「君としか恋はしたくない」

愛理

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第2話「4人組みになりました」

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 俺と綾香と実が教室に入るともの凄く注目を浴びた。
“あ、あの人が里川くんだって”
 という声もちらほら聞こえてきた。
 はあ。本当に勘弁してほしい。
 俺は別に人気者になんてなりたくないんだよ。
 綾香と実と楽しく高校生活を送れればそれでいいのに。
 そんなことを思っていると、
“それで里川くんの隣にいる女の子が里川くんの幼馴染の子だよ”
“あー、幼馴染ってだけで隣にいれるっていう噂の子”
 そんな会話も聞こえてきて、俺は思わずそんな会話している女子達にキレそうになった。
 でも……。
「あんた達さ、里川って男子のこともその隣にいる女子のことも全然、知らないんでしょ? なのに噂だか何だか知らないけど、ただ誰かに聞いた話だけで2人の関係とか判断するのやめなよ」
 女子にしてはわりと背が高いショートカットで美人だけど雰囲気はボーイッシュな感じの子が言った。
 そして、その女子は俺達3人の前まで来て、綾香に手を差し伸べて、
「私、白野広美。良かったら友達にならない? それに私ならその里川って男子のこと好きな子から守ってあげれるし」
 そう言った。
「え? 本当? 私、このクラスに知ってる女の子いなくてお友達できるか不安だったの。だから、白野さんがそう言ってくれるなら凄く嬉しい」
 綾香は少し照れながら白野にそう言った。
 いや、いや、いや!
 綾香、何で照れる!
 白野は女子だからね! まあ、でも、超人見知りの綾香にクラスでの女子の友達ができるのはいいことだしな。
「白野だっけ? 俺からも綾香のことよろしくな。お前、頼りがいありそうだし」
 俺がそう言うと白野はぷっと笑った。
 何? 何か俺、変なこと言った?
「何だよ。何かおかしいか?」
 俺が少しムッとしながらそう言うと、
「ううん、ごめん。私はあんた達のこと全然、知らないけど、本当にこの女の子に対して過保護なんだなあって。でも、了解。さっきの感じだと多分、中学生の時から色々あったんだなって感じだし、私、つるんで陰口言うとか好きじゃないんだよね。だから、同じクラスである1年間は全力でこの子のこと私も守ってあげるよ」
 そう言った後、白野はどんっと自分の胸を叩いた。
「じゃあさ、今日の放課後、この4人で集まらない? これから俺達4人で一緒にいようぜ」
 実がそう言ったので、俺達は今日の放課後、綾香の家に集まることになった。
 そして、この日から四季高校で過ごす時は男女別でいなきゃいけない時以外は俺と綾香と実、そして、白野の4人でいつも一緒にいることになった。
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