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第14話「実に相談した結果」
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「え? 相田に好きな人がいた?」
実が言った。
俺は1人で綾香のことを思っていることが辛くなって、俺の気持ちをよく知っている実にだけ昨日の放課後にあったことを言った。
今は昼休みで、俺は綾香と白野の2人に男同士の話があるからと言い教室を出てきて、中庭にいた。
そして、中庭に親切に置いてあるベンチに並んで座っていた。
幸いこのベンチにも周りにも人はいなかった。
「うん、はっきりと好きな人はいるって言ってた」
俺は綾香が昨日、迫田に言っていたことを思い出しながら言った。
「そりゃ相田だって俺達と同じ歳だから好きな奴くらい、いるだろ」
実は少し呆れたように言った。
そして、その後、
「お前さ、もしかして、本当に本気で相田は今まで恋したことがないって思ってたわけ?」
今度は半分、驚いたような顔をしてそう言った。
「だって、そんな話、綾香から1度も聞いたことなかったし、そんな素振りも見せたことなかったし」
俺がそう言うと実は今度は盛大な溜息を吐いた。
「あーあ、本当、お前って相田のことになると慎重すぎるというか何というか」
「何だよ?」
「あのさ、俺、何度も言ってるじゃん。相田は絶対にお前のことが好きだって。だから、お前相手に好きな奴のこと言えるわけないだろ。告白でもするなら別だけど、そうじゃないなら、本人目の前にして、自分の好きな人の話なんて」
「実……」
「あー、もう、だから、早く相田に告白しろって言ってるんだよ。そうじゃないと、ずーっと相田のことでもやもやした気持ちのままでいることになるぞ」
「実……」
「とういか俺からしたら、相田がお前以外の奴を好きかもしれないと思うお前の思考が解らんわ」
「だって、俺と綾香は近すぎるっていうか……だから、俺は綾香が俺のこと本当はどう思ってるのか解らないし」
「でも、近すぎるからこそ、お前は相田のこと好きになったんだろ。それにいくら幼馴染だからって、好きでもない奴の家に行ってもいい? なんて高校生にもなった女子は言わねえぞ。でも、相田はお前にだけはそう言うだろ? それって、お前のことが幼馴染としてだけじゃなく、好きだからだよ。だから、本当に自信もって、相田にさっさっと告白しろ。解ったな?」
俺は実に力強くそう言われ思わずコクンと頷いてしまった。
そして、そんな俺に実が、
「よし! 絶対だからな! 今週中に相田に告白しろよ」
俺の肩を抱いて嬉しそうにそう言った。
実が言った。
俺は1人で綾香のことを思っていることが辛くなって、俺の気持ちをよく知っている実にだけ昨日の放課後にあったことを言った。
今は昼休みで、俺は綾香と白野の2人に男同士の話があるからと言い教室を出てきて、中庭にいた。
そして、中庭に親切に置いてあるベンチに並んで座っていた。
幸いこのベンチにも周りにも人はいなかった。
「うん、はっきりと好きな人はいるって言ってた」
俺は綾香が昨日、迫田に言っていたことを思い出しながら言った。
「そりゃ相田だって俺達と同じ歳だから好きな奴くらい、いるだろ」
実は少し呆れたように言った。
そして、その後、
「お前さ、もしかして、本当に本気で相田は今まで恋したことがないって思ってたわけ?」
今度は半分、驚いたような顔をしてそう言った。
「だって、そんな話、綾香から1度も聞いたことなかったし、そんな素振りも見せたことなかったし」
俺がそう言うと実は今度は盛大な溜息を吐いた。
「あーあ、本当、お前って相田のことになると慎重すぎるというか何というか」
「何だよ?」
「あのさ、俺、何度も言ってるじゃん。相田は絶対にお前のことが好きだって。だから、お前相手に好きな奴のこと言えるわけないだろ。告白でもするなら別だけど、そうじゃないなら、本人目の前にして、自分の好きな人の話なんて」
「実……」
「あー、もう、だから、早く相田に告白しろって言ってるんだよ。そうじゃないと、ずーっと相田のことでもやもやした気持ちのままでいることになるぞ」
「実……」
「とういか俺からしたら、相田がお前以外の奴を好きかもしれないと思うお前の思考が解らんわ」
「だって、俺と綾香は近すぎるっていうか……だから、俺は綾香が俺のこと本当はどう思ってるのか解らないし」
「でも、近すぎるからこそ、お前は相田のこと好きになったんだろ。それにいくら幼馴染だからって、好きでもない奴の家に行ってもいい? なんて高校生にもなった女子は言わねえぞ。でも、相田はお前にだけはそう言うだろ? それって、お前のことが幼馴染としてだけじゃなく、好きだからだよ。だから、本当に自信もって、相田にさっさっと告白しろ。解ったな?」
俺は実に力強くそう言われ思わずコクンと頷いてしまった。
そして、そんな俺に実が、
「よし! 絶対だからな! 今週中に相田に告白しろよ」
俺の肩を抱いて嬉しそうにそう言った。
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