「行方知れずの恋」

愛理

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最終話「この恋の行方」

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 私と克己は仕事が終わった後、二人で個室がある和食屋さんに行った。
 そして、食事をしながら私と克己は離れていた時のことをお互いに色々と話した。
「本当はもう真弥に会うつもりはなかったんだ……。でも、俺、こっちにいる友達の結婚式に出ることになって、こっちに出てきた時に偶然、真弥を見かけて……で、本当に偶然なんだけど真弥がこの建物に入っていく所を見て……で、このビルにどんな所が入っているのか看板で見て……」
「克己……」
「そしたら、心理カウンセラーがいる会社がこのビルにあって、それで俺、真弥はもしかしたら、この会社に勤めているのかもしれないって思って」
「…………」
「そしたらさ、何だか勝手に俺、動いてたんだ。この会社に就職できないかって」
「克己……」
「あんなにもう会わないって思ってたのに一度、真弥のことを見ただけで、もう駄目だった……」
「克己……」
「でも、よく考えたら真弥の気持ちが今、どうなってるのかも解らないのにな……」
 私は克己のその言葉に首を左右に振った。
「……克己、私は本当にずっとずっと克己に会いたかったんだよ」
「うん、ごめんな。いつも俺の勝手で真弥のこと傷つけて……」
「うん……でも、もう大丈夫だよね? もう私達、ずっと一緒にいれるよね?」
「ああ、真弥が望んでくれるなら、ずっとずっともう一緒だよ」
 私は克己のその言葉に涙を零した。

 食事が済んだ後、私達は和食屋さんから少し離れたところにある公園に向かうことにした。
 その公園は小さいけどライトアップがしてあって綺麗だから二人で見に行こうということになって。
 そして、私達は今、二人でその公園に向かっていた。
 今日は平日だからかそんなに他の人は歩いてはいなかった。
 暫くしたら私と克己が二人になってしまう程に人通りは少なかった。
「でも、何だかまだ信じられないな」
 私がそう言うと克己は少し不思議そうな顔で私を見た。
「だって、本当はもう克己には会えないかもしれないって思ってたから」
「真弥……」
「でも、もう大丈夫だよね? もう私達ずっと一緒にいれるよね?」
 私がそう言うと克己は立ち止まった。
「克己?」
 私がそう言った後、克己は私を強く抱きしめた。
「真弥、本当に俺の勝手でたくさん傷つけてごめん。でも、もう本当に離れないから。真弥が望んでくれるならずっと一緒にいるから」
「克己……」
「それにもう父さんにも妹にも俺と真弥が一緒にいることにはとやかく言わせないから」
「克己……」
「俺、ここに来る前に父さんと妹にも会いにいったんだ。そして、真弥ともし一緒になることになったら、認めてほしいって言ったんだ」
「克己……」
「そしたら、父さんはもう勝手にすればいい。私も悪かったって。真弥には何の罪もないのにって。妹はもうお兄ちゃんはあの人しか無理なの解ってるから、私は何にも思ってないけどって言ってくれて……」
「克己……」
「だから、真弥、こんな場所で再会したばかりの日に言うのはどうかとは思うけど、でも、やっぱり言っておきたいから言うよ。真弥、俺が仕事を覚えて一人前になったら、結婚してほしい」
「克己……」
「してくれるかな?」
 私は克己から少し離れて、克己を見上げて、克己の顔を真っ直ぐに見て、何度も何度もコクンコクンと頷いた。
 涙を零しながら。
 すると克己は凄く嬉しそうに笑って、私をまた強く抱きしめて、
「やった。真弥、ありがとう。絶対に幸せにするから」
 そう言って私にキスをした。
 
    ねぇ、克己。
 本当は。
 私と克己の恋の行く先は、もう行き止まりなんじゃないかと思ったりもしていた。
 でも―。
 私と克己の恋の行く先は。
 これからもずっとずっと続いて、そして、きっと最後に辿り着く場所は、二人でいつも幸せに笑いあっていられる所なんだよね。
                                                               END
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