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7章 それぞれの思惑

8話 記憶図書館の少女の記憶

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『サマルカンド郊外・封鎖線・宿営地』


カーンは7機の労働型アンドロイドの5機を、意識を繋いだままサマルカンド市内へ向かわせ、お気に入りのスレンダーな少女型アンドロイドと、大型作業用アンドロイドの2機を予備として宿営地に残した。


そして、宿営地本部にサマルカンド封鎖作戦に従事している将校を呼び寄せるよう部下に命じると、自分の思考回路に意識を移した。


7機アンドロイドの意識五感情報が、落ちてくる滝の水の様に自分の思考回路に流れ込んできた。
自身の処理能力を超える情報の洪水は、飢えた思考を大いに満足させた。

進入した少女型アンドロイドの思考回路は、自分ではない物に対する異質感を感じた。
記憶図書館に眠っている誰かの記憶を取り込み、意識にリアルティーを持たせたのだろう。

少女型アンドロイドの記憶にアクセスすると、人類時代の記憶が見つかった。
この少女型アンドロイドと同じ姿の少女が、人類時代に存在したらしい。

>そこまで凝る必要があるのか?
>たかが調査用のアンドロイド程度は、新機種のAIで十分だろう。

凝り固まった官僚機構は、予算配分も凝り固まっている。
結果、必要ない部署に予算が投下され続ける。
これを作った内務省のどこかの部署もそんなところだろう。
予算を使い切ろうと、無駄に凝ったアンドロイドを寄こしてきたってところだろう。

しかし、十分な予算をかけて作られたアンドロイドの思考回路内は心地が良い。

丁寧に再現された感触は、人類だった頃に感じていた異性の肌触りに似ていた。
異質なモノと異質なモノ同士が、お互いを欲し、結び合い、新たな世界に踏み出していく。

少女の記憶は、カーン少佐の思考を受容承諾すると、少女の記憶を自分の記憶の様に感じた。


>後6体の機体とも上手く行くと良いが


カーンは自分と繋がっている7機のアンドロイドの、通常動作をオートメーション化し、必要な場合にのみカーン自身の意識が介入出来るように操作した。
それはピアニストが鍵盤を意識せずに、指が自動的に弾いているような感覚だ。

将校たちが集まると、思考回路上の作業を中止し、

「この作戦は、評議会議長直属の作戦である。
よってこの作戦は関わる機関及び将校は、所属に関わらず私の指揮下に入るものとする」

と簡単述べた。

カーン自身、いつもの武骨な将校のつもりらしいが、姿かたちは美しい少女型のアンドロイドだ。

武骨さのかけらもない姿の英雄カーン少佐のその姿に、カーンの旗下に入った将校たちは、決して異論を唱えることはなかった。少なくとも表面上は。


つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日更新でございます。ヾ(*゜∀゜*)ノキャッキャッ♪

【カーン】陸軍所属の少佐 対竜族戦争の英雄
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