「君としか恋はしたくない」

愛理

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第46話「君のことだけを幸せにできれば」

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  俺が話し始めてからも皆は静かにしてくれていた。
  だから、俺は力強く話し続けた。
「もう知っている人も沢山いるとは思うけど、俺は今、家が隣同士で、赤ちゃんの頃からずっと一緒に育ってきたって言ってもいいくらいの幼馴染の相田綾香とつきあっています」
  俺はそう言った後、綾香の方を見た。
  綾香は白野と一緒にいて、俺の方を真剣に見て、綾香の名前を出したから緊張したのか、白野の手を握り始めた。
  白野もそんな綾香の気持ちを察してくれて、綾香の手を握り返してくれていた。
「俺はずっとずっと綾香のことだけを好きでした。でも、俺達が中学生になって、俺が何故か女子から注目されるようになって、綾香は俺が好きな女子達から嫌がらせを受けたりするようになりました。時には酷いこともされました。でも、綾香はそんな時でも誰も責めることはありませんでした」
  俺はとりあえず、区切りのいいところで、息をついて、また話し始めた。
「そんな綾香を見て、俺は絶対に一生、綾香を守っていこうと心に誓いました。まだ、恋人同士ではなかったけど……。でも、それでもそう思っていました。そして、綾香がこの高校に来たいと言ったから、頭の悪かった俺は死に物狂いで勉強して、この高校に受かって、綾香と一緒に登校するようになりました。でも……やっぱり、俺のせいで綾香は嫌がらせを受けてしまって……そして、それは俺と恋人同士になった今でも続いています。だから、俺はどうすれば綾香を嫌がらせから守れるのかを必死に考えました」
  俺が話している間、幸いなことに先生も誰も止めなかった。
「でも、全然、考えが浮かばなくて……。そして、この間、綾香と一緒に見た恋愛映画で、主人公の男子が俺と同じ歳で、相手の女の子も同じ歳だったのですが、その主人公の男子が凄く人気のある奴で、女子は不安になっていましたが、ある日、その男子が学校で、全校生徒の前でその女子のことが凄く大事だし、いずれは結婚するつもりだからと宣言するのを見て、俺も全校生徒の前でそうしようと思いました」
  俺がそう話終わった時点で、少しざわざわと声が聞こえ始めてきた。
  でも、大半はまだ俺の話をじっと聞いてくれる姿勢だった。
「その映画の相手の女子は別に嫌がらせを受けたりはしていなかったけど……でも、俺はこうして、ここで綾香のことが凄く大切で、俺も映画の男子のようにいずれは綾香と結婚すると決めているということを学校にいる皆に伝えることで、綾香に対しての嫌がらせに気づいてくれる人が増えて、綾香が守られるかもしれないと思ったので、こうすることにしました。もの凄く俺の勝手な思いですいません。でも、俺は本当に綾香が大切なので、綾香をこれ以上、傷つけたくないんです。そして、これも凄く自分勝手ですが、俺は綾香だけを幸せにできればいいと思っています」
  俺はそう言った後、舞台から降りて、綾香を連れて、再び舞台の上に戻った。
  そして、俺は―。
  今度は舞台上で綾香にプロポーズをし始めた。
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