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109話「アークスと魔女」
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「よしよし、これにて一件落着ってところだな」
アークスとミーナの握手に、魔女はそっと、自分の右手も乗せた。
「魔女さん……」
「ふ……ミーナの師匠で、アークスの雇い主なんだ。私も仲間に入れてくれよ」
「……勿論ですよ。魔女さんは、もう仲間です」
「ははは、私から要求しておいてアレだが、なかなか体がこそばゆくなることを言ってくれるな。ま、アークスのそういう、どストレートなところが、魅力的なのかもしれんがなぁ」
魔女が豪快に笑う。
「ん……そういえば師匠、顔にでっかいバンソーコー貼ってあるぴょんね」
ふと、魔女の頬の絆創膏が気になったミーナは、アークスと握手をした手を離すと、ツンツンと魔女の頬に貼ってある絆創膏をつついた。
「ああ、これ!」
魔女は驚いた様子で、ミーナの絆創膏を突く手を払った。
「や、やめろよまだ痛いんだから! 結構大きな火傷だぞ!」
「え……痕は残らないんですか? 魔女さんとはいえ、女の人が顔に大きな火傷なんて……」
「あ、その辺は心配無いよ。私の魔法にかかれば、こんな傷、ものの数ではないからな」
「跡は残らないってことですか……良かった……」
「でも絆創膏はしているぴょんね」
「お? ミーナ、それは魔法の基礎の基礎だぞ?」
「……ぴょん?」
ミーナが首を、地面と平行かと思うくらいにぐりっと捻る。
「回復魔法というのは、どんな傷も治せるという、万能薬のような面がある。しかし、そういった回復魔法があるにも関わらず、何故、医者が居るのか」
「そりゃ……魔法が使えない人は、医者にならないと治療できないぴょん」
「その理屈だったら、なにも魔法を使えない人が医者に並んでもいい筈じゃないか?」
「職業選択の自由だぴょん」
「それにしたって、魔法で一括治療ができる魔法使いの方が、圧倒的に有利だ。しかし、医師と回復魔法師の数には、これといった差が見受けられない。むしろ、医師と回復魔法師がペアになっているケースも多く見受けられるんじゃないか?」
「言われてみれば……そんな感じがするぴょんね」
「つまり、医師の方にも利点があるわけだ」
「なるほどー……ぴょん」
「そこで回復魔法の特性だ。私レベルの魔法使いでも、こうやって絆創膏を貼らないといけないんだ」
「うんうん……うん? 何でだぴょん?」
「うむ、やはり疑問に思う所だよな、何故、回復魔法だけでは治らないのか……それは、それが魔法の限界だからなんだ。回復魔法は何でも治せる万能な力だ。しかし、それだけでは傷を完全に治すことはできないんだ。だから、回復魔法を限界まで使ったとしても、何かしらの傷は残ることになる」
「えー、そ、そうなんだぴょんか!?」
「ミーナ……それ、魔法使いじゃない僕でも知ってるけど……」
「ぴょん!?」
「基礎の基礎だな。まあ、教えてないのは私だが」
「師匠~!」
「はは、すまないことだな。とはいえ、私も弟子なんて久しぶりに取るもんだからな、大目に見てくれ」
「もー!」
ミーナが魔女の傷を、結構な勢いで人射し指で突いた。
「わあっ! 痛いんだって!」
魔女も本当に痛そうに悲鳴を上げ、体を仰け反らせた。
「うーん……その様子だと本当に顔に火傷があるんですね。ブリーツも、結構凄いのか……」
「なんだ、嘘だと思ったのか!? ミーナもそうか!?」
魔女が凄い剣幕でアークスを、そしてミーナの顔を見つめる。
「ええっ!? 弟子が師匠を疑うわけないでしょうぴょん!」
「えと……僕はその……だって、魔女さん、すぐ嘘つくんですもん」
アークスが、魔女から目線を反らしながら言った。
「むー……身から出た錆なのは認めよう」
「でも、貴方がブリーツに後れを取るなんて、ちょっと意外です」
アークスは、魔女から出る威圧的なオーラを感じたことがある。なんとも形容しがたい……強烈な殺気のようなものが、魔女の体から溢れ出るのだ。
加えて、魔女の凄まじい魔法の手腕も、この目で見ている。これについてはミーナも見ていると思うが、一つは魔女の住処だ。世間には岩肌を荒く削り取った、ほら穴のような所に住んでいると見せかけて、実は、こんな豪華な部屋を、どこかに隠し持っているのだ。しかも、アークスのように何度もここに行き来をしていても、そのからくりについては全く見当もつかない。もう一つは、マッドサモナー戦の一番最後だ。騎士団による調査で分かったことなのだが、あれのリーゼは、結局一個中隊レベルの規模であったと結論付けられた。魔女は、その一個中隊ほどのリーゼを、一瞬にして打ち倒したのだ。ということは、魔女にはどれくらいの規模のリーゼ隊ならなら倒せるのか。もしかして、フレアグリットの全兵力を用いても、魔女に勝つことは不可能なのではないか。アークスは、そこまで考えている。
