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1章

第11話 で、鰻の謎は?

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もなかちゃんが「あーん」とぼくの口にポテトを運ぶと、環琉ちゃんがなんか嫉妬の視線を送り、もなかちゃんが環琉ちゃんの口にもポテトを運ぶと、環琉ちゃんの顔から嫉妬が消え甘えた。

そもそももなかちゃんは、ぼくのことをどお思ってるのだろう?
人の目を気にし過ぎなのは自覚してるけど、気になる。

久しぶりにもなかちゃんに、「あーん」してもらえた。
ポテトサラダを買って来て正解だった♪
と、にやけたいのは山々だが、ぼくは冷静を装った。

半額のシールの張った鰻丼を、環琉ちゃんはお箸で普通に食べた。
もう飽きたのか?

「で、鰻の謎は?」
ぼくは答えを促した。

「めぐるくんが、わたしの分身だったら、言わなくても解るはずでしょう」
「あなたの分身じゃないから解らないです」

環琉ちゃんは、咄嗟にもなかちゃんの腕を掴むと、
「わたしの分身じゃないとすれば、あなたは誰なの?!」
と若干ミステリー劇場ぽい口調で言った。さらにもなかちゃんまで、
「あなたは誰?どうしてここにいるの?ここはわたしたちだけの場所よ!」
と乗ってきた。

いやここは店の軽トラの中だってば!

しかし、この問いの正解はなんだろう?
どーすれば、鰻の謎の答えに持っていくことが出来るのだろう?難問だ。

「ええ、確かにぼくはあなたの分身です。ただ、こちらのもなかちゃんにも、説明した方が良いのでは、と思いまして」
「そう言う事ね、解ったわ。もなかちゃんの為に説明しましょう」

もなかちゃんは不服そうな顔をすると
「えっちょっと待って、それじゃわたしだけ仲間外れって事?」
となんか、ややこしい事を言い始めた。

もう回答編へ進めんじゃん!
ぼくはすかさず、
「もなかちゃんも分身です。えーと、それじゃあみんな回答を知ってるけど、再度確認の為、環琉ちゃんに話してもらうってのは?」
「そう言う事なら、仲間外れじゃなくて良かった」
もなかちゃんも納得したらしい。

一件落着だ。

環琉ちゃんは、ぼくともなかちゃんを見渡すと、
「あの棒の先には泥が着いてた。普通の棒高跳びの場合、着かないよね」

ぼくは、棒高跳びのシーンを思い出したが、定かではない。でも多分そうなのだろう。もなかちゃんが、代わりに答えた。
「そうね。土に着いたらずれちゃうよね」
「多分、あの棒の持ち主は、棒高跳びの棒で、川を跳ぼうとしたんだと思う」
「川を?」

ぼくらはその川を見た。
棒高跳びで、越えられなくもない川幅だ。

「それでいつも深夜に跳ぼうと試みていたのに、昨日は深夜に鰻を獲る人であふれていた。結果、5メートルの棒を持ち帰る事も出来ず、あの場所に隠した」
「なんで川を跳ぼうとしたの?」
「冒険心かな。ほら高層ビルに登ったりする人いるでしょう。きっとそんな感じだよ」


つづく
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