「君としか恋はしたくない」

愛理

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第42話「何があっても君だけだから」

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  綾香が突然、俺の目の前で井田という奴にキスされて、俺は思わず席から立ち上がった。
  一緒にいた実と白野も凄い驚いた顔をしている。
  そして、綾香はキスされた後、井田を突き飛ばして、その後、教室から出ていった。
  多分、綾香は泣いていた。
  俺はそう思ったから、井田に対して、思いっきり文句を言いたかったのを堪えて、とりあえず睨みつけるだけ睨みつけて、その後、俺も教室を出て綾香を追いかけた。
 
  教室を出てから、少し離れたところにいる綾香を見つけたので、俺は全力で綾香を追いかけた。そして、綾香が中庭の方に上履きのまま走っていったので、俺も上履きのまま、中庭の方に行った。
  中庭に辿り着いたところで、俺はやっと綾香の腕を掴んで、綾香を掴まえることができた。
  俺に腕を掴まれた綾香は俺の方を振り向いたけど、やっぱり綾香は泣いていた。
「綾香……」
「……ごめんなさい。私、涼一に他の人と無理矢理にでもキスするの嫌だって言っておいて、自分がしちゃった」
  綾香があまりにも辛そうな声でそう言うので、俺は堪らなくなって、綾香を思いっきり抱きしめた。
「綾香は悪くないよ。だから、自分のこと、そんなに責めなくていい」
「だって……」
「俺が守れなかったのが悪いんだから」
「そんなこと……」
「なあ、綾香、俺は本当にずっと小さい頃から、綾香のことだけを好きだったんだ。そして、それはこれからも変わることはないって俺は言えるよ。例え何があっても」
「涼一……」
「だから、さっきのはもう気にしないの」
  そう言い俺は綾香に長いキスをした。
  綾香は俺がキスをした後、じっと俺を見つめてきた。
  だから、俺は、
「昨日、綾香が俺にキスを上書きしてくれたように俺も今、上書きしたんだ。だから、もう大丈夫」
  そう言った。
  すると綾香はやっと少し笑ってくれて、俺に抱きついて、
「涼一、大好き」
  そう言ったから、俺はまた堪らなくなって綾香をぎゅうっと強く抱きしめた。
  でも、俺は、綾香を抱きしめながら、このままだと俺と綾香とのトラブルは続くばかりかもしれない。
  これ以上、綾香を傷つけたくはないから俺の手で何とかしないと駄目だと心の中で、そんなことを思っていた。
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