「ああ、私も魔法で防ごうと思ったんだが、あいつは思いの外、素の魔法の威力が高いんだなぁ、私の魔法を貫かれて、不覚にも一発喰らってしまったよ。いや、油断したな、あれは」
「へぇ……そうなんですか。僕は戦士だし、あまり魔法使いって注視たことがないから、良く分からないけど……ブリーツも、結構な使い手ってことですね」
「アークスも注意した方がいいぞ、あいつは食えない」
「いや……それ、ブリーツはともかく……」
「何だ?」
「いえ……なんでもありません……」
魔女だって食えない。アークスの口から、自然とそんな言葉が出てきそうになったが、アークスはそれを必死に飲み込んだ。
「お師匠様が言うなって言いたいらしいぴょん」
アークスが、どうにか堪えられたことを、ミーナがさらりと言う。その言葉を聞いたアークスは、思わずミーナを見つめた。
「何!? アークス―!」
魔女がアークスを睨む。
「ちょっと……! それ、ミーナが勝手に言ったんじゃないですか!」
「でも、思ってるんだろ!?」
「と、とんでもない!」
「あー! その顔は思ってるな! このやろー!」
魔女の指から赤い閃光が放たれる。
「うわっ! ちょっと!」
アークスが咄嗟に後ろに飛び退いたが、アークスの、元々いた所からは太い火柱が上がっており、アークスの座っていた椅子は跡形も無く燃え尽きてしまった。
「おっ、かわしたな!?」
「ま、待って! 冗談じゃないですよ!」
アークスは急いで踵を返すと、魔女の住処の外へと急いだ。巨大な金属の塊であるリーゼの軍団ですら、造作も無く破壊してしまう魔女だ。魔女の魔力を以て放たれる魔法を生身で受けた日には、アークスは骨まで残すことなく消滅してしまうだろう。
「逃がさんぞ!」
「外に出ちゃいますよ! 人が居ますよ!」
凄い血相で追ってくる魔女に、本気で命の危険を感じたアークスが、後ろを振り返らずに叫ぶ。
「結構だ! 見られたところで、また妙な事をやっていると思われるだけだ!」
「それ、いいんですか!? 誰か! 助けてー!」
――アークスと魔女は、秘密の空間を出て、表面的な魔女の住処からも飛び出し、広大なフレアグリット王国を、いつまでも走り続けた。ミーナが次に二人を見たのは、待ちくたびれて寝てしまったのを起こされた夜更けのことであった。
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「魔女さん……」
「ふ……ミーナの師匠で、アークスの雇い主なんだ。私も仲間に入れてくれよ」
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「ん……そういえば師匠、顔にでっかいバンソーコー貼ってあるぴょんね」
ふと、魔女の頬の絆創膏が気になったミーナは、アークスと握手をした手を離すと、ツンツンと魔女の頬に貼ってある絆創膏をつついた。
「ああ、これ!」
魔女は驚いた様子で、ミーナの絆創膏を突く手を払った。
「や、やめろよまだ痛いんだから! 結構大きな火傷だぞ!」
「え……痕は残らないんですか? 魔女さんとはいえ、女の人が顔に大きな火傷なんて……」
「あ、その辺は心配無いよ。私の魔法にかかれば、こんな傷、ものの数ではないからな」
「跡は残らないってことですか……良かった……」
「でも絆創膏はしているぴょんね」
「お? ミーナ、それは魔法の基礎の基礎だぞ?」
「……ぴょん?」
ミーナが首を、地面と平行かと思うくらいにぐりっと捻る。
「回復魔法というのは、どんな傷も治せるという、万能薬のような面がある。しかし、そういった回復魔法があるにも関わらず、何故、医者が居るのか」
「そりゃ……魔法が使えない人は、医者にならないと治療できないぴょん」
「その理屈だったら、なにも魔法を使えない人が医者に並んでもいい筈じゃないか?」
「職業選択の自由だぴょん」
「それにしたって、魔法で一括治療ができる魔法使いの方が、圧倒的に有利だ。しかし、医師と回復魔法師の数には、これといった差が見受けられない。むしろ、医師と回復魔法師がペアになっているケースも多く見受けられるんじゃないか?」
「言われてみれば……そんな感じがするぴょんね」
「つまり、医師の方にも利点があるわけだ」
「なるほどー……ぴょん」
