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3話 巾着袋の中の式神ちゃん
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吾は時々「なんて恐ろしい者を持っているのだろう」と思う事がある。
それは式神。人に似ていて人ではない存在。
でも、人型ではない式神も存在する。
気体の式神だ。
気体だからなのか、いつも巾着袋の中にいる。
落ち着くらしい。
凛ちゃんと名前は可愛いが、能力は決して可愛くはない。
凛ちゃんはブラックホールなのだ。
下手すれば地球すら呑み込んでしまう。
そんな最強式神を、野良の吾が持っていることは、絶対の秘密だ。
でもそれなりのレベルの陰陽師なら、気配で解るらしい。
さて、朝が明けると、遠足が始まる。
絶賛引き籠り中のたった一人の親友のゆきちゃんと一緒に行かないと、吾が辛いことになるのだ。
心の友なんて簡単には出来ないのだ!
なので今日はゆきちゃんの家で、お泊り会中だ。
お嬢様小学校に通ってるゆきちゃんは、当然、大金持ちだ。
ふっかふかのベットで、ゆきちゃんの手を握ったまま、わたしは眠りに着いた。
絶対離してはいけない手だ。
吾はゆきちゃんなしでは、生きられないのだ。
まだ夜も明けきれていない時間。
吾はハッと気づいた。
ゆきちゃんがいない?!
トイレかな?
吾は大きな暗い屋敷の中を、トイレに向かって走った。
昼間に来た事はあるが、夜のゆきちゃん家は初めてだ。
他所の家の香りに不安が増した。
トイレは明かりがついていなかった。
それでも、
「ゆきちゃん?」
と声を掛けて開けてみたが、ゆきちゃんはいなかった。
どこ言ったんだろう?
吾は式神は【つたえる】を呼び出した。
「ゆきちゃんがいない!どこにいるか解る?」
【つたえる】は、周りを見渡した。
「【凛】のところでは」
と伝えた。
まさか!?
吾はすぐに部屋に走った。
誰も起こさないように静かに。
確かベットの横に巾着袋の中にいたはず。
巾着袋を開け、
「凛ちゃん、ゆきちゃんはどこ?」
姿は見えないが、【凛】の存在は感じた。
「ゆき氏は、巾着袋の中に入って来られて、行かれました」
「行かれたって、どこに!?」
「遠い遠い宇宙の果てに」
「なんで!」
「この世界が大嫌いだとか」
吾は涙が出来てた。
「どうしよう吾が陰陽師でだったばかりに、ゆきちゃんを宇宙の果てに飛ばしてしまった!
大好きなゆきちゃんを!吾のせいだーどうしようー」
「ん?あき殿、何故泣いているのです?」
「大好きなゆきちゃんが居なくなったからに決まっているでしょう!!」
「連れ戻しましょうか?」
「出来るの?」
「ええ、凛はブラックホールなので、重力で時空を歪めることが出来るのです」
●
朝が来たようだ。
「おはよう、あきちゃん」
ゆきちゃんの声がした。
吾はゆきちゃんの手を握っていた。
「なんかね、凄い夢を見た気がする。ぜんぜん覚えてないんだけど。
でも嫌な気持ちは、みんなどこかに吸い込まれたみたいですっきりした」
ゆきちゃんは言った。
吾は、なんて恐ろしい者を持っているのだろう。
それは式神。人に似ていて人ではない存在。
でも、人型ではない式神も存在する。
気体の式神だ。
気体だからなのか、いつも巾着袋の中にいる。
落ち着くらしい。
凛ちゃんと名前は可愛いが、能力は決して可愛くはない。
凛ちゃんはブラックホールなのだ。
下手すれば地球すら呑み込んでしまう。
そんな最強式神を、野良の吾が持っていることは、絶対の秘密だ。
でもそれなりのレベルの陰陽師なら、気配で解るらしい。
さて、朝が明けると、遠足が始まる。
絶賛引き籠り中のたった一人の親友のゆきちゃんと一緒に行かないと、吾が辛いことになるのだ。
心の友なんて簡単には出来ないのだ!
なので今日はゆきちゃんの家で、お泊り会中だ。
お嬢様小学校に通ってるゆきちゃんは、当然、大金持ちだ。
ふっかふかのベットで、ゆきちゃんの手を握ったまま、わたしは眠りに着いた。
絶対離してはいけない手だ。
吾はゆきちゃんなしでは、生きられないのだ。
まだ夜も明けきれていない時間。
吾はハッと気づいた。
ゆきちゃんがいない?!
トイレかな?
吾は大きな暗い屋敷の中を、トイレに向かって走った。
昼間に来た事はあるが、夜のゆきちゃん家は初めてだ。
他所の家の香りに不安が増した。
トイレは明かりがついていなかった。
それでも、
「ゆきちゃん?」
と声を掛けて開けてみたが、ゆきちゃんはいなかった。
どこ言ったんだろう?
吾は式神は【つたえる】を呼び出した。
「ゆきちゃんがいない!どこにいるか解る?」
【つたえる】は、周りを見渡した。
「【凛】のところでは」
と伝えた。
まさか!?
吾はすぐに部屋に走った。
誰も起こさないように静かに。
確かベットの横に巾着袋の中にいたはず。
巾着袋を開け、
「凛ちゃん、ゆきちゃんはどこ?」
姿は見えないが、【凛】の存在は感じた。
「ゆき氏は、巾着袋の中に入って来られて、行かれました」
「行かれたって、どこに!?」
「遠い遠い宇宙の果てに」
「なんで!」
「この世界が大嫌いだとか」
吾は涙が出来てた。
「どうしよう吾が陰陽師でだったばかりに、ゆきちゃんを宇宙の果てに飛ばしてしまった!
大好きなゆきちゃんを!吾のせいだーどうしようー」
「ん?あき殿、何故泣いているのです?」
「大好きなゆきちゃんが居なくなったからに決まっているでしょう!!」
「連れ戻しましょうか?」
「出来るの?」
「ええ、凛はブラックホールなので、重力で時空を歪めることが出来るのです」
●
朝が来たようだ。
「おはよう、あきちゃん」
ゆきちゃんの声がした。
吾はゆきちゃんの手を握っていた。
「なんかね、凄い夢を見た気がする。ぜんぜん覚えてないんだけど。
でも嫌な気持ちは、みんなどこかに吸い込まれたみたいですっきりした」
ゆきちゃんは言った。
吾は、なんて恐ろしい者を持っているのだろう。
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