「行方知れずの恋」

第３８話「いつか一緒に……」

    私と克己は福岡から東京に帰ってきた。
　今はもう午後８時過ぎだった。
　でも、私はこのまま克己と離れたくなかった。
　だから、克己の家に泊めて欲しいってお願いした。
　すると克己は東京駅の人がたくさん通っている場所だというのに私をぎゅっと抱きしめた。
　そして、
「いいよ。俺も真弥とこのまま別れたくなかったから」
　そう優しく言った。
　そして、私達は克己のマンションに行った。
　私は克己のマンションの部屋に入るなり、克己に前からぎゅっと抱きついた。
「どうした？　真弥」
「さっき、克己も抱きしめてくれたでしょ？」
「……うん、何かもの凄く真弥が愛しくなってさ」
「今の私もそうなの。克己のことがもの凄く愛しいの」
　私がそう言うと克己は、くすっと笑って、そして、その後、私の背中に両手を回して、それから何度もキスをした。

「……ねぇ、克己」
　私と克己は今、２人でリビングルームでただ寄り添って座っていた。
「ん？　何？」
「……福岡では無理だったけど、でも、いつか本当に克己と一緒に住みたいな」
　私がそう言うと克己は少し困ったような表情をしたように見えた。
　だから、私はまた何だか不安になった。
　でも、私はそんな克己には気づかないふりをして、克己にぎゅっと今度は座った形で抱きついた。
　すると克己はそんな私の背中にまた両手を回した。
「……うん、真弥、いつかそうしよう。一緒に住もう」
　そう言って、克己は私を抱きしめている力を強くした。
　そして、私達はこの後、抱きあい、それから眠りについた。
　眠りにつく前の私は少し克己に対する不安は和らいでいた。