」
「ああ、真弥が望んでくれるなら、ずっとずっともう一緒だよ」
私は克己のその言葉に涙を零した。
食事が済んだ後、私達は和食屋さんから少し離れたところにある公園に向かうことにした。
その公園は小さいけどライトアップがしてあって綺麗だから二人で見に行こうということになって。
そして、私達は今、二人でその公園に向かっていた。
今日は平日だからかそんなに他の人は歩いてはいなかった。
暫くしたら私と克己が二人になってしまう程に人通りは少なかった。
「でも、何だかまだ信じられないな」
私がそう言うと克己は少し不思議そうな顔で私を見た。
「だって、本当はもう克己には会えないかもしれないって思ってたから」
「真弥……」
「でも、もう大丈夫だよね? もう私達ずっと一緒にいれるよね?」
私がそう言うと克己は立ち止まった。
「克己?」
私がそう言った後、克己は私を強く抱きしめた。
「真弥、本当に俺の勝手でたくさん傷つけてごめん。でも、もう本当に離れないから。真弥が望んでくれるならずっと一緒にいるから」
「克己……」
「それにもう父さんにも妹にも俺と真弥が一緒にいることにはとやかく言わせないから」
「克己……」
「俺、ここに来る前に父さんと妹にも会いにいったんだ。そして、真弥ともし一緒になることになったら、認めてほしいって言ったんだ」
「克己……」
「そしたら、父さんはもう勝手にすればいい。私も悪かったって。真弥には何の罪もないのにって。妹はもうお兄ちゃんはあの人しか無理なの解ってるから、私は何にも思ってないけどって言ってくれて……」
「克己……」
「だから、真弥、こんな場所で再会したばかりの日に言うのはどうかとは思うけど、でも、やっぱり言っておきたいから言うよ。真弥、俺が仕事を覚えて一人前になったら、結婚してほしい」
「克己……」
「してくれるかな?」
私は克己から少し離れて、克己を見上げて、克己の顔を真っ直ぐに見て、何度も何度もコクンコクンと頷いた。
涙を零しながら。
すると克己は凄く嬉しそうに笑って、私をまた強く抱きしめて、
「やった。真弥、ありがとう。絶対に幸せにするから」
そう言って私にキスをした。
ねぇ、克己。
本当は。
私と克己の恋の行く先は、もう行き止まりなんじゃないかと思ったりもしていた。
でも―。
私と克己の恋の行く先は。
これからもずっとずっと続いて、そして、きっと最後に辿り着く場所は、二人でいつも幸せに笑いあっていられる所なんだよね。
END
0
お気に入りに追加
25
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
実家に帰ったら平民の子供に家を乗っ取られていた!両親も言いなりで欲しい物を何でも買い与える。
window
恋愛
リディア・ウィナードは上品で気高い公爵令嬢。現在16歳で学園で寮生活している。
そんな中、学園が夏休みに入り、久しぶりに生まれ育った故郷に帰ることに。リディアは尊敬する大好きな両親に会うのを楽しみにしていた。
しかし実家に帰ると家の様子がおかしい……?いつものように使用人達の出迎えがない。家に入ると正面に飾ってあったはずの大切な家族の肖像画がなくなっている。
不安な顔でリビングに入って行くと、知らない少女が高級なお菓子を行儀悪くガツガツ食べていた。
「私が好んで食べているスイーツをあんなに下品に……」
リディアの大好物でよく召し上がっているケーキにシュークリームにチョコレート。
幼く見えるので、おそらく年齢はリディアよりも少し年下だろう。驚いて思わず目を丸くしているとメイドに名前を呼ばれる。
平民に好き放題に家を引っかき回されて、遂にはリディアが変わり果てた姿で花と散る。
夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる
ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。
正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。
そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…
結局夫を元カノに奪われるんだったら、結婚なんてしなければよかった
ヘロディア
恋愛
夫には元カノがいる…
更に彼女はまだ夫のことを諦めていないため、ストーカー行為をやめない。
そんな悩みを抱えて不安になっていた主人公だったが、ある日、元カノから電話がかかってきた…
二人目の夫が不倫をしました。
杉本凪咲
恋愛
最愛の夫を失ったエレノアは、父の命令で公爵令息アーサーと結婚する。しかし二人目の夫である彼は不倫を公言して、エレノアをないがしろにした。元夫の死から立ち直れないエレノアは驚きつつも、不倫を認めてしまい……
離婚してください、今すぐに。
杉本凪咲
恋愛
余命一か月と告げられた侯爵夫人リア。
最期の時を幸せに過ごすため、彼女は夫のクラークに離婚を叫ぶ。
クラークは離婚を拒否するが、リアは彼の浮気の証拠を突きつけて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる