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「君がいれば強くなれるから」
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君が傍にいてくれるから、俺は強くなれるんだ。
あー、疲れた。
俺はそう思いながら金曜日の午後8時過ぎに会社から帰った。
俺は営業をしていて、今日はややこしい取引先と会って、更に月曜日の朝までに提出しなければならない書類があって、かなり根を詰めて、仕事をしていたから、もう今はぐったりだった。
そんな時、スマートフォンの電話が鳴った。
まだ駅に向かう道を歩いていた俺はスマートフォンを手に取り、誰からかの表示を確認した後、すぐに出た。
「もしもし」
「あ、もしもし、真司?」
電話をかけてきた相手は俺の彼女の凛花(りんか)だった。
俺と凛花は1年半前に俺と凛花の共通の知人が主催した飲み会で知り合った。
その時に偶然に席が隣同士だったんだけど、凛花は小柄で華奢で可愛くて、いかにも俺のタイプだったので、俺が積極的にアプローチしてつきあった。
でも、つきあってみると俺と同じ歳の凛花は(ちなみに俺も凛花も今、25歳だった)芯はしかっりしていて、見た目と中身がギャップがあったんだけど、でも、それが却って、俺が凛花を好きな気持ちを大きくさせた。
そして、凛花とつきあったおかげで、俺は例えこんな風に仕事でぐったりしたとしても、もうこんな仕事辞めたいなとは思わなくなった。
実は凛花に出会うまでは何度か自分は営業に向いてないんじゃないか、もう辞めようかと思ったりしていたから。
でも、凛花に出会ってからは、凛花は俺の辛い気持ちをよく汲み取ってくれたりして、俺の心は凛花のおかげで軽くなって―。
それからというもの仕事にも気合いが入るようになって、実は凛花に出会ってからはかなり営業の売り上げの成績は伸びている。
「凛花、どうした?」
「ん? 昨日、LINEで今日、ちょっとややこしいお客さんに会うんだって言ってたから、疲れたんじゃないかなあと思って……って、ただの口実でせっかくの金曜日だから、ちょっと声が聞きたくなって電話したんだけど」
芯が強いだけでなくて、凛花は俺のツボを抑えるようなことをかなり言ってくれる。
でも、本当は俺のことを心配してくれてるから電話くれたんだなって解ってるよ。
だから、俺は、
「ん、ありがとう。正直、本当にぐったりしてたんだ。でも、凛花の声を聞いたら、何か元気出たよ」
そう正直な気持ちを凛花に口にした。
すると凛花は電話の向こうで嬉しそうに笑って、
「本当? 良かった。あ、でも、日曜日、会う時にもっと元気が出るように真司の家に行った時に真司の大好きなオムライスつくってあげるね」
そう言った。
そして、俺はその言葉で更に元気が出て、凛花との電話を切った後、さっきまでのぐったり感が嘘のように消え、軽い足取りで駅に向かって歩き出した。
なあ、凛花、俺は本当に凛花に出会ってから、強くなれた気がするから、これからも俺の傍にずっといてくれな。
END
あー、疲れた。
俺はそう思いながら金曜日の午後8時過ぎに会社から帰った。
俺は営業をしていて、今日はややこしい取引先と会って、更に月曜日の朝までに提出しなければならない書類があって、かなり根を詰めて、仕事をしていたから、もう今はぐったりだった。
そんな時、スマートフォンの電話が鳴った。
まだ駅に向かう道を歩いていた俺はスマートフォンを手に取り、誰からかの表示を確認した後、すぐに出た。
「もしもし」
「あ、もしもし、真司?」
電話をかけてきた相手は俺の彼女の凛花(りんか)だった。
俺と凛花は1年半前に俺と凛花の共通の知人が主催した飲み会で知り合った。
その時に偶然に席が隣同士だったんだけど、凛花は小柄で華奢で可愛くて、いかにも俺のタイプだったので、俺が積極的にアプローチしてつきあった。
でも、つきあってみると俺と同じ歳の凛花は(ちなみに俺も凛花も今、25歳だった)芯はしかっりしていて、見た目と中身がギャップがあったんだけど、でも、それが却って、俺が凛花を好きな気持ちを大きくさせた。
そして、凛花とつきあったおかげで、俺は例えこんな風に仕事でぐったりしたとしても、もうこんな仕事辞めたいなとは思わなくなった。
実は凛花に出会うまでは何度か自分は営業に向いてないんじゃないか、もう辞めようかと思ったりしていたから。
でも、凛花に出会ってからは、凛花は俺の辛い気持ちをよく汲み取ってくれたりして、俺の心は凛花のおかげで軽くなって―。
それからというもの仕事にも気合いが入るようになって、実は凛花に出会ってからはかなり営業の売り上げの成績は伸びている。
「凛花、どうした?」
「ん? 昨日、LINEで今日、ちょっとややこしいお客さんに会うんだって言ってたから、疲れたんじゃないかなあと思って……って、ただの口実でせっかくの金曜日だから、ちょっと声が聞きたくなって電話したんだけど」
芯が強いだけでなくて、凛花は俺のツボを抑えるようなことをかなり言ってくれる。
でも、本当は俺のことを心配してくれてるから電話くれたんだなって解ってるよ。
だから、俺は、
「ん、ありがとう。正直、本当にぐったりしてたんだ。でも、凛花の声を聞いたら、何か元気出たよ」
そう正直な気持ちを凛花に口にした。
すると凛花は電話の向こうで嬉しそうに笑って、
「本当? 良かった。あ、でも、日曜日、会う時にもっと元気が出るように真司の家に行った時に真司の大好きなオムライスつくってあげるね」
そう言った。
そして、俺はその言葉で更に元気が出て、凛花との電話を切った後、さっきまでのぐったり感が嘘のように消え、軽い足取りで駅に向かって歩き出した。
なあ、凛花、俺は本当に凛花に出会ってから、強くなれた気がするから、これからも俺の傍にずっといてくれな。
END
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