Trigger

トリガー(日本語版)

3、～爆死しろと～

「ウゥッ…！」


三年前、放課後の体育館に、いくつかの人影があった。一人はもう一人をつかみ、3人目はそれを、脇にあるバスケットゴールの下でながめている。

「おい、てメェ！最近俺のこと変な目で見てんじゃねぇよ。超目障りなんだよ！」
「目障りなんだよっ！」
少年Aと少年Bがそれぞれ言った。

その少年Aに掴まれている人影は、望だ。彼はその頃、少年AとBによくからまれていた。彼は力が弱いためいつも抵抗できず、もし先生に話しても、状態が悪化するだけだった。

「ち、違うよ！俺が見てるのはお前じゃなくて…」
「はあ？じゃあ誰を見てんだよ。」
「見てんだよっ。」
AとBが言う。

望は焦っていた。
『…言えない…Aの後ろに座ってる女の子が気になっているなんて絶対言えない…』

望が黙りこくっていたので、Aがイラつきながら叫ぶ。
「とにかく、俺はストレスが溜まってんだ！一発殴らせろ！」
「殴らせろっ！」
「あの…拒否権はあるかな…ウッ…」

…そうして10分後、一発どころか何発も殴られた傷だらけの望は、いじめっこ二人組を睨みつけながらその言葉を口にしたのだった。



「お前ら二人とも…爆死しろ…」



厨二病とか言われるかもしれない。
望もなぜそんな言葉を言ったのかはわからないが、とにかく、その時に思いついた言葉が口をついて出たのだ。

「は？何て？もう一回言ってみろよ。そんな言葉で俺がビビるとでも？」
「ビビるとでも？」
ABは今にも爆発しそうな程顔を赤くして爆笑していた。

その時だ。
望は異変を感じた。
まず最初に、そこらじゅうの光が眩しくなり、彼の目に刺すような痛みを感じる。

まるで虹彩が開ききったかのように。

そして、ブーンという低い耳鳴りが聞こえ出した。

どのくらい続いただろう。
一瞬だけかもしれない。
ただ、それら全てが収まった瞬間、それは起こった。







彼の視界からABの姿が消えた…かと思うとすぐに望は強い風に煽られて体をバスケットゴールの柱に打ちつけられる。



「……！」




何が起こったのか理解できなかった。

望が床に横たわりながら最後に見たのは、血だらけのバスケットゴールと、目と鼻の先に落ちている一本の血にまみれた指。
それを見ながら、彼は気を失った。