「そこで回復魔法の特性だ。私レベルの魔法使いでも、こうやって絆創膏を貼らないといけないんだ」
「うんうん……うん? 何でだぴょん?」
「うむ、やはり疑問に思う所だよな、何故、回復魔法だけでは治らないのか……それは、それが魔法の限界だからなんだ。回復魔法は何でも治せる万能な力だ。しかし、それだけでは傷を完全に治すことはできないんだ。だから、回復魔法を限界まで使ったとしても、何かしらの傷は残ることになる」
「えー、そ、そうなんだぴょんか!?」
「ミーナ……それ、魔法使いじゃない僕でも知ってるけど……」
「ぴょん!?」
「基礎の基礎だな。まあ、教えてないのは私だが」
「師匠~!」
「はは、すまないことだな。とはいえ、私も弟子なんて久しぶりに取るもんだからな、大目に見てくれ」
「もー!」
ミーナが魔女の傷を、結構な勢いで人射し指で突いた。
「わあっ! 痛いんだって!」
魔女も本当に痛そうに悲鳴を上げ、体を仰け反らせた。
「うーん……その様子だと本当に顔に火傷があるんですね。ブリーツも、結構凄いのか……」
「なんだ、嘘だと思ったのか!? ミーナもそうか!?」
魔女が凄い剣幕でアークスを、そしてミーナの顔を見つめる。
「ええっ!? 弟子が師匠を疑うわけないでしょうぴょん!」
「えと……僕はその……だって、魔女さん、すぐ嘘つくんですもん」
アークスが、魔女から目線を反らしながら言った。
「むー……身から出た錆なのは認めよう」
「でも、貴方がブリーツに後れを取るなんて、ちょっと意外です」
アークスは、魔女から出る威圧的なオーラを感じたことがある。なんとも形容しがたい……強烈な殺気のようなものが、魔女の体から溢れ出るのだ。
加えて、魔女の凄まじい魔法の手腕も、この目で見ている。これについてはミーナも見ていると思うが、一つは魔女の住処だ。世間には岩肌を荒く削り取った、ほら穴のような所に住んでいると見せかけて、実は、こんな豪華な部屋を、どこかに隠し持っているのだ。しかも、アークスのように何度もここに行き来をしていても、そのからくりについては全く見当もつかない。もう一つは、マッドサモナー戦の一番最後だ。騎士団による調査で分かったことなのだが、あれのリーゼは、結局一個中隊レベルの規模であったと結論付けられた。魔女は、その一個中隊ほどのリーゼを、一瞬にして打ち倒したのだ。ということは、魔女にはどれくらいの規模のリーゼ隊ならなら倒せるのか。もしかして、フレアグリットの全兵力を用いても、魔女に勝つことは不可能なのではないか。アークスは、そこまで考えている。
「ああ、私も魔法で防ごうと思ったんだが、あいつは思いの外、素の魔法の威力が高いんだなぁ、私の魔法を貫かれて、不覚にも一発喰らってしまったよ。いや、油断したな、あれは」
「へぇ……そうなんですか。僕は戦士だし、あまり魔法使いって注視たことがないから、良く分からないけど……ブリーツも、結構な使い手ってことですね」
「アークスも注意した方がいいぞ、あいつは食えない」
「いや……それ、ブリーツはともかく……」
「何だ?」
「いえ……なんでもありません……」
魔女だって食えない。アークスの口から、自然とそんな言葉が出てきそうになったが、アークスはそれを必死に飲み込んだ。
「お師匠様が言うなって言いたいらしいぴょん」
アークスが、どうにか堪えられたことを、ミーナがさらりと言う。その言葉を聞いたアークスは、思わずミーナを見つめた。
「何!? アークス―!」
魔女がアークスを睨む。
「ちょっと……! それ、ミーナが勝手に言ったんじゃないですか!」
「でも、思ってるんだろ!?」
「と、とんでもない!」
「あー! その顔は思ってるな! このやろー!」
魔女の指から赤い閃光が放たれる。
「うわっ! ちょっと!」
アークスが咄嗟に後ろに飛び退いたが、アークスの、元々いた所からは太い火柱が上がっており、アークスの座っていた椅子は跡形も無く燃え尽きてしまった。
「おっ、かわしたな!?」
「ま、待って! 冗談じゃないですよ!」
アークスは急いで踵を返すと、魔女の住処の外へと急いだ。巨大な金属の塊であるリーゼの軍団ですら、造作も無く破壊してしまう魔女だ。魔女の魔力を以て放たれる魔法を生身で受けた日には、アークスは骨まで残すことなく消滅してしまうだろう。
「逃がさんぞ!」
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凄い血相で追ってくる魔女に、本気で命の危険を感じたアークスが、後ろを振り返らずに叫ぶ。